『妙麟』著者新刊エッセイ 赤神諒
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2019/07/31

復讐を選んだ女武将

 

「売られた喧嘩は、買って勝つべし」

 

愛する男を殺された女は、襲いかかってくる仇敵に対して、いかなる行動に出るか。

 

逃亡か、自決か、屈従か……。

 

吉岡妙林尼はいずれでもなく、「復讐」を選びました。

 

主人公は戦国末期、滅亡寸前の九州大友家にあって、女子供と年寄りで城に籠り、十六回も島津軍を撃退したと伝わる女傑。さすがに回数は盛りすぎでしょうが、大友戦国史を紐解いた人が必ず出会う謎めいた女武将です。

 

時代は九州六ヵ国の守護となった大友家が、宗麟(そうりん)のキリスト教入信をめぐって、揺れに揺れる大混乱期——。

 

そんな時と場所でも、男女がいれば、恋は花開くもの。

 

平穏な田舎で育ち、恋を夢見る少女が、大都市の国都でキリシタンの若者と運命の邂逅を果たすのですが、困ったことに相手が大悪党。何しろ通詞(通訳)の立場を悪用して宗教対立を煽り、大友家の分裂による立身を企む虎狼の侍なのですから。ど真ん中のストレートしか投げられない恋愛初心者の少女が紡いでゆく不器用な恋は、立て続けに起こる政変にもめげず、花開こうとするのですが……。

 

激烈な悲恋を体験し、心優しい重臣に強く望まれて結婚したかと思えば、姑の陰湿な嫁いびり、継子の反抗。何とか切り抜けて幸せを掴んだのも束の間、若くして夫が戦死。主人公は嫁ぎ先の支柱となって、家と城を守る重責を負います。

 

執筆で一番苦労したのは、引き裂かれた恋人同士の再会シーン。戦国時代の恋なのでド派手にしたい。思いついた場面は、かつての恋人同士が衆人環視の中で繰り広げる一騎討ち。手に汗握る見せ場となりました。

 

〈大友サーガ〉の第五作にあたりますが、主人公も異なる別々の物語ですので、本作品からでも全く問題ありません。血湧き肉躍る戦国ラブストーリー、ご堪能ください!

 

『妙麟』
赤神諒/著

 

大友の重臣吉岡家の鶴崎城では、ひとりの女武将が籠城していた。降伏を拒絶し抗戦の道を選んだ妙。十三年前、切支丹の若者との恋は引き裂かれ、吉岡家に嫁いだものの、島津との戦で夫を失う。復讐に燃える妙は、滅びゆく国の小さな城で、驚異の抵抗戦を展開する。

 

PROFILE

あかがみ・りょう
1972年京都市生まれ。大学教員、法学博士、弁護士。2017年『大友二階崩れ』にて第9回日経小説大賞を受賞し作家デビュー。〈大友サーガ〉をライフワークとする。

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