料理力よりも自炊力の時代!2つの違いとは?
ピックアップ

「買い物に行き、その場で献立を考えられる」
「食材の質と値段のバランスを考えつつ、買い物ができる」
「買った食材と家にある食材を取り混ぜて、数日間の献立を作り回していける」
「なおかつ栄養バランスを考えられる」
――フードライターの白央篤司さんは、上記の能力を「自炊力」と名付けました。
テレビの料理番組の活用法から、正しい買い物のテクニックまで、「自炊をはじめたい」人が、今日から取り組める食生活改善法を徹底網羅した一冊。6回に分けて公開します。

 

 

みなさんは料理が好きでしょうか、嫌いでしょうか。

 

あるいは料理は得意でしょうか、苦手でしょうか。

 

それとも、どちらでもないでしょうか。

 

私はこの13年間ほど、ライターとして食の記事だけを作ってきました。最近では主にウェブサイトで毎月食の企画を考えては発表しています。それらに対するリプライ、SNSでの反応、および読者さんからのリクエストを読んでいると、

 

「料理はなるべく手間をかけたくない」
「できるだけ楽に、簡単に」

 

といったニーズの多さを痛感します。料理好きが喜びそうなマニアックな記事と、「なるべく簡単に」派が喜びそうな記事ではもう明らかに数字が違うのです。ビギナー向けのほうがニーズは圧倒的に多く、PV数(記事を読んだ人の数)は2ケタ違うこともめずらしくありません。たとえばリクルートが運営する「メシ通」というサイトで制作した、サバの水煮缶を使った味噌汁の記事は9000リツイートを超えました。また同サイトで発表したナスと油揚げを炒め煮してそうめんと食べる「なすそうめん」の記事は2万5000リツイート超え。これには私も驚きました。どちらも各地の郷土料理を参考にして簡単レシピを作成したのですが、お手軽なレシピのニーズの大きさを再確認した次第です。

 

以前の私は、グルメ雑誌とか料理専門誌で仕事をすることがほとんどでした。つまりは読者さんも基本的に料理をする人、食に興味のある人だったんですね。それなりの自炊力をすでに持ち合わせている人が読者層だったわけです。

 

そういった人々にウケそうな企画をウェブで立ててアップしても、なかなかPV数が伸びず、当初は悩みました。専門誌と一般サイトの違いを私は分かっていませんでした。ヒットするほかの記事を眺めては「世の中はこんなにも簡単レシピを、お手軽を求めているのか」と実感することしきり。「料理を普段しない人や、なるべくしたくない人が喜ぶ情報とはなんだろう?」ということを考えるのが、ここ数年の課題となりました。

 

まずともかくも普段あまり料理をしない人、「なるべくならしたくない」という人に積極的に取材して生の声を聞くようにしたんです。彼らの抱えているニーズや悩み、実際の気持ちをもっと直接聞きたかった。ツイッターなどのSNSも利用しました。そこから得られた、食べることや料理することに関して印象的だった声を並べてみます。

 

「料理に対して好き嫌いという感情はない。生活上必要だからやっているだけ」
「今は家族がいるので料理しています。でも、子どもが大きくなったらやらないかもしれない」
「食べるのは大好き。でも自炊はなるべくならやりたくない」
「栄養を考えて自炊したいとは思うけど、仕事が忙しくて気力がない」
「自炊はどちらかというと好きです。ただ片づけが嫌いで、2日ぐらいそのままにしてしまうこともある」
「やらないでいいなら、それに越したことはない」

 

いろんなスタンスが見えてきました。

 

旭化成ホームプロダクツが2013年、全国の20~30代女性500人を対象にとったアンケートがあります。これを読むと、未婚女性の4人に1人は自炊習慣がまったくなく、そのうち6割以上が「半年以上自炊をしていない」というデータがありました。理由としては「時間がない」「調理が面倒」が主なもの。残念ながら男性のみを対象にしたアンケートは見つけられなかったのですが、自炊習慣のある男性が先の数字より多いとは考えにくいと思います。

 

私もツイッターでこんなアンケートをとってみました(回答数1万11票、966リツイート)。
「教えてください。あなたは料理って……」という質問に対し、
「好き」
「好きでも嫌いでもない。生活に必要だからやる」
「できればしたくない」
「苦手」
という4つの答えからひとつを選んでもらうアンケートです。

 

無作為のアンケートではなく、ツイッター上のアンケートなのであくまで参考程度に考えていただきたいのですが、この四択のうち、「好き」以外を選んだ方の割合は56パーセント。ざっくり考えて、料理を好んでやっている人は2人に1人、という割合になりました。

 

さらには、料理に関してネガティブな感情にとらわれている人も少なからずいるのです。

 

「料理なんて誰でもやっていることなのに、私はうまくできない」
そして、「そんな私ってダメな人だ……」と、マイナスの自己評価をしてしまう。さらには、
「女のくせに私、料理下手なんですよ。恥ずかしい」
といったジェンダーロールの刷り込みも、まだまだとても根強いことも知りました(一方で、旧来的な性差による家事分担意識にまったくとらわれていない人が、若い世代を中心に増えている印象も同時に受けましたが)。

 

そのほか、

 

「恋人ができて、料理を作ってほしそうにされるのがつらい。ずっと外食じゃやっぱりダメなんだろうか」
「料理は愛情というけれど、家族への料理を私は面倒に思ってしまう。人格が破綻しているんじゃないだろうか」

 

こんな悩みを打ち明けてくれた人もいました。

 

最初に明確にしておきたいことがあります。

 

本著では「料理力よりも自炊力を」と題して、人生を経済的に、健康的に過ごす上で自炊力はとても有用なものであると説いていますが、決して「自炊できない、自炊したくない=ダメ、悪い」と決めつけるものではありません。

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この記事の書籍

自炊力

自炊力料理以前の食生活改善スキル

白央篤司(はくおうあつし)

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