あなたの強みを儲けにする! 中小企業再興・地域再生のプロが導く「だれでも・どこでも」通用する成功法則(3)~面接で選ばれる人材とは?~
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bw_manami

2019/09/24

静岡県富士市に拠点を持ち、年間相談数4000件超・商品開発案件の7割を売上増に導く地元企業支援センター「エフビズ」。今や全国約20ヶ所にエフビズをモデルにした“ご当地ビズ”が誕生し、各地の企業、そしてまち全体を救い出してきた。同時に多くの経営者を目の当たりにしてきた代表は、“ビジネスセンスがある人”が必ずやっている一つのことがあると言う。

 

※本稿は、小出宗昭『掘り起こせ!中小企業の「稼ぐ力」』(光文社新書)の一部を再編集したものです。

 

 

◆「どこでも通用する人材」とは?

 

各ビズのセンター長をどう選んでいるか。その様子をここでご紹介しましょう。

 

何百人という多数の応募者を厳しく書類審査し、面接で最終的に決めるわけですが、その面接は苛酷を極めるもので、プロ野球のシーズンオフに行われる、自由契約選手を対象としたトライアウトにたとえられるかもしれません。

 

面接を担当するのは私とオカビズの秋元祥治センター長、それにエフビズモデルが開設される市や町の商工会議所会頭、それに陶磁器組合や刃物組合といった地元産業を束ねる組合トップの経営者、女性起業家など4、5人の構成です。

 

私は、プレーヤーを選ぶのは現役プレーヤー、あるいはプレーヤー経験者であるべきだと考えています。そうでないと、相手の真の実力が分からないからです。プロ野球の選手をスカウトするのに、プロ野球でプレーしたことがない人に選べるわけがない。それと同じです。

 

審査員には、いま自分が経営者として抱えている悩みをそのままこの場で応募者にぶつけてください、と伝えています。われわれも、実際にエフビズやオカビズで抱える課題を問いかけて、その処方箋を答えてもらうようにしています。

 

候補者はだれもが縮み上がるぐらいに緊張しているところに、矢継ぎ早にいろいろな質問が浴びせられます。われわれは、それにどう答えるかを見ているわけです。その受け答えで、ビジネスセンスがあるかどうかが分かります。

 

瞬間的に頭が回らず、フリーズしてしまう人は多いです。ものすごくトンチンカンな答えを返してきて、キャッチボールにならない人もいます。具現性を欠く回答をする人もいます。

 

ひとりに5つか6つの質問を立て続けにぶつけると、だいたい実力が分かってきます。ビジネスセンスの高い人間は次々と浴びせられる質問に的確な答えを返してきます。そうでないと、とても現場をこなせません。

 

◆CMとコンビニはビジネスの教材

 

ビジネスセンスとは、相談者が気づかない「真のセールスポイント」を素早く見抜き、相手にもそれを認識させ、一緒になってビジネスチャンスを生み出していく一連の作業ができる能力をいいます。

 

優れたビジネスセンスをもっている人は、例外なく情報のアンテナを広く張っています。

 

たとえば、テレビのCMをただ漫然と眺めている人は多いと思いますが、ビジネスセンスのある人は違います。

 

CMは大企業がいま一番売りたいものに対して多額の宣伝費を使ってPRするものです。これらを分析すれば、市場トレンドの変化が見通せるばかりでなく、新商品の切り口やターゲットの絞り方など、企業の戦略がいろいろと分かるわけで、ビジネスセンスを磨くには格好の材料です。

 

センスのある人にとって、CMとは最新の市場動向をつかむための教材なのです。

 

コンビニについても、ビジネスセンスのある人は買い物をする場所というより、小売業の激戦区という捉え方をします。

 

スーパーも百貨店も縮小傾向にあるなか、店舗数を伸ばしているのがコンビニとドラッグストアです。いまだ勢いのある小売りの最前線として、どのメーカーも競って新商品をここに投入しています。

