なぜがん予防には煎茶より粉茶を飲むべきなのか?
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bw_manami

2019/06/06

人生100年時代――テレビや新聞、雑誌でこの単語を見聞きするたびに、
「はっきり言って、長すぎるよ!」
と思うこと、ありませんか? しかし、二〇〇七年に生まれた子どもの約半数が一〇七歳まで生きるというデータが示すように、すでに「人生一〇〇年」はスタンダードになっています。……長すぎます。でも、死なないのであれば、生きていくしかありません。そして、どうせ生きていくのであれば、病気にならず、好きなことができる程度の健康がほしい。
そんなあなたのために、七九歳で後期高齢者の医師・藤田紘一郎先生が、「食事」と「生活習慣」という二つの側面から、あなたの日常で今日から取り入れられる一〇〇の健康法を伝授する新刊『人生100年、長すぎるけどどうせなら健康に生きたい。』が刊行されました。
刊行を記念して作品の一部を大公開!

 

 

ふだん、食事の際や休憩時には何を飲むでしょうか。

 

その種類によっても、健康の具合は違ってきます。

 

日本各地を市町村ごとに細かくわけて長寿地域を探した研究では、緑茶を多く飲む地域に長寿者が多いことがわかっています。とくに、静岡県掛川市は長寿の地域で、一人あたりの医療費も日本でもっとも少なかったそうです。

 

東北大学の栗山進一教授らの調査によれば、緑茶を一日五杯以上飲むグループは一杯未満のグループと比べ、男性で一二パーセント、女性で二三パーセントの割合で、全死因の死亡リスクが低下していました。疾患別で調べると、心臓や血管などの循環器疾患で強い関連がみられました。男性で二二パーセント、女性で三一パーセントも低下したのです。

 

また、緑茶には、がん抑制効果も期待できます。緑茶はがん細胞にどのように作用するのでしょうか。まずはがん発生のメカニズムから説明したいと思います。

 

がん細胞は、新しい細胞が古い細胞と入れ替わる新陳代謝の際に生じます。一日に約二パーセントの細胞が新しく生まれ変わっているのですが、これは細胞にとって大変な作業です。核のなかにある約三〇億文字分もの遺伝情報(百科事典二〇巻分)を一字も間違えないようコピーしながら、細胞分裂を行っていくからです。

 

がん細胞はこのコピーミスから生じます。その原因をイニシエーター(発生要因)といい、活性酸素や化学物質、ウイルス、放射線などいろいろな因子があります。これらがDNAで眠っているがん遺伝子を目覚めさせます。すると次に、プロモーター(発がん促進物質)が細胞を変化させ、それが分裂してがん細胞になります。がん細胞が異常に増殖し、腫瘍になったものががんです。プロモーターにはウイルスや脂肪、塩分などがなります。

 

しかし、通常は免疫システムによって、がん細胞は修復されたり消されたりして、大きく育ちません。イニシエーターやプロモーターの影響が大きかったり、免疫力が低下していたりすると、がん細胞が増殖してしまうのです。

 

ですから、がんを防ぐには、がん細胞の発育段階で増殖させる因子をとり除き、免疫を強化できればよいのです。緑茶には、その因子を除く作用があるとわかっています。

 

静岡県立大学の冨田勲名誉教授は、イニシエーターの影響を抑える効果と、プロモーターの影響を抑える効果にわけ、緑茶の種類ごとにがん抑制効果を調べました。

 

結果、イニシエーターの影響を抑える効果がもっとも高かったのは粉茶でした。一方、プロモーターを抑える効果が高かったのは、番茶です。その効果はいずれも群を抜いて高い結果でした。粉茶も番茶もいずれもお手頃価格のお茶です。葉を丸ごと粉にした粉茶と、遅れて伸びた茶葉を原料とする番茶は、有効成分の含有量が多いのでしょう。

 

反対に、高級茶である玉露や煎茶は、がん抑制効果はどちらも低いことがわかりました。

 

では、緑茶のどんな成分に、がんを抑える作用があるのでしょうか。それは、カテキンというフィトケミカルです。カテキンには、強力な抗酸化作用と突然変異抑制作用があることが、多くの研究によって明らかにされています。カテキンは緑茶の渋みの成分です。よって、渋みが強い緑茶ほど、がんを抑える効果が高くなるということです。

 

なお、カテキンが細胞に吸収されるには、緑茶との食べあわせも大事とわかってきました。ビタミンAを多く含む食品と一緒にとると、カテキンの細胞内の吸収は格段によくなります。ビタミンAにはレチノールとカロテノイドがあります。レチノールはレバーや卵、カロテノイドはシソやモロヘイヤ、パセリ、ホウレン草、ニラ、高菜漬け、ニンジン、カボチャなどの緑黄色野菜に豊富です。たとえば「レバニラ+緑茶」「ホウレン草と卵の炒め物+緑茶」「高菜漬け+緑茶」などの組みあわせが、がん予防になるということです。

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藤田紘一郎(ふじたこういちろう)

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