清原和博「やっと自分を取り戻せた…」甲子園で音が消えた瞬間
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写真・宮澤正明

 

「グラウンドで声援を頂いたのは、これからの人生の力になると思う。目標を持って頑張って行きたいと思います。ありがとうございます」

 

11月30日、神宮球場に彼の姿はあった。

 

清原和博氏は、国内外のプロ・アマの野球選手向けの「ワールドドライアウト2019」で“監督デビュー”を果たした。1986~1996年、西武でつけた愛着ある背番号「3」のユニホームを着て、神宮のグラウンドに緊張の面持ちで足を踏み入れると、スタンドからは「清原監督、頑張ってください!」などと声が飛ぶ。

 

途中、元西武監督の東尾修氏とトークショー。東尾氏が集まったファンを前に「いずれNPBのユニホームを着て、本当の復帰出来るように応援してやってください」と清原氏にエールを送ると、スタンドからは「待ってるぞ!」という声援も聞こえた。

 

やはり、彼には陽の当たるグラウンドと、ユニホームが、よく似合う。

 

2016年2月の逮捕後、薬物への強い欲求と、重いうつ病に悩まされ続けていた清原氏。

 

そんな清原氏が、再起に向けて一歩を踏み出すための力を授け続けたのが、神奈川県藤沢市にある示現寺の僧侶・鈴木泰堂氏との魂のこもった言葉のやり取りだった。

 

そして、もう1つ、彼が心の糧としたものがあった。それは、かつて自らも身を置いた、まばゆい光の当たる場所ー甲子園だった。

 

写真・宮澤正明

 

鈴木氏との対話をまとめた『魂問答』(光文社より12月19日発売予定)で、清原氏は次のように甲子園について語っている。

 

「去年の8月、実際に訪れた甲子園で、スタンドから高校生たちがプレーしているのを間近で観て。『やっぱり、甲子園はいいな、高校野球はいいな』と、改めてそう思いました」

 

プロ入り後も、何度も甲子園には足を踏み入れているはずだが、「高校野球の甲子園は特別なんです」と話す。

 

「プロ野球の試合でグラウンドに立っていると、応援団の太鼓の音とかヤジの声ばかりが耳に入ってくるんです。でも、去年の夏、僕が感じた甲子園というのは……なんて言うんですかね……そう、静寂に包まれていたんです。
もちろん、観客の声援やブラスバンドの音はします。でも、固唾を呑むような場面、その瞬間になると、それまで聞こえてきていた音が、全部消えてしまうんです。そして、その直後に、球場全体がお客さんの温かな拍手でいっぱいになって……」

 

かつて自分もプレーした高校野球の聖地。そこで目の当たりにした光景を思い浮かべながら、感極まった様子で言葉を紡ぎ続ける清原氏。

 

「一生懸命な、ひたむきな高校生たちのプレーを見ていたら、『ああ、僕はこんなすごいところで野球をやっていたんだ』と、そんな気持ちになったんです。心の底から『僕はここにいたんだ』という自分の声が湧き上がってくる、そんなふうに感じました。それで、少しだけなんですけど、自分を取り戻せたような、そんな気がしてます」

 

清原氏が再起するための何よりのクスリ……、それはやはり野球なのかもしれない。

 

 

『魂問答』光文社より12月19日発売予定
清原和博・ 鈴木泰堂 /著
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