あなたもいつの間にかカフェイン漬け……栄養ドリンクの罠
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ある有名企業に勤めるビジネスマンの話だ。忙しく海外を飛び回り、毎月半分くらいは国内海外問わず、出張に出かけていた。日々の食べものには自分なりに気をつけ、ジャンクなものは食べない、アルコールを飲み過ぎない、野菜を多めにとるなど、健康的な食生活を意識していたが、海外に出かけることも多かったためか、時差ボケがなかなか抜けず、重要な会議の前などは市販の栄養ドリンクに頼ることも多かった。

 

確かに、飲んだ瞬間は意識がシャキッとし、目が覚める気がする。だが、その効き目が続くのはしばらくの間だけ。飲んでからしばらくすると、また体が重くなり、どんよりした気分になってしまうのだという。

 

日本では今、さまざまな種類の栄養ドリンクがコンビニでもドラッグストアでも売られている。実は、こうした〝栄養ドリンク天国〞は、日本ならではの現象だ。日々の生活でサプリメントを大いに活用しているアメリカでさえ、これほど多種多様な栄養ドリンクは販売されていない。

 

多くの日本人は、疲れを感じたときや体調が今ひとつのときなど、栄養ドリンクに頼っている。しかし、栄養ドリンクの多くは無水カフェインを含んでおり、これが大きな落とし穴になっているのだ。

 

無水カフェインとは、一般に総合感冒薬に使われることが多い成分だ。頭痛や喉の痛み、せき、くしゃみ、発熱など、風邪の諸症状に悩まされたとき、総合感冒薬、つまり、風邪薬を飲む人も多いのではないか。これを飲むだけで、熱は下がり、せきは止まり、鼻づまりが解消される。頭がスッキリして、元気になった感じがするだろう。

 

これは、無水カフェインには鎮痛作用や覚醒作用があるからである。脳血管を収縮させ、痛みを伝える成分が脳に届くのを阻害するため、一時的に意識がクリアになり、痛みを忘れることができるのだ。

 

この効果を期待して、栄養ドリンクには総合感冒薬と同じく無水カフェインを配合していて、確かに飲むと一瞬、頭がシャキッとして、元気になったような感じがする。肉体の疲労も改善され、元気が湧いてくるような気がするだろう。また、覚醒作用によって眠気も取れる。

 

しかし、無水カフェインの効き目は長くない。これが切れると、脳血管の収縮作用はなくなって、血管は拡張する。その結果、痛み成分は再び血管内を流れ始め、頭痛が生じることになる。

 

また、無水カフェインは疲弊しきっている副腎を叩いて、コルチゾールやカテコラミンを無理やり分泌させる。カテコラミンとは、アドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミンなど、交感神経を活性化させる神経伝達物質の総称だ。カテコラミンやコルチゾールが分泌されることによって、人間は緊張状態に陥ったとき、戦闘態勢を整え、身を守る行動にでる。

 

これは人間が本能的に持つ能力であり、そのため、これらのドリンクを飲んだときは一瞬元気になったような感じがするが、コルチゾールやカテコラミンの分泌がストップすれば、その反動で、以前にも増してぐったり疲れることになるのだ。

 

特に怖いのは、これを長期間、使い続けたときだ。長期間、栄養ドリンクを飲み続けた場合、突然これをやめたときに生じる頭痛は、以前にも増して悪化するといわれている。また、カフェインには神経毒性があり、摂取しすぎるとカフェイン中毒になって、ひどい場合は死に至ることもある。ニュースになったこともあるのでご存知の方も多いだろう

 

が、今、アメリカでは栄養ドリンクの過剰摂取が問題となっていて、実際、栄養ドリンクとの関連を否定できない死亡事故も複数件起きている。もちろん、すべての栄養ドリンクが悪いというわけではない。

 

だが、「栄養」をとるはずのドリンクで、反対に命を縮めてしまうかもしれないとは、なんとも皮肉なことだと思う。前述のビジネスマンは、すぐに栄養ドリンクを飲むのをやめた。はじめは、「エネルギーが切れたら栄養ドリンク」という行動がすでに脳内でルール化されていたため、中毒的に欲することも多かったが、次第に〝栄養ドリンク離れ〞を実現することができ、今はまったく飲んでいない。同時に、以前のような慢性的なだるさや疲労感に悩まされることもなくなったという。

 

 

以上、『ビジネスアスリートが実践する 最強のリカバリー術』を一部改変して掲載しました。

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