ryomiyagi
2020/11/19
ryomiyagi
2020/11/19
原稿を書くにあたり、あるいは絵を描くにあたって、必ずしていることがある。「儀式」のようにわざわざするのではなく、気がついたら体が勝手にそれをしようと動作を始めているという感じ。その自分の中の“自然”な動きとは、整理整頓。
今日も室内の簡単な掃き掃除をし、家着から外に出かけられるような格好に着替えてからパソコンを開いている。誰に見られるわけでもないのに、あらたまった作業をする際は、ほとんどそれをしている。そういえば、週刊誌の専属記者時代、編集部の片隅の共有デスクで原稿を書く前も、目につく手を入れて差し支えないスペースの整理整頓を行っていた。
前置きが長くなったが、そのような自分の“働き”がどこから来るのかを深く考えたことがなかった。「性分」と思ったり、綺麗好きの母親の影響だろうと思っていたが、自分の「月星座」の影響も大いにあるのかもしれない。
西洋占星術において、太陽星座の次に調べるのはおそらく月星座だろう。占星術への関心が高まっている近年は、その関心に比例するように「月」に特化したメッセージを発信する方や、そうした書籍を多く見かけるようになった。代表的なそのメッセージは「月を使え」「月を満たせ」というもの。それを読むたびに、「はい、わかりました」と素直に思う一方、月を使ったり満たしたりすることの意味がいまいち理解できなかった。そんなちょっとしたコンプレックスでもあった「月」について、『星2.0』で、わが月星座である天秤座を読み一気に理解が深まった。
一言で天秤座を表現するのは乱暴すぎるが、あえてすると「バランス・調和」の星座。その優れたバランス感覚が、フラットな人付き合いや、お洒落な格好、見た目の上品さなどにつながっていくのだろうと思う。そのようなことは、これまで得た占星術知識でわかっていた。だが、『星2.0』に散りばめられた情報は、もっと個人的なものとして「そうそう、それです!」と深くうなずいてしまうものばかりだった。なかでも、「めっちゃわかる!」と思わず口に出てしまったのが以下の一節。
【「天秤座の魂に刻まれたもの」 世界のシステムも社会も会社もサービスも身の回りにある製品たちも、全ては美しくなければならない! では、美しいとはなんなのか。それは「調和がとれている」状態であるということです。】(P203)
天秤座エネルギーが強い人でないとピンとこないかもしれないが、まさにそういうこと! と思った。
あくまでも個人的な解釈だけど、まず「全ては美しくなければならない!」というように、「美しい」が基本であり前提なのである。そうしてその「美しさ」とは、華美とも素朴ともかぎらず、ケースバイケース。特定のスタイルというよりは、さまざまなセンスを自分なりのバランス感覚で取り入れている人や物などを「美」と感じるように思う。そうした言葉にするのがややこしい“美的感覚”が端的にあらわされたのが上記の一節。
yujiさんは本書の執筆を「各星座を自分に憑依させて書いた」と仰っていたが、こうした文章に特にそれを強く感じる。なんというか、外側から星座を眺めている言葉ではない。さらに「憑依してる!」と膝を打ったのが……。
【天秤座は「ネガティブな概念がない星・金星の使者」なので、基本的に豊かなこと、綺麗なこと、創造的なこと、文化的なことしか存在しない世界観を生きています。】(P216)
「このカオスな世界にあってそんな馬鹿な?」といぶかしむ方もいるかもしれないが、実際、これが月・天秤座の私の根本的な世界観だったりする。そんな自分をどこか幼稚で無知で恥ずかしいと思い続けていたので、この一節に深く安堵した。
yujiさん曰く「月は、プライベートを満たす。あるいは、太陽星座に移行するまでの基盤作りに活用するといい」エネルギーとのこと。その言葉と本書の天秤座を読み、まさに自分はそれをしている。それこそ自然にしていたのだな、と嬉しくなった。
ひょっとすると多くの方は、灯台下暗し的に、すでに当たり前のように月を使っているのかもしれない。本書で自身の月星座を読めば必ずや、「わかる!」と膝を打ち、自分の“自然”も星の恩恵なのだと幸せな気分になれるのではないかと思う。
『星 2.0』光文社
yuji /著
文・絵/野村浩平 友人の“遊びの鑑定”を受けたことにより星に興味を持つ。2018年に占星術の基礎講座を受講し、以後マイペースに独学中。太陽星座はふたご座。星のことや身辺雑記を綴るブログ「leeの話」
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