パラパラとはひと味違う「板橋しっとりチャーハン」って?
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「板橋しっとりチャーハン」とは、グルメブームによる本格的なパラパラチャーハン登場前に、あらゆる町中華で供されていた「ラードたっぷりでテカテカしていて脂っこい、ご飯も水分多めでしっとりと炒め上がったチャーハン」のこと。
TBS系列『マツコの知らない世界』で紹介され、マツコ・デラックスさんにも絶賛されたたことから、その存在を知った方も多いのではないだろうか。

 

「板橋しっとりチャーハン」の提唱者である刈部山本さんによると、パラパラがさも正義のような風潮が広がる前は、家庭でも「残った冷やご飯を土曜の昼などにチャーハンにしていたので、どうしても米がダマになり、仕上がりもべチャッとしていた」という。
そして「自分が親しんだのは町中華や家庭のベチャッとしてるくらいのチャーハンであって、それがサイコーに旨くてご馳走だった」とのことだ。

 

現在でも板橋でしっとりチャーハンを食べることができる店のひとつに「まるよし」「博龍」がある。両店ともに懐かしのナルト入り。チャーシュー入りなら「丸鶴」「末っ子」だ。
刈部山本さんは、ハムやナルトからチャーシューに具が変遷していったと見ており、各店のチャーハンによってその歴史を味わうことができるのも面白い。

 

味付けもさまざまだ。
昭和30~50年代にかけて多く発生した町中華では、戦後からの経済復興の中で汗水たらして働く人たちが満足できるような塩分の濃い味と油っこさ、ボリュームが求められていた。しかし現在、その時代に育った世代の高齢化や外食の減塩傾向に応えて薄味で提供する店もあれば、相変わらずガッツリ量を濃い味で食べるニーズに応え続ける店もある。

 

板橋には、地に足をつけつつも新旧織り交ぜて営業し続ける個人店が多い。それらのお店が「今現在の各店なりの営業スタイルで僕たちを迎え入れてくれる」(刈部山本さん)からこそ、私たちは多様性のある板橋しっとりチャーハンを楽しむことができるのだ。

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東京「裏町メシ屋」探訪記

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刈部山本(かりべ やまもと)
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