一人になる場所でこそ、本当の礼儀作法が問われるわけ
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洗面台の使い方に表れるこころ

 

化粧室で注意することとして、洗面台の使い方があげられます。

 

洗面台で手を洗う際に、水が飛び散ることがあります。それを拭かずに化粧室を出る方が大半です。

 

しかし、水しぶきが飛んでいる洗面台には、手荷物を置くことも気になりますし、衣服を濡らしてしまうことにも繋がり、また、清浄感にも欠けます。

 

また洗面台の前で髪の毛をブラシでとかすと、髪の毛が洗面台に容易に落ちます。手で髪を触っただけでも、髪の毛が落ちることがあります。

 

落ちた髪の毛一本であっても、そのままにしておくと、不潔な印象を周囲の人に与えかねません。

 

水しぶきや髪の毛を、ペーパータオルで、ペーパータオルがなければ、ご自身が携帯しているティッシュペーパーなどで拭き取ることをおすすめします。

 

研修会会場の化粧室で目にした光景

 

以前、ある研修で講師を務めたときのことです。その研修に参加された方々は、あらゆる点から美を磨くことを目的に努力を重ねていらっしゃいました。皆様、才色兼備の方ばかりだったと記憶しています。

 

研修の冒頭に、参加された方々に対して、次のような質問をいたしました。

 

「見た目の美しさには限りがあります。内面からの輝きによって、人は真の美しさを持つことができるのではないでしょうか。内面からの美しさを磨くには、周囲の方々を大切に思うこころを育み、そのこころを、かたちを通じて表現することです。

 

そのことを踏まえて、この会場に入る前、化粧室を使用するときに、こころを動かして行動しましたか」

 

なぜこのような質問をしたのかと思われますか。

 

じつは研修がはじまる前、その会場付近にある化粧室に向かいましたが、手を洗おうと洗面台の前に立った瞬間、今まで見たことのないほどたくさんの量の水しぶきが飛び、髪の毛が落ちたままになっている光景が目に入ってきたのです。

 

当日、その化粧室を使用されたのは、研修に参加している方々のみ。このことを、残念に思わずにはいられなかったのです。

 

一人の慎み――自分だけになる場所でこそ、振る舞いに気をつける

 

小笠原流では、「一人の慎み」という教えがあります。伝書には、

 

御湯殿 御手水 御心に御まかせ候事 第一の御恥なり

 

とあります。お風呂場、化粧室など一人になる場所においては、こころ任せの振る舞いは最も恥ずべきことであるから、常に気をつけなければならない、ということです。

 

 

以上、『外国人に正しく伝えたい日本の礼儀作法』(小笠原敬承斎著、光文社新書刊)から抜粋・引用して構成しました。

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