 

つまり、コンビニの店内をくまなく見て回れば、各社が力を入れている商品の傾向や、嗜好の変化(甘みのない炭酸飲料が人気だとか、激辛ブームだとか、男性をターゲットにしたスイーツが増えているなど)、トレンドのデザインや色までもが分かります。

 

目に留まった商品を記憶するなり、実際に購入するなりして、「いったいこれはだれが買うのだろう」「どれくらい売れるだろう」とシミュレーションをします。それから、各企業のウェブサイトでニュースリリースを読み、自分の仮説を検証しながら情報分析をします。

 

どんなときにも、情報を単に受け流すのではなく、「なぜ?」「どうして?」と問いかけることで、自分の「知恵」として血肉化していきます。それがいずれ打ち合わせの現場に生きてくるのです。

 

◆自分ならどうするかつねに判断の練習をする

 

では具体的に、どのように情報収集するか、そこからいかに実践で使える「知恵」を生み出しているか。私自身が普段行っている方法をご紹介します。

 

一番身近な情報源は、繰り返しになりますがテレビCMとコンビニです。ここではコンビニを例にとりましょう。

 

あるコンビニチェーンの出店ガイドを見ると、小さい店で20坪、大きい店でも60坪程度です。限られた売り場面積で最も売上があがるマーチャンダイジング(自社の商品やサービスの価格設定や販売方法などを戦略的に設定すること)をしています。

 

つまり、売れるものしか置いていません。日本でいま最も売れているものの展示場と言えるでしょう。

 

また、お菓子や清涼飲料水のヒットは、コンビニ発が目立ちます。コンビニを制するものが市場を制するということで、新商品の主戦場となっています。店に入ると、新発売のラベルが目に飛び込んできます。しかも週のうち何回も品揃えが変わります。

 

そこで目に付いた商品があれば、自分なら買うだろうか、自分以外ならだれが買うのかを考えます。その上で商品のニュースリリースを調べ、メーカーの戦略をチェックします。これにより「情報」が生きた「知識」に変わるのです。

 

予想を上回る出荷というけれど、当初はどのくらいの数字を考えていたのか。ターゲットはだれで、そのために何をしたのか、など自分で調べて、使える知識として脳に刻み込んでおくのです。

 

たとえば、これまでのチョコレートにはない新パッケージで注目されたのが、明治の「ザ・チョコレート」です。

 

2016年9月にリニューアル発売してから累計5000万個も売れたこの商品のパッケージは、従来の一般的なチョコレートと違い、板チョコなのに縦型で、チョコレートの写真やイメージを使わず、上質でシンプルな印象の箱に大きなカカオ豆をモチーフにした図柄を配置するだけというスタイリッシュなデザインで、明治社内でもチョコレートなのか分からないという声が出るほどだったようです。

 

しかし逆にそれが売り場で目立ち、近年のトレンド「インスタ映え」の流れにも乗り、通常の板チョコの2倍の価格にもかかわらず、バレンタイン需要にも応えて、売上を伸ばしました。

 

自分でも買って食べてみる、インターネットで関連情報に当たってみる――これらはすべて、相談者が目の前に来たときに十分な対応ができるように、ビジネスセンスを磨く作業なのです。

 

センター長候補の研修生によく言っているのは、つねにその感性を磨き続けていないと“いざというとき”に使えないということです。売れるか売れないか、受け入れられるか否か、いいかダメか、つねにどちらにするかを自分で判断する練習を積むのです。

 

考えるトレーニングをしないで、付け焼き刃で対処しようとしても、現場はそう甘くありません。相談者に即座に底の浅さを見破られてしまいます。

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掘り起こせ!中小企業の「稼ぐ力」

掘り起こせ!中小企業の「稼ぐ力」地域再生は「儲かる会社」作りから

小出宗昭(こいでむねあき)

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