国際社会を渡り歩く「外交官」から学ぶ、グローバリゼーションに取り残されない3つの心得
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BW_machida

2020/10/22

ビジネスや文化交流の国際化は必然となった21世紀。そんな今、注目されるのが「外交官」である。語学力、国際法・国際関係をはじめとする専門知識、交渉術、情報収集力、その他多岐にわたる能力を駆使し、国家間の交渉や経済協力といった幅広い活動を展開する彼らから学ぶ、外交の心得とは。

本稿は、片山和之『歴史秘話 外務省研修所 〜知られざる歩みと実態〜』(光文社新書)の一部を再編集したものです

 

 

外交官に求められる資質と能力

ある上司から、こう言われたことがある。「外交官と軍人は国家・国旗を背負って仕事をしている。軍人は階級が上がるにつれて前線から遠ざかるが、外交官は偉くなるほど最前線に出る」。その最たるものが大使であろう。

 

それでは、大使をはじめとする外交官にとって必要な資質や能力は何であろうか。それは時代背景や国際関係の変化に伴って影響される外交のスタイルにも関係してくるであろう。

 

近世・近代のヨーロッパでは、例えば、神学や哲学に通じ、ラテン語あるいはフランス語を流暢に操り、高尚な趣味を持ち、由緒ある家柄で、資産家であり、容姿端麗で、左党であることが重要な要素であったかもしれない。

 

また、愛国心があり、知性や教養に富み、歴史的視点を持ち、国際関係の流れを的確に把握し、社交的で、勤勉で、良識や節操、決断力があり、上品で、スマートで、魅力と勇気を兼ね備えていることは、時代を超えた外交官としての目指すべき普遍的な理想像かもしれない。語学力であれば、現代においてラテン語はともかく、英語くらいは使えないと外交の世界では仕事にならないであろう。

 

筆者の外交官試験合格体験記が掲載された『外交官試験問題集 1984年版』(受験新報編集部、法学書院、1983年)の冒頭に外務省人事課が「外交官を志す人々へ」と題して文章を寄せている。そこには、外務省が求める人物として次のようなことが書かれている。

 

外務省はどんな人物を求めているか、言い換えれば、外交官乃至は外務公務員に相応しい性格・人格とはどういうものかを考えると、外務省の役割・仕事の特質等からして、次の3つを挙げることができましょう。

 

第1に、外務省は極めて間口の広い役所であることです。常に変動する各国の情勢を注視し、政治・経済・文化・広報はもちろん、科学・領事事務・移住関係等、極めて広い分野にわたる問題を具体的に処理しなければなりません。しかも間口が広いから奥行は浅くてもよいかというと、技術的細目はともかく、少なくとも問題の所在・本質については、それをただちに衝き得る明敏な頭脳と、物事を総合的にかつ大局的に把握するバランスのとれた柔軟な判断力を必要とします。

 

第2に、外務省は、日本と相手国との間における対立する利害を調整し、建設的にとりまとめて行かねばならぬ立場にあります。日本の基本的立場を維持しつつ、真の意味の調整機能を果たすためには、対人折衝能力が大切です。すなわち、大抵のことにはくじけない積極的な気性、どっしりしたハラとともに強い説得力、さらには、これに加えて適当な社交性と誰からも信頼され、好意を持たれる奥ゆかしい人柄が望まれます。

 

第3は、外交官というととかく、ロンドン、パリと華麗な生活を連想しがちですが、外務省の任地は世界各地にあり、しかもすべてが生活環境に恵まれているところばかりではなく、むしろそれらの大半では、苛烈な気候条件と必ずしも快適でない社会条件の中で、多忙な仕事に没頭することを余儀なくされます。そうした場合でも、本人はもちろん、家族も含めて、いかなる任地へでも喜んで赴任する気構えと、これらに耐え得るだけの頑健さが望まれる訳です。

 

『公務員の仕事シリーズ 外交官の仕事がわかる本』(改訂第3版)(法学書院、2015年)には、当時の四方敬之外務省人事課長が「巻頭のことば」を寄せているが、そこには、「外交は、国と国との付き合いが基本ですが、突き詰めると国を代表している個人と個人の関係に還元されることが多いものです。それだけに、日本の外交を担う一人一人の外務省職員には、柔軟な思考力、交渉力、コミュニケーション能力、高い外国語力、豊かな人間的魅力など多くの資質が求められます」との言及がある。

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歴史秘話 外務省研修所

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片山和之

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