あなたの強みを儲けにする! 中小企業再興・地域再生のプロが導く「だれでも・どこでも」通用する成功法則(2)~売れないものが売れる、3つの方程式~
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2019/09/20

静岡県富士市に拠点を持ち、年間相談数4000件超・商品開発案件の7割を売上増に導く地元企業支援センター「エフビズ」。愛知県岡崎市の「オカビズ」、熊本県天草市の「アマビズ」など、今や全国約20ヶ所にエフビズをモデルにした“ご当地ビズ”が誕生し、各地の企業、そしてまち全体を救い出してきた。その成果から代表が導く「だれでも、どこでも」通用するという地方ビジネスの普遍的な成功法則とは?

 

※本稿は、小出宗昭『掘り起こせ!中小企業の「稼ぐ力」』(光文社新書)の一部を再編集したものです。

 

 

◆3項目の方程式で成功に導く

 

エフビズの支援先の成功事例にこういうものがあります。

 

まったく売れなかった500万円の金型がわずか半年で50件もの成約を獲得したメーカーの増田鉄工所、大手スーパーに押されながらも地元の味を生かして全国から注目されるようになった金沢豆腐店、ターゲットを絞り込むことで商品の売上が30倍になった椿油専門店サトウ椿……。

 

2013年からは起業を目指す人向けの相談窓口「エフビズエッグ」も開設しました。以来、6年間で243組が創業して525人の雇用が生まれ、着実に結果を積み上げてきています。

 

信じられないような成果だと表現する人もいますが、エフビズが成果をあげ続けられるのには理由があります。私は、それを「エフビズの方程式」として次のように説明しています。

 

〈エフビズの方程式〉

 

1 「強み」を見抜き、具体案を提示する

 

問題点の指摘だけなら簡単です。財務諸表や事業計画書を見て、数字や内容の不備を見つけ出すのは、金融担当者や経営コンサルタントの得意とするところですが、「ここがダメ」「あそこもどうにかしないと」だけでは、相談企業の売上を向上させることはできません。必要なのは、その企業の本当の「強み」を見抜き、効果的に発揮させるための具体的な戦略を立てることです。

 

2 ワンストップ・コンサルティング

 

経営からマーケティング、ブランディング、広告、財務、IT、金融に至るまで、「儲かる会社」に変えるための戦略を全方位で提案します。つまり、1カ所のビズで必要なものがすべて揃う「ワンストップ」のサービスを実現します。そのためにも、サポート側は、的確なアドバイスを繰り出せる専門家を幅広く揃えたコンサルタントの集合体である必要があります。

 

3 継続的なフォローアップ

 

単発の助言では、企業が抱える経営課題を解決することはできません。成果が出るまで、一緒に伴走しながら支援を行うことが不可欠です。

 

 

続けざまに成果を出すのは、並大抵のことではありません。この3つの要素を確実に実行できるかどうかにかかっています。とくに、具体的かつ効果的な解決策の提案については、高度なビジネスコンサルティング能力が求められる部分であり、プロが要請される大きな理由のひとつです。

 

◆一つの専門領域だけでは、「売れる仕組み」は作れない

 

地方の企業は「ないないづくし」に苦しんでいます。ヒトがいない、モノがない、ついでにカネもない、というわけです。

 

とくに、資金調達に課題を抱える企業が目立ちます。元銀行員の自分とすれば相手の状況はよく分かるので、できればお金をかけずにイノベーションを起こしたい、と考えます。

 

ましてエフビズは公の産業支援機関ですから、相談に来た会社に大きなリスクを負わせるわけにはいきません。リスクを最低限に抑えるにはお金をかけないことです。

 

お金をかけずに何かをしようとしたら、どうにかして知恵を出すしかありません。しかも苦境に喘ぐ経営者を前に、できるだけ短期間で、具体的な成果に結びつく方策を提示しなければなりません。

 

かなりの場数を踏んできているので、「これはあの手で」と思いつくことも多くなってきましたが、当初は暗中模索で成果を出していくしかありませんでした。

 

ここ最近手がけた案件である、性的少数者、いわゆるLGBT向けの下着のビジネスを始めた「M&Yインタートレード」について触れましょう。

 

安藤嘉晃社長は元鈴与の商社マンで、タイの現地社員だった萌唯(めい)さんと出会い、結婚を機に、ふるさとである富士市に戻ってきました。萌唯さんは日本語がペラペラです。

 

起業を考えているということで相談に来られたのですが、のんびり、ゆっくりやっていこうという姿勢でした。タイからはネコ関連グッズなどを、日本からはアニメ関連グッズをそれぞれマニア向けに輸出し、両国の懸け橋になろうと考えていました。

 

私は2人の経歴を見て、もっとできることがあるはずだと可能性を感じていました。そこで思い当たったのは、タイはLGBT先進国だということです。少し前の話題でいえば、タレントのはるな愛さんが国際ニューハーフ美人コンテストで優勝したのもタイでした。

 

私は2015年が日本におけるLGBT元年だったと考えています。というのは、渋谷区が同性婚を認めたのがその年だからです。それ以来、関連のニュース、情報を見ない日はないほどです。全人口の8%はLGBTといいますから、ビジネスのターゲットとして考えても、大きなマーケットであることは確かです。

 

萌唯さんにタイの状況を聞くと、そういえばと思い出し、彼女の小学校には男女のほかにLGBT用のトイレがあったといいます。大学の同級生にもたくさんいたそうで、デパートには専用ブランドのコーナーがあるとのことです。

 

さらに調査を進めたところ、特に男性性をもった女性(FTM:Female to Male)の悩みが深いことが分かりました。紳士服は肩幅が大きいですし、胸が目立たないようにするための下着もなかなか手に入りません。そこでタイのFTMブランドと契約し、輸入・販売することになりました。

 

インターネットを中心にした販売は好調ですが、実店舗での展開がなかなかうまくいきません。全国のランジェリーショップでも、LGBT向けの販売をしているところはほとんどありません。デパートは男女でフロアが区切られているので、ここも入りにくい。かといってスーパーはあまりにも売り場が開放的で、なかにはカミングアウトしていない人もいるわけなので、こちらもなかなか展開が難しい。

 

そんななか、富士市の老舗のランジェリーショップとのコラボが実現しました。ちょうど売上を大きくしたいと相談に来られていたので、安藤さんの会社を紹介したところ、とんとん拍子に話が進みました。

 

このケースは、本当にアイデアだけで実現したといえるでしょう。両国の独自のグッズの輸出入を考えていたのを、タイ=LGBT先進国と捉え直したことで新ビジネスが発進できたのです。

 

「エフビズの方程式」で簡単に触れたように、経営に関わるすべての課題を解決するためには、専門領域がひとつだけでは対応が困難です。

 

売れない商品を売れるようにするには、その商品を知ってもらうためのPRの仕方を考える必要がありますし、パッケージやネーミングにひと工夫を加えるだけで人気が出るかもしれません。ターゲットの見直しが必要な場合もあるでしょう。陳列方法の変更が売上アップにつながるかもしれません。

 

「売れる」仕組み作りには、一方向だけでなく、あらゆる角度からの検討が不可欠なのです。

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掘り起こせ!中小企業の「稼ぐ力」

掘り起こせ!中小企業の「稼ぐ力」地域再生は「儲かる会社」作りから

小出宗昭(こいでむねあき)

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