がんの原因の半分を「食事」と「喫煙」が占めているという当たり前すぎる事実を直視できていない日本人
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ryomiyagi

2019/10/31

 

がん、心・血管疾患、生活習慣病、感染症、精神疾患など、多くの病気との関係が認められている栄養素“ビタミンD”。しかし、現代人のほとんどが欠乏症であるという研究結果が発表され、これが現代病の蔓延につながっていると言われています。どうすれば「ビタミンD欠乏症」から脱することができるのでしょうか。

 

※本稿は、古川健司『ビタミンDとケトン食 最強のがん治療』(光文社新書)の一部を再編集したものです。

 

■最も大きながんの原因は食事

 

 

この図表は、米国の研究者が2008年に発表した、がん死亡に占める原因の内訳です。

 

食事が全体の27%を占める1位。タバコが22%を占めています。喫煙のリスクについては、ここで説明するまでもないでしょう。その喫煙以上に食事ががん死を引き起こす要因となるのです。

 

では、食事のいったい何が、がんのリスクを高める、あるいは下げるのでしょうか。

 

 

これは2011年、国立がん研究センター予防研究グループが作成した、がん発症のリスクに関わる食習慣と栄養関連因子を簡単にまとめたものです。

 

〇がリスク要因となるもの。→がリスクを下げる要因となるものです。

 

アルコールが食道がんや肝臓がん、大腸がんなどのリスクを高めるとともに、塩分や獣肉類も胃がんや大腸がんのリスクを高めるとしています。これは欧米化した肉食中心の食生活に警鐘を鳴らすもので、同センターでは赤肉の摂取を週500g未満にするよう推奨しています。

 

また、栄養関連因子では、糖尿病が大腸、肝臓、すい臓、膀胱などのがんの発症に繋がり、肥満もまた、肝臓がん、すい臓がん、子宮がんのリスクを高める因子としています。

 

一方、がん発症のリスクを下げる食品としては、野菜や果物が挙げられており、適度な運動も効果的だとしています(ただし、私が推し進めるがん治療に特化した「免疫栄養ケトン食」では、糖質の多い果物は基本的に避けるようにしています)。

 

■長野県民が日本一長寿の理由

 

ここで、日本一の長寿県である長野県の例を挙げてみましょう。

 

2015年時の平均寿命は、男性が全国2位となる81・75歳。女性が全国1位となる87・67歳。がんの死亡率も全国一低いことがわかっています。

 

厚生労働省はその要因を長野県特産のキノコ類などの農作物にあるのではないかと考え、「長野県の低がん死亡率と農作物との関連についての疫学研究」に取り組みました(国立がんセンター研究所支所臨床疫学研究部、4総合病院などとの共同研究による)。

 

その結果が次の図です。

 

 

ブナシメジ、ナメコをほとんど食べない人が胃がんになる確率、さらにエノキタケ、シイタケを週1回未満しか食べない人が胃がんになる確率をそれぞれ1(オッズ比)とした場合、それ以上食べている人がどのぐらいの確率で胃がんになるかを表したものです。

 

シイタケを週1~2回食べる人こそ、オッズ比はほとんど変わりませんが、それ以外はすべて顕著なリスク低下が見られています。

 

このことから、長野県のがん発症率が低く、長寿県であるのは、キノコなどの農作物の摂取量が多いからであると推測されています。

 

その証拠の一つとなるのが、総務省が行っている「家計調査」の結果です。都道府県別のデータはないのですが、都道府県庁所在市別のデータがあり、キノコの消費量では長野市が1位なのです(2016年)。

 

細かく説明すると、「家計調査」の対象になっているキノコに関する項目は「生しいたけ」「しめじ」「えのきたけ」「他のきのこ」の4つで、それらを合計した長野市の一世帯当たり年間平均購入量は12・562kgとなっています。ちなみに全国平均は9・684kgで、2位の山形市は同12・229kgです。

 

■キノコ類に多く含まれるビタミンD

 

キノコ類には、がんを抑制するβ‐グルカンが含まれています。このβ‐グルカンは、免疫系で最強と言われるNK(ナチュラルキラー)細胞を活性化させる多糖類の一種で、がん細胞をアポトーシス(細胞死)へと誘導する働きも持っています。

 

さらに、キノコ類にはビタミンDが多く含有されていることもわかっており、前記したように、特にキクラゲにはわずか2gで約2・6㎍と、他の食品の追随を許さないほどの豊富なビタミンDが含まれているのです。

 

このキノコ類の摂取が食習慣の一つになっている長野県は、減塩と野菜摂取量の増加による食の改善や、高齢者の就業にも取り組んできました。

 

これが、がん予防だけでなく、高血圧や脳卒中などの予防にも繋がり、日本一の長寿県になったのではないかと、長野県庁は2014年度に実施した「長野県健康長寿プロジェクト・研究事業」で分析しています。 

 

実際、35歳から75歳までのがん患者さんが全国で上昇傾向にあるなか、長野県の同齢幅におけるがん患者さんは減少傾向にあるのが統計でも明らかになっています。

 

75歳未満の年齢別に見た死亡率も全国最低レベルの47位ですし、部位別で見ても、胃がん男性45位・女性37位、大腸がん男性41位・女性40位と、47都道府県のなかでほとんどが最低レベルなのがわかります。

 

キノコ類を豊富に摂取する食習慣が、長野県をがんの少ない長寿県としたのは、少なくとも否定することはできないでしょう。

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ビタミンDとケトン食 最強のがん治療

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古川 健司(ふるかわけんじ)

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