アスリートは糖質過剰摂取に要注意!
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bw_manami

2019/07/09

 

◆スポーツ障害とAGEs(終末糖化産物)

 

運動などによるアキレス腱断裂をはじめとするスポーツ障害の一部には、AGEs(終末糖化産物:タンパク質が糖と結びついて変性したもの)により、筋肉や腱、靱帯などが弱くなって起きるものも多くあると考えられる。

 

運動するからといって、血糖値を上昇させるスポーツドリンクを飲んではいけない理由はここにもある。

 

運動するから、何を食べても血糖値は異常なほどには上がらず、健康的だと考えている人もいる。

 

しかし、それは間違いである。通常、運動直前に食事は摂らないであろうし、夕食も通常は運動後である。そうすると、食後は糖質摂取量に応じて食後高血糖を起こすことは当然である。

 

食後高血糖により糖化が起き、AGEsの増加が起きる。運動習慣があっても、食後高血糖、インスリン抵抗性を認めることは珍しくない。

 

(Thomas,F. et al. Blood Glucose Levels of Subelite Athletes During 6 Days of Free Living. J Diabetes Sci Technol. 2016,Nov 1;10(6):1335-1343.)

 

◆糖質で体重を増やすアスリートに起きるリスク

 

競技の種類やポジションによっては、体重を要求されることもある。

 

柔道やアメリカンフットボールのラインメン、相撲、陸上のハンマー投げや、砲丸投げなどの投てき競技などのアスリートである。

 

そのようなアスリートは、筋トレはもちろんだが、食事で体重を増やすので、インスリン抵抗性を招きやすい。

 

実際、陸上の投てきのアスリートでは、30%程度はインスリン抵抗性を示すという研究がある。

 

そのようなアスリートが、糖質を過剰に摂取すると、食後30分の血糖値のピークは非常に高く、食後2時間後の血糖値は、正常範囲にありながら正常の人よりも上昇幅は大きく、食後に非常に高インスリン血症を認め、食後の中性脂肪値の増加も食前の1・7倍、正常な人の3倍にもなっている。

 

食後の高中性脂肪は動脈硬化、心血管疾患のリスクを高める。

 

(Hasegawa-Tanaka,T. et al. Changes in Blood Glucose and Lipid Metabolic Parameters After High-Carbohydrate Diet Ingestion in Athletes with Insulin Resistance. Juntendo Medical Journal. 2016,62 (4): 323-329.)

 

◆やはり運動するときにはスポーツドリンクを飲んではいけない

 

また、筋肉トレーニングなどで筋肉を増量するためには、糖質を摂り、インスリンをたくさん出すことが必要だと考えている人もいる。

 

筋トレの後にタンパク質を摂ると、確かに筋肉量は増加するが、そこに糖質を加えると、タンパク質のみの場合よりも増加量がやや少なくなる。

 

68人を対象に12週間の筋トレを行い、トレーニングの後に3種類のドリンク(炭水化物のみを含むドリンク、タンパク質のみを含むドリンク、タンパク質+炭水化物を含むドリンク)を摂取した研究では、筋肉の増加量は、タンパク質のみのドリンクのときが最も多く、炭水化物を加えることで増加量が低下してしまうことがわかった。

 

(Hulmi,JJ. et al. The effects of whey protein with or without carbohydrates on resistance training adaptations. J Int Soc Sports Nutr. 2015,Dec 16;12:48.)

 

そして高血糖になれば、やはりAGEsは増加してしまう。

 

AGEsの蓄積した筋肉や腱や靱帯などは質が悪く、その質の悪い組織は入れ替わりが非常に遅いので、結果的にはパフォーマンスの低下や故障の原因となる可能性がある。

 

練習で故障してしまったときに、オーバーユース(練習し過ぎ)を疑うことがあるが、同時に、糖質過剰摂取によるAGEsの蓄積も考えた方がよいかもしれない。

 

アスリートが食後高血糖になることは避けるべきだと考える。

 

◆白米を大量に食べさせるのは、虐待のようなもの

 

しかし、アスリートは、パフォーマンスを向上させ、疲労から回復するために、高炭水化物の食事を摂ることが重要だと思い込まれているし、実際に推奨している人もいる。

 

そして、知識のないコーチや先輩が「食べることもトレーニングのうちだ!」と言って、無理やり白米をドンブリ何杯も食べさせるのである。

 

これはただのパワハラ、虐待である。

 

白米で体重を増加させ、その後筋トレをすれば、脂肪が筋肉に変化すると本気で思っている指導者もいるだろう。

 

運動時には糖質たっぷりのスポーツドリンクを飲み、運動後には糖質たっぷりの食事を摂る。

 

危険な食習慣である。

 

…………

 

以上、『「糖質過剰」症候群――あらゆる病に共通する原因』(清水泰行著、光文社新書刊)から抜粋・引用して構成しました。

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「糖質過剰」症候群

「糖質過剰」症候群あらゆる病に共通する原因

清水泰行(しみずやすゆき)

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