坂木司『アンと愛情』発刊記念エッセイ
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BW_machida

2020/11/06

久しぶりに、アンちゃんの新刊が出ます。それも、食欲の秋に!

 

和菓子のTPO的に、秋はベストシーズンと言っても過言ではありません。夏よりは湿気が少なく、冬よりは乾燥していない。それはつまり、カビたりひび割れたりする危険性が少ないということ。常温で食べることを前提に作られる和菓子が、底力を発揮する季節。それが、秋なのではないかと思います。

 

そして秋といえば栗、サツマイモ、カボチャ。ほくほくぽくぽくしたものが最高においしくなります。個人的には岐阜系の栗きんとんに、シナモンティーを合わせるのが好きです。ああ、秋はシナモン・ニッキの季節でもありますね。茶色くて落ち葉の風情があって、山の空気を感じます。

 

ちなみにスイートポテトやカボチャ餡のお饅頭なんかは、カフェラテやミルクティーを合わせると軽食感が出るところも好きです。そういえば長野のおやきって、お菓子と食事の絶妙なあわいにいる気がするんですけど、どう思われますか。ともあれ、気温の下がりつつある朝に、甘いお菓子とミルク系の飲み物が出てきたら、ちょっとにっこりしてしまいます。

 

お菓子と飲み物に色々な組み合わせがあるように、『アンと愛情』には、色々な組み合わせの愛情を盛り込んでみました。男女間の恋愛のみならず、親の愛、友への親愛、働く相手への敬愛など、形や相手は様々です。愛は双方向でなくても成立するし、叶わない想いもまた愛です。

 

甘かったりしょっぱかったり、苦かったり酸っぱかったり。はたまた味が感じられないほど、衝撃を受ける瞬間があったり。そんなお話を、小箱に詰められた和菓子を一つずつ味わうように、ゆっくり楽しんでいただけたら嬉しいです。

 

秋なので、そこそこ日持ちもしますからね。

 


アンと愛情
坂木司/著

 

【あらすじ】
デパ地下の和菓子屋「みつ屋」で働くアンちゃんは、まもなく成人式を迎える。経験は少しずつ増えてきたけれど、お客さんたちが持ち込む要望は多彩だし、和菓子に込められた謎と想いは深まるばかりで……。累計80万部の大ヒットシリーズ、待望の第3弾。

 

【PROFILE】
さかき・つかさ 1969年、東京都生まれ。2002年、『青空の卵』でデビュー。近著は『女子的生活』『鶏小説集』『おやつが好き』など。

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