アラフォー女性の厳しい現実をデータから読み解く
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現代日本のアラフォー女性の未婚率をご存知だろうか。
2015年の国勢調査に基づくと、35~39歳の未婚率は23%、40~44歳の未婚率は19%。2005年の調査と比較すると、35~39歳の未婚率は5ポイント、40~44歳の未婚率は7ポイントも上昇している。

 

非正規雇用率はどうだろう。
現在、全世代の非正規雇用率は37・3%。35~44歳の非正規雇用率は28・6%で、3割に迫る。ところが、男女比では相当な開きがある。2017年の労働力調査によると、男性の非正規雇用率は35~44歳で9・2%。一方、女性は同じ世代で52・5%が非正規雇用なのだ。それだけではない。女性の非正規の場合、年収100万円未満は44・3%もいるという。
この厳しい数字は、国税庁のデータも裏付けている。このデータを見ると、2016年の非正規の平均年収は172万円だTが、非正規男性は227万円、非正規女性は148万円となっている。日本の貧困ラインは122万円であることを考えると、非正規女性の場合、年収ベースで26万円しか変わらないことになる。

 

つまり、貧困ラインギリギリだということだ。ここで、こんな疑問が頭に浮かぶかもしれない。
非正規女性には、主婦のパートとか、自分で生計を立てているわけではない人、共働き、そういった人も多いのではないかと。

 

だが、2015年の労働力調査によると、35~44歳の独身女性のうち、非正規で働く人は41%。アラフォー独身女性の4割が不安定雇用だというデータが出ているのだ。
あなたの周りの非正規・単身・アラフォー女性には、実家住まいという人が多くいないだろうか。
これは、いま述べた平均年収を考えると、一人暮らしというのが極めて難しいことが分かるだろう。実家から、なかなか出られないのだ。

 

しかもアラフォーともなれば、親の多くは60~70代。このまま時が経てば、独立できないままに親の介護に直面する可能性は高くなる。そうなると、場合によっては介護離職という道を選ばなければならない人も出てくる。

 

ちなみに、現在、介護離職者は10万人と言われている。しかも、介護離職をした人の8割が女性だという。
これに対して国は、「介護離職ゼロ」を打ち出してはいるものの、厳しい現実が待ち受けていることは変わりないだろう。『介護破産』(結城康博・村田くみ著 KADOKAWA)によると、高齢者一人の介護をまっとうするのに必要な金額は、546万1000円。介護期間の平均は、4年11ヶ月。さらに周知のように、2025年には、すべての団塊世代が後期高齢者となり、超高齢社会に突入する。貧困ラインギリギリの非正規・単身・アラフォー女性には、この現実は過酷なものになるだろう。

 

日本社会は、彼女らに対して有効な手立ては打ち出せるのか。『非正規・単身・アラフォー女性』(雨宮処凛氏著・光文社新書)では、アラフォー女性が置かれた現実が赤裸々に綴られている。「心の叫び」ともいえる彼女たちの声に虚心坦懐に耳を傾けることによって、私たちはこれからどのような社会を築いていけばいいのか、一緒に考えていきたい。

 

 

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非正規・単身・アラフォー女性

非正規・単身・アラフォー女性「失われた世代」の絶望と希望

雨宮処凛(あまみやかりん)

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