世界一のサービスマンが語る、接待でお店を使う際のコツ
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サービスは、おもてなしにあらず。サービスは「商品」であり、お店や企業の「営業ツール」であり、「ブランドの源泉」でもある――。ジョエル・ロブションなど一流レストランで、サービス部門のトップを務め、2012年にはサービスの世界選手権で世界一に輝いた男・宮崎辰さんが、新時代のサービスを詳らかにした新書『利益を生むサービス思考』を上梓されました。その刊行を記念して、本書の一部を5回に分けて公開します。

 

 

大切なお客様をお食事でもてなす場合のコツ。それは、予約の段階からなるべく多くの情報をレストラン側に伝えることです。

 

たとえば電話で予約を入れる際にも、ただ日程と人数を言うだけでなく、どこの会社のどの部署で、全員で○名だけど、ゲストは△名でホストは◇名である、といったことです。さしさわりがなければ、ゲストの会社名や役職名もお伝えすることで、店側の対応が異なることもあります。

 

予約の段階で店を訪ねることができるなら、担当者はメートル・ドテルと名刺交換をしておきましょう。大切な接待ならば、前もってさまざまな情報をメートル・ドテルに伝えておくこと。そうすればスタッフへの引き継ぎもスムーズですし、責任を持って対応してくれます。

 

ホストのお客様からのリコンファーム(予約の確認)も必須でしょう。

 

私がかつて働いていたお店では、予約日の1カ月前にご来店されたゲストとホストがいらっしゃいました。秘書の人が1カ月間違えて予約していたのです。こうなると「言った、言わない」「伝えた、伝えない」というトラブルになりますが、店としてはメモの履歴もあるので、お客様のミスであることは明らかでした。

 

とはいえ大切なのは、誰の間違いなのかを調べることではなく、間違えてやってきてしまったゲストをどうもてなすか、ミスをどうリカバリーするかです。この時は、ホストも店も冷や汗の対応になりました。そうならないように、リコンファームすることは鉄則です。

 

接待当日はゲストの到着前に、支払いの段取り、帰路のタクシーやおみやげの手配などを店側と打ち合わせしておきましょう。ゲストが来店する15分前には店に行って、これらを担当者と話せばいいでしょう。

 

よくあるのは、食事を終えてデザートワインなどを楽しまれている時に、ゲストが「ではそろそろ帰ります」と言ってさっと立ち上がり、玄関に向かわれるケース。ホストも突然の動きに慌てますし、店側としてもタクシーを呼ぶタイミングがわからないので、ゲストに玄関でお待ちいただくことになってしまいます。

 

そうならないためにも、「大切な話は食事の前段階で済ませるので、デザートが出たらタクシーを呼んでください」とか、詳細なタイミングの指示が必要です。

 

支払いも、ゲストのいるテーブルでは行わず、予 めクレジットカードをメートル・ドテルに渡しておき、トイレに立った際にサインだけするなど、スマートなやり方はいくらでもあります。

 

忘れてはいけないポイントは、接待の席でサービススタッフが慮るのはホストである、ということです。

 

ゲストを慮るのはホストの役目であり、私たちサービスマンは、ホストの傍らにぴったりと控えて、その指示でゲストに対応します。何かがほしいとなったら、サービスマンに目配せしてくれれば私たちはすっと準備します。だからこそ、サービスマンを味方につけることが接待成功の秘訣なのです。

 

いくつもの接待現場をサービスマンとして経験しましたが、ひとつ言えるのは、ゲストをお迎えする時に大切なのは、その日のホストのトップが玄関までお出迎えすることです。これがあるかないかで、その日の席の雰囲気は全く異なります。

 

部屋に入っても、ホスト自ら上着を脱いで、ゲストにも「どうぞ上着を脱いでください」と声をかけて、くつろいでいただくこと。上着を着たままの食事はとても堅苦しくなるので、どうかホストから早めに胸襟を開いていただきたいと思います。

 

その時、そのテーブルを担当するサービスマンの名前や簡単な経歴も紹介して、「今夜は宮崎さんが私たちのテーブルを担当してくれますから、なんでもご要望を仰ってください」と添えていただけたら、なおよしです。私たちサービスマンがゲストとコミュニケーションするきっかけにもなります。

 

また、料理を食べるペースも大切です。ホストが商談に夢中になるあまり食べるペースが遅くなると、ゲストもそれに合わせないといけません。全体的に料理を出すのが遅くなって、その結果、最後に次々と料理が出てきて慌ただしい印象になってしまいます。

 

私たちサービスマンも食事があまりに遅い場合は、「お料理が冷めますのでお召し上がりください」と一言添えたりしますが、そうならないように気配りが必要です。

 

ちなみに、接待の場合は食事の開始時間を多少早めて18時30分頃に入店するのがベターです。19時になると来店客がピークを迎え、サービスも調理場も慌ただしくなります。そうなる前に食事を始め、余裕を持って2時間から2時間半で終了する。

 

最後まで慌てずに対応できれば、ゲストからの印象もよくなるはずです。

この記事の書籍

世界一のメートル・ドテルが教える 利益を生むサービス思考

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宮崎辰(みやざきたつ)
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