私は胎教も早期教育もあまりしなかったけれど。
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ryomiyagi

2020/01/24

 

子育てをしているとわからないことが次から次へと出てくる。ネットで調べても情報が多すぎて、迷いは深まるばかり。戸惑ったのは、東大医学部を卒業したママ医師の森田麻里子さんも同じだ。そこで森田さんは、科学的な裏付けを調べることにした。国内外の最新の論文や文献に目を通し、妊娠中の予防接種や離乳食、寝かしつけなど現時点での「正解」を考察。この1月には、『東大医学部卒ママ医師が伝える 科学的に正しい子育て』という一冊の新書としてまとめられた。長年の慣習や思い込みの誤りに気づくことも多かったという森田さんがたどりついた「科学的に正しい子育て」とは?

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インタビュー・文/今泉愛子 撮影/市原慶子

 

 

テレビや動画の善悪は「断言」できない

 

――夜泣き(第1回目)、離乳食(第2回目)、と来て、最終回は、子どもにテレビや動画を見せていいのかどうか、しつけや教育はどうするべきなのか、お伺いしたいと思います。

 

森田 教育は、エビデンスがなかなか揃わないんです。読み聞かせがいいとか、いろんなおもちゃを与えたほうがいいというのはわかっていますが、それ以上になってくると、何が正しいとは簡単に言えません。

 

――胎教はどうでしょうか。モーツァルトを聴くといいと言われますが。

 

森田 教育全般に言えることですが、効果をどうやって測るかが難しいんです。絶対音感を身につけるためには、3歳、6歳と小さな頃に音を聴かせるとよいといわれます。

 

でも、それで絶対音感が身についたとして、それがその子にとって、どのように好ましい影響があったのか、あるいは好ましくない影響があったのか、何を基準に調べればいいのかがわからない。

 

教育の目標は、同じ人間を作ることではなく、その子のいいところを伸ばすことですよね。だから、全員にとってこれが100パーセントいいという方法はおそらくないと思います。

 

――森田さん自身は、胎教は?

 

森田 全然してないです。仕事が忙しくてそんな余裕もありませんでした。「お腹の赤ちゃんにどんどん話しかけてください」と言われますが、私はちょっと恥ずかしくて、お風呂の時にちょっと話しかけるぐらいでした。

 

産休に入ってからは本当に暇だったので、育児書や教育書は読みました。
あとは、いい機会だからと世界史の勉強もしました。それが胎教になっていたらうれしい、みたいな感じです(笑)。

 

 

――3歳までにこれをしておくといいというものもやはりないでしょうか。

 

森田 何か特別な能力を、幼児教育、早期教育で身につけさせようという考え方は、私自身はあまりしていないんです。いい部分もあると思うのですが、私はそれより毎日の生活をいかに豊かにするか、いかにやり取りを増やすか、いかに実体験を積ませてあげるかを大事にしています。

 

ただ私が調べた中で、おもちゃや読み聞かせ、早期教育についてわかったことについては書いています。

 

――そんな中で、テレビやスマートフォンやタブレットの動画を子どもに見せてもいいかどうかは、とても参考になりました。実際、いろんな意見があって、迷う人も多いのではないでしょうか。

 

森田 テレビや動画は、必ずしも「悪」ではないんです。本にも書きましたが、テレビを見ることで語彙力がアップしたというデータもあります。ただし、「いい影響があります」と断言できるものではないんです。

 

絶対に守るべき「体罰をしない」ということ

 

――見せる時期や、時間は注意した方がよさそうですね。さらに体罰についても書いてありました。

 

森田 しつけや教育については、お母さん、お父さんと、子どもの性格との中で、合っている方法を選べればいいと思うのですが、本当に守らなくてはいけないのは、体罰をしないということ。

 

また、体罰だけではなく、精神的な虐待やいじめなど子ども時代のストレスは、心だけではなく体にも悪い影響を与えます。これについては、科学で示せることは大きいと思っています。

 

 

――今もまだ体罰を「愛ある鞭」だと信奉する人もいますから、参考にしてほしいです。
今回のインタビューを通じて、森田さん自身が子育てにかなり戸惑ったというのがとても印象的でした。

 

森田 そうなんです。まさに私自身が迷ったり悩んだりしたことで、自分で調べることになりました。調べてみると、育児書や育児雑誌にも自分が満足のいくものが見当たらなかったんです。

