最強の栄養療法に出会った医師のきっかけは、妻の不調だった
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突然の妻の不調

 

毎日200人以上の患者さんの診察をこなし、多くの患者さんを改善させていると勘違いしていたそのときでした。1997年10月、とても健康だった妻が、突然激しいめまいを訴え倒れてしまったのです。

 

当時は、住んでいたマンションの1階がクリニックだったため、すぐに点滴をして応急処置はしたのですが、その後行なった通常の血液検査などでは、全く異常がありませんでした。めまいを抑える薬を処方し、それでも不十分だったため、漢方を専門にしている先輩医師に相談し、漢方薬を試したりしても、完全に良くなることはありませんでした。

 

世の中不思議なもので、そんなときにはタイミング良く、いろいろな話が舞い込んできます。あらゆる不調に効果があるという奇跡のフルーツジュース。同様に、万病に効果があるという乳酸菌精製飲料。さらには神社を紹介され、そこで「めまいの原因は祖先にある」と断言され、塩や水を高額で購入して妻に飲ませたり、家の周辺にまいたりしたものでした。

 

めまいという「よくある症状」にたいして、通常の医療で対応しても良くならない。さらに、今でこそ怪しいと思えるのですが、その当時はまさに藁にもすがる思いで取り組んだ民間療法の数々。そのうえ、祖先のお祓いまでしてもらっても良くならない。

 

そのころには、妻は乗り物に乗るときの不安感なども訴えるようになっていました。通常の診療であれば、その不安感を改善させるために安定剤を処方することになったでしょう。でも、自分の妻には、そうした薬はなかなか処方することができませんでした。「めまいが治らないのは、きっと何か原因があるはずだ」と思いながら情報収集していたときに、オーソモレキュラー療法に出会うことになるのです。

 

食事の変更とサプリでみるみる元気に

 

私のオーソモレキュラー療法との出会いは、本書で詳しくご紹介することになる金子雅俊先生との出会いが始まりです。オーソモレキュラーの概念を最初に日本に持ち込んだのが、この金子先生なのですが、ご自身は医師ではないためクリニックを持っておらず、患者の血液検査を依頼する医療機関を探していました。そこにたまたま私のクリニックが協力したことから、ご縁をいただいておりましたが、私自身はそれまで、オーソモレキュラーには全く興味はありませんでした。

 

しかし、その金子先生に、妻の症状の経過と検査データを見せると、金子先生は、「溝口先生、奥さんは2週間で元気になりますよ」と軽く告げたのです。

 

そのころ、天狗になっていた医者である私には、《いくらなんでも、そんなはずはないだろう》《適当、言ってるのか!?》、さらに《やれるもんなら、やってもらおうじゃないか!》などという感情があふれました。

 

とはいえ、先ほども書きましたように、藁にもすがる思いでもありました。私は金子先生の指示通りに妻の食事を変更し、サプリメントを飲ませてみたところ、妻は、枯れかかった草花がみるみる元気になるように改善していったのです。それまでできなかった家事ができるようになり、日中も横になっている時間が減って、外出できる時間が長くなり、休日には家族で出かけることも可能になるほど元気になったのです。

 

普通の診療であれば全て正常になってしまうような血液検査データから、多くの問題を見つけ出して指摘し、的確に食事とサプリメントの指導をしていただいたわけなのですが、その根拠となる理論に、私自身、とても強く興味が湧きました。それからは、休診日を含めた自分の時間の全てをオーソモレキュラーの基礎を学ぶことに費やすことにしたのです。

 

ひたすらオーソモレキュラーを学ぶ日々――吸血鬼と呼ばれ

 

オーソモレキュラーは、それまで医学部で習得した他のどの学問よりも奥が深い学問で、ある意味で、とても楽しく学ぶことができました。学生時代には、何の役に立つのだろうと思いながら試験のためだけに勉強してきた生化学や生理学などの学問が、オーソモレキュラーでは、栄養素の代謝と病気との関係がそこに体系づけられていることがわかるため、とても意味深く関係していることが理解できるのです。

 

こうしてオーソモレキュラーを知れば知るほど、自分のクリニックで改善が得られない患者さんの背景には、栄養や代謝のトラブルが関係していたのではないか……という疑問を持つようになりました。

 

それから約1年間、様々な機会や、書物・文献などによって、ひたすらオーソモレキュラーを学びました。そして、実際にスタッフや家族などにオーソモレキュラーを応用し、効果を確認しました。

 

さらに、通常のペインクリニックのテクニックで治療しても、なかなか満足できる効果が得られない患者さんにも、応用してみることにしました。すると多くの患者さんに、それまでとは異なるすばらしい改善が得られ、血液検査でも、その変化を数値で確認することができたのです。

 

こうした経験を重ねながら、私の中で、「オーソモレキュラーは、人が本来持っている機能をサポートする、すばらしい治療法である」という確信を持つようになりました。

 

2000年から、自分の診療スタイルは一変します。それまでは、痛みの部位のレントゲン写真などの画像検査をしたり、関節痛であれば、血液検査でリウマチの検査をしていたのですが、そのころからは基本的に、受診される患者さん全員にたいして、栄養や代謝のトラブルを知るための血液検査をするようになったのです。

 

腱鞘炎が治らない、首が痛い、踵が痛い、背中が痛い……どこのどのような症状を訴えても、全員血液検査です。そのころ、クリニックの患者さんや近所の方々からは「吸血鬼」と言われていたそうです。

 

そのように多くの患者さんからいただいた膨大で貴重なデータから、慢性の痛みだけでなく、多くの症状が慢性化してしまう理由の一つに、オーソモレキュラー的な栄養障害が関係していることを知ることになったのです。

 

※以上、溝口徹氏の新刊『最強の栄養療法「オーソモレキュラー」入門』を元に作成いたしました。

この記事の書籍

最強の栄養療法「オーソモレキュラー」入門

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溝口徹(みぞぐちとおる)
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