桂望実 発刊記念エッセイ『もう一花二花咲かせたい50代の婚活物語』
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ryomiyagi

2020/06/08

小説の着想はどこから?
と、よく聞かれる。

 

いつも「なんとなく、ふわっと浮かびました」と答えている。『結婚させる家』でも五十代の婚活を書いてみようと、ふわっと浮かんだ。

 

私自身も五十代で同年代の友人らと会えば、大抵病気自慢になる。ここが悪い。あそこが痛いと報告し合い、あそこの病院ではこういう検査をしてくれる、などといった情報も披露し合う。お陰で素人の割に、病気の知識がそこそこ溜まっている世代なのである。

 

いつのまにか世間では人生が百年になっているようで、そうすると五十代は折り返し地点にいることになる。これから先の五十年。気が遠くなるほど長いような、でもきっとあっという間なんだろうな、と思ったりする五十年だ。その五十年の間に体力はどんどん落ちていくだろうし、頭もいつまで働いてくれるかわからない。それはつまり五十代は、なにかするためのラストチャンスが、辛(かろ)うじて残っている世代なのかもしれないと考えた。

 

そこでそんな人が、最後になににトライするだろうかと想像してみた。その時、独身であればこれから先の人生を共にするパートナーを、探そうとするのではないかと、ふわっと思い付いた。

 

「五十代」「婚活」と検索窓に入力したら、ずらっと結婚相談所の情報が出てきた。それらにアクセスしてみると、どうやら五十代の婚活市場は、活況を呈しているっぽかった。盛り上がっている雰囲気だったのだ。

 

やっぱりそうかと心を強くして小説を書き始めた。登場人物たちに命を吹き込んだ後は、彼らの姿を追うのが私の役割になる。見失わないよう必死でついていく。そうして小説は完成した。同世代の彼らと一緒に過ごした時間は、とても楽しいものだった。

 

『結婚させる家』
桂望実 / 著
本体1600円+税

 

【あらすじ】40歳以上限定の結婚情報サービス会社で働く桐生恭子はカリスマ相談員。彼女の新企画は交際中の会員が大邸宅でしばらく一緒に暮らす「プレ夫婦生活」というものだった。様々な問題を抱えながら、人生のパートナーを求める50代男女の、滋味あふれる婚活物語。

 

【PROFILE】かつら・のぞみ 1965年、東京都生まれ。2003年『死日記』で「作家への道!」優秀賞を受賞しデビュー。映像化された『県庁の星』『嫌な女』『恋愛検定』など話題作多数。

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