TAKAHIRO先生が語る欅坂46(2)
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bw_manami

2019/02/22

撮影 篠山紀信

 

欅坂46など人気アーティストの才能を次々と開花させ時代をアップデートし続けている天才振付師・TAKAHIROが綴る、『ゼロは最強』が刊行されました。刊行を記念して特別に一部を抜粋してお届けします。

 

 

一般的に、アイドルと定義される立場において「顔が可愛く見えること」はとても重要だ。したがって、髪が顔にかかると顔がよく見えないからとライブ中に髪の毛を直すことや、この衣装は自分には似合わないから嫌だという主張も当然必要なことだろう。けれど、欅坂46は、歌詞によって大切にすることを変えている。「ストーリーの中の一人として」ということに全員が全力を注いでいるグループだ。秋元先生の歌詞は、たとえば「心が怖くて見たくない場所」や「内に秘めた口に出せない本音」など、理性というものの“向こう側”にある想いや感情などが、言葉という形で表現されたものだと考えている。普段なら絶対に言えないことも欅坂46の登場人物たちが、歌詞を通すことで伝えることができる。つまり、人々の中にある“心の壁”を、その言葉たちは共有して溶かしてくれるのだ。少しだけアンリアルで、少しだけファンタジックな歌詞の世界観やその力をメンバーたちは全力で届けようとしている。

 

 たとえ自分が倒れている瞬間でも、そこに意味合いを見出して、かたちに悩んでそれをする。だから「倒れている」が「寝ている」にならない。当然、センターの平手友梨奈さんも曲によっては一番奥の一番端にいることもある。平手さんが前に出るのではなく、他の人が表現するからこそ意味が立つということであれば、誰もそこに異議はない。平手さんを目立たせるためにあのポジションがあるのではなく、楽曲を伝えるために彼女がその場所にいる。だから、曲によってはセンターが舞台から消えてしまうこともある。これまでの欅坂46においてのセンターは、場所、形式としてのセンターではなく、“曲中にいる「僕」「私」”という存在。イメージとしては、フロントではなく円の中心。トータルで見た時に「この物語の中に彼女がいる」というつくりだと考えている。
 

ある種のプロの人たちは、たとえば何度でも同じことを同じようにできるのだろうが、彼女たちは「この瞬間だからこそできること」をやっている。そのため、ミュージックビデオの撮影現場やコンサートのリハーサル現場は常に激流が流れている。当日の現場での彼女たちを見て、刻一刻と創るものが変化していく。リアルタイムで演出も振り付けも変わるし、歌詞さえも変わっていくこともある。

表現者としてのプロフェッショナルな部分と、彼女たちの生身の部分が絶妙なバランスで「今」にしかないものを表現している。生きた楽曲表現が生み出すその奇跡的な時間が今の欅坂46なのだ。

 
常に変化しているので今日現在の彼女たちのことはわからないけれど、デビューからの3年間はおおまかに言えば「大人はわかってくれない」「大人はどうしてこんな風に考えるのだろう」という姿勢だったと思う。さまざまな経験を重ねた現在は、自分の世界がだんだんとわかってきた。これまでは雲をつかむようにがむしゃらに走ってきたけれど、デビューから3年が過ぎ「私はこういうことができ、こういうことが苦手な人間なのか」と自分自身が見えてきた。さらに大人に対しても「こういう風に考えるからこうするのか。だったら私はこうする」と理解をしはじめ、メンバー自身も大人の入り口に足を踏み入れはじめている。自分がなりたくないと思っていた大人になっていく。ならざるを得ない。一方で、子供ではできない可能性を持つ大人の世界も覗いてみたい。「大人になっても中身は子供のままの人」がいる、自分で「大人はこういうものだ」と決めつけている人もいる。皆はどんな大人になっていくのだろう。

 

 

以上、『ゼロは最強』(TAKAHIRO著)を抜粋・一部改変して掲載しました。

 

ゼロは最強

 

『ゼロは最強』出版記念イベント開催!
https://honsuki.jp/news/12395.html
イベント終了後、両日とも梅津貴昶『天才の背中』とTAKAHIRO『ゼロは最強』発売記念サイン会を開催します(24日日曜日17:00~予定 25日月曜日21:00~予定)
ホールホワイエにて新刊の販売もいたします。当日券もあります。

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