大崎梢『もしかして ひょっとして』発刊記念エッセイ
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BW_machida

2020/11/09

シリーズ化を考えない読み切り短編で、内容はミステリー。そんな話を書いてみませんかと提案され、自分なりに挑戦して、一冊にまとまったのが『忘れ物が届きます』です。

 

あれから六年半、再び短編集が出ます。今回はテーマが設定されたアンソロジーや、雑誌の特集に参加したさいの短編を集めてみました。同じ光文社から、今年は『さよなら願いごと』も出ていますが、あちらは殺人事件の絡んだ重めの長編。短編集はもう少しふわっと、苦味があっても柔らかく、読後感の軽快なものを選んだつもりです。

 

収録作のひとつは男子高校生が主人公で、私の作品にしては珍しく生徒会役員です。かといって、校内に巣くう巨悪に立ち向かうわけではなく、体育館を使っている運動部の部員たちから、バスケットボール部の練習について猛烈なクレームが入ります。あれはひどすぎる、なんとかしろと。みんなの剣幕に押され、渋々乗り出してみればという展開に。

 

八十代になる元大学教授が右往左往する話も、ぜひ読んでいただきたい。妻に先立たれ独り暮らしながらも、気心知れた通いの家政婦さんがいて心丈夫。平穏な日々を過ごしていたのに、突然辞めると言われてびっくり仰天。なぜどうして。いくら考えても理由が思いつかなくて。

 

書き下ろしの一編は、無人のはずの親類宅で、死体を見つけてしまった大学生の話です。予想外の出来事に直面し、まさに茫然自失。彼の運命やいかに。

 

六編の主人公は、それぞれ年齢も境遇も異なるのですが、スマートでもなくクールでもなく、どちらかといえばお人好しの部類かも。貧乏くじを引きがちで、何かと不器用で、いろいろ危なっかしい。

 

そんな彼らが「もしかして」「ひょっとして」と立ち止まり、考えたり走りまわったりしながら、真相に近付いていきます。その過程ごと楽しんでもらえたらと願っています。

 


もしかして ひょっとして
大崎梢/著

 

【あらすじ】
心配性でお人好し。損得を考えずに動いて、余計なトラブルに巻き込まれて、貧乏くじを引きっぱなし。それでも、危機に陥ったあの人を救わなきゃ。誤解も悪意も呑み込んで、奇妙な謎を解き明かすんだ! にぎやかでアイディアに満ちた、6つの短編ミステリー。

 

【PROFILE】
おおさき・こずえ
東京都出身。2006年、『配達あかずきん』でデビュー。近著に『横濱エトランゼ』『ドアを開けたら』『彼方のゴールド』『さよなら願いごと』などがある。

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