50億年後、1000億年後の宇宙の姿とは?――宇宙はなぜブラックホールを造ったのか(17)
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bw_manami

2019/03/14

50億年後の宇宙

 

50億年後の宇宙――。まず、太陽が死にます。太陽のような恒星のエネルギー源は熱核融合です。水素原子核(陽子)をヘリウム原子核に熱核融合してエネルギーを出しています。

 

しかし、熱核融合は永遠には続きません。水素原子核が枯渇すれば止まるからです。太陽程度の質量の恒星の寿命は100億年です。現在、太陽の年齢は約50億歳なので、熱核融合が続くのはあと50億年になります。

 

太陽は外層部が広がり、赤色巨星へと進化していきます。水星や金星は太陽の外層部に呑み込まれ、地球もその運命を辿ることになるでしょう。太陽の死は、地球の死も意味するのです。

 

50億年後、太陽は赤色巨星に進化し、地球も呑み込まれてゆく。(出所:ウィキペディア)

 

50億年後に起こる、もう一つの一大イベントは、“天の川が消える日”を迎えることです。天の川銀河はアンドロメダ銀河に約40億年後に衝突し始めるので、50億年後にはもう天の川はその体をなしていません。70億年後には二つの銀河は完全に合体し、一つの巨大な銀河になっているのです。

 

アンドロメダ銀河と天の川銀河の衝突過程を、順を追って示した図:1段目左=現在、1段目右=20億年後、2段目左=37・5億年後、2段目右=38・5億年後、3段目左=39億年後、3段目右=40億年後、4段目左=51億年後、4段目右=70億年後。(出所:NASA/ESA/STScI)

1000億年後の宇宙

 

その後も、宇宙膨張は快調に続きます。そのため、1000億年後には、隣の銀河が一つも見えない宇宙になっています。“レッドアウト”と呼ばれる現象です。宇宙膨張が進行して、隣の銀河の遠ざかっていくスピードが光速を超えてしまいます。

 

ある銀河に住んでいる人から見れば、宇宙には自分たちの住んでいる銀河しか見えません。そして、隣の銀河が見えなければ、宇宙全体の情報を得ることはできない状況になってしまうのです。

 

そもそも、この宇宙が膨張していることは、多数の銀河の観測からわかったことです。

 

ビッグバン宇宙論の証拠である宇宙マイクロ波背景放射はどうでしょう。

 

現在、観測すると3Kの熱放射として電波で観測できます。しかし、1000億年後には宇宙膨張の進行のため、波長がものすごく長い電波になり、また温度も絶対零度に近づいていきます。そのため、まず観測されることはないでしょう。

 

1000億年後の宇宙のある銀河で、人類のような知的生命体がいたとします。果たして、彼らに宇宙の正体を見破ることができるでしょうか?

 

宇宙を眺めても、自分たちの住んでいる巨大な銀河しか見えない。隣の銀河が見えないので、宇宙が膨張していることもわからない。ビッグバンの観測的証拠である宇宙マイクロ波背景放射も観測できない。

 

彼らには、宇宙は静的なものであり、はるか悠久の過去から変わらず存在し、今後も何事も変化はないだろうと思うでしょう。ビッグバン宇宙論を知ることもなく、まさに定常宇宙論を信奉するしかありません。

 

彼らはこう語るかもしれません。

 

「私たちは神である!」

 

1000億年後には、人類よりはるかに高等な知的生命体が存在するかもしれませんが、宇宙を正しく理解できない時代に突入しているのです。

 

私たちは宇宙年齢138億歳の今の時代に生きていて本当によかったと思います。なぜなら、過去を調べ、宇宙の成り立ちを理解することができるからです。

 

そして、未来予想図でさえも語ることができる時代を生きているのです。

 

※以上、『宇宙はなぜブラックホールを造ったのか』(谷口義明著、光文社新書)から抜粋し、一部改変してお届けしました。

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宇宙はなぜブラックホールを造ったのか

宇宙はなぜブラックホールを造ったのか

谷口義明(たにぐちよしあき)

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