 

それなら自分でやるしかないと、いろんな論文を調べるようになったのですが、これってみなさんができることではないだろうとも思いました。たまたま私は、論文を読むことが苦ではなかっただけ。

 

それならば私が調べたことをまとめて、同じような悩みを持つ人たちにシェアすればいいと。それがこの『科学的に正しい子育て』を執筆しようと思ったきっかけです。

 

――第1回目に紹介した葉酸について、妊娠後期や出産後に気がついて、「飲んでいなかった」と後悔する必要はないとおっしゃっていました。
しつけや教育もそうで、今これをしないと「手遅れ」だと広告など煽るよう情報もあふれています。

 

森田 もしそれをしなくて、本当に大変なことが起こるんだったら、誰もが知っているはずです。葉酸についても、最近言われるようになったのは、それによってよりよくなる可能性があるということで、「知らなかった」「飲んでいなかった」とは後悔しなくていいんです。

 

「よくなる」のではなく「リスクを下げる」という発想

 

――90年代の子育て経験者の私は、この本を読んだおかげで、近い将来「私の時はそんなことをしなくても健康な子どもを産んだわ」と言って、うとましく思われる危険を回避できました(笑)。

 

森田 たしかに、ほとんどの方はこれまでも、そしてこれからも元気なお子さんを出産されるという大きな流れは変わらないんです。私自身も自分の妊娠中、ここに書いたことをすべて知っていたかと言うとそうではなくて、雑誌を見て「ああ、そうなんだ。ふーん」という感じでしたから。葉酸のサプリは飲んでいましたが、鉄分のサプリは飲んでいなかったくらいです。

 

――完璧に実践しましょうという本ではないんですね。

 

森田 そうです。私もできないです(笑)。

 

 

――たとえば、二人目を授かったとしたら、子育ては変わりますか?

 

森田 この本を作ったことで、鉄分はサプリで補ったほうがいいとわかったので、絶対にやると思います。あとは、妊娠中の百日咳のワクチンも知らなかったので、それもやります。

 

でも、それで何かが劇的に「よくなる」のではなく、「リスクを下げる」ということです。

 

――そして、私自身もライターなのですが、この本はとても読みやすく書かれていて、素晴らしいと思いました。しかもすごくボリュームがあります。

 

森田 だいぶ時間がかかってしまいました(笑)。

 

――今はどんなふうに一日を過ごしていますか。

 

森田 朝7時半に起きて、うちの子どもはなかなか支度しないので、なんとか9時半ぐらいまでに保育園に送っていって、そのあと洗濯ものを干して、そこから原稿を書き始めます。

 

そしてお昼を食べに行って、また原稿を書いて、4時くらいになると、そろそろ夕ご飯の準備をしなくちゃ、となって、急いで5時までにお迎えに行きます。夜は8時半ぐらいに子どもを寝かしつけたら、そのあとまた原稿を書きます。

 

――パパの協力はありますか?

 

森田 いるときは送り迎えとか、お風呂とかお願いしていますけど、けっこう忙しくていないときも多いので、週末は、もう完全にお願いしています。私は一週間、ずっと抱っこで疲れたからよろしく、みたいな感じです(笑)。

 

 

――いま、一番の息抜きは何ですか。

 

森田 本を読むことです。ちょうど妊娠前ぐらいの1~2年間、すごい本を読んでいた時期があって、書き方も変わったんです。その頃は、とにかく年間150冊読んでいて。

 

――どんなジャンルですか?

 

森田 ノンフィクションが多いですね。あんまりフィクションは読まないんです。ビジネス書も自己啓発系も読みますし、心理系の本、もちろん料理本や育児本も読みます。

 

――やっぱり時間の使い方が上手なんでしょうね。

 

森田 どうでしょう。私自身はそんなに、バリバリキャリアという考えはなくて、どちらかと言うと、子どもとの時間を大切にしたいと思っています。でもその中で、やっぱり社会とつながっているところも欲しいと思うので、それを両立するべく頑張っています。

 

――自身の迷いや悩みの中から生まれた一冊は、右往左往しがちな育児中の心のモヤモヤを吹き飛ばしてくれそうです。できれば、10年後、20年後にも“最新版”をお願いしたいですね!

 

森田麻里子さんの新刊、『東大医学部卒ママ医師が伝える科学的に正しい子育て』は、全国書店にて絶賛発売中です!

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