ヤクルト二軍監督・高津臣吾「良すぎても困る二軍の待遇」
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自分で考えられるようになれば、野球界で生き残れる可能性は高まっていく。まずは、その気づきを与えたい。そして、どんどんいい環境を求めて技術を磨いていってほしい。

 

二軍の環境も、僕がヤクルトに入団した1991年の時とは大きく変化した。

 

当時は、プロといっても環境に恵まれているとはとてもいえなかった。球場には必ずしもロッカーが用意されているわけではなく、球場によっては、ダグアウトへ向かう通路や、下手をすれば球場の外で着替えるようなこともあった。

 

イースタン・リーグの某球団のファームの施設は、いまだにその当時の面影を残しており、僕はその球場に行くたびに、自分の新人時代のことを思い出す。

 

いま、日本のファームの育成方針は大きな転換点を迎えていると思う。

 

ひとつは、福岡ソフトバンクホークスに代表されるように、大胆にお金を投資して選手を育成するという考え方だ。

 

ソフトバンクは福岡の筑後船小屋駅の近くに素晴らしい施設を建設しただけでなく、選手の栄養指導、トレーニングにもお金を使って最高の環境を提供していると聞く。すくすくと育てようという方向性だ。

 

反対に、二軍の選手により良い環境を提供することに、戸惑いをおぼえる関係者もいる。僕自身は、二軍監督としてより良い環境は大切だとは思うが、一軍と同じにしてしまっては意味がないと思っている。待遇面で、一軍と二軍の「区別」は絶対に必要なのだ。

 

たとえば、日本のプロ野球では、多くの球団で一軍と二軍のユニフォームは一緒だ。これについては、一考の余地があると思う。なぜなら、二軍監督の立場からすると、一軍気分のままの選手が時々見受けられるからである。それでは、困る。

 

このあたりの区別によってモチベーションを上げる方法は、やはりアメリカの方が分かりやすい。

 

アメリカでは、メジャーリーグとマイナーリーグの球団では、ユニフォームも当然のことながら違う。ホテルのランクは、メジャーとトリプルAでは雲泥の差だし、食事の補助額も大きく違う。マイナーリーグの別称は「ハンバーガーリーグ」というくらいだから、選手たちはこの生活から抜け出そうと必死に練習して、メジャーに這い上がろうとする。

 

この落差がアメリカの野球のダイナミズムであり、面白さにつながっていると思う。

 

その点、日本の二軍はちょっと恵まれている気がする。二軍監督としては、いい意味で落差を作り、選手の奮起を促したいと思うこともある。

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二軍監督の仕事

二軍監督の仕事育てるためなら負けてもいい

高津臣吾(たかつしんご)

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