「ほめる」ことで差がつく!コロナ禍を生き抜く企業に必要なこと
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BW_machida

2021/02/17

「ほめられても謙遜しろ」「自己主張するな」そんな文化が身に染みついている日本人には自信が欠けていた……。『日本人の自信を取り戻す「ほめる力」』では、日本を愛する国際弁護士と、数々の企業を「ほめ育」で変えてきたコンサルタントが徹底議論!今回は本書の共著者でコンサルタント会社スパイラルアップ代表取締役・原邦雄さんが提唱する「ほめる人材育成」紹介します。

 

 

「人はほめられるために生まれてきた」

 

「すべての人はほめられるために生まれてきて、ほめ合うために存在する」。
ほめることを重視する教育「ほめ育」の第一人者の原さんはそう語ります。「ほめ育」という言葉が生まれたのは、原さんがビジネスの現場で「ほめること」を導入するセミナーをしていた時のこと。当時「〇育」という言葉がはやっていたことから「ほめ育」を思いついたそう。今では世界17か国50万人の人に「ほめ育」が広まっています。

 

“私が「ほめ育」で一番伝えたいメッセージは、「人はほめられるために生まれてきた」ということ。そして、「人は、ほめ合うために存在する」ということです。つまり、人間にとって「ほめられること」は必要不可欠なものであり、だから人間のコミュニケーションにおいて「ほめ合うこと」は極めて重要なのです。
このことに正面から取り組むのが「ほめ育」であり、だからこそ「ほめ育」によって人間の、特に日本人にとって最大の悩みである「人間関係」の悩み・ストレスが解消されるのです。”

 

そんな「ほめ育」の中心にある「ほめる」ということ、この言葉に込められている意味が重要だと、「ほめる」の古語「ほむ」に「祈る・祝福する」という意味があることを指摘して次のように言います。

 

“つまり、「ほむ(=ほめる)というのは、「相手の幸福や繁栄を祈る」ということだったのです。つまり、「ほめる」という言葉には、もともと「相手のために祈る気持ち」がこめられていた、と言えるでしょう。”

 

こうした「相手のために祈る気持ち」がほめるときにあることで、単なる社交辞令でない、人の気持ちを動かす言葉が出てくるのです。

 

“僕のところには、よくお客様の会社経営者の方からお電話がかかってきます。そんなとき、僕は必ず心の中でその会社の幸せや繁栄、社長や従業員の幸せを祈っています。その上で相手をほめると、その言葉は相手に非常に共感され、喜ばれ、モチベーションを上げてくれます。”

 

ほめることで差がついた!コロナ禍での対応力

 

このような「ほめ育」を取り入れた企業の中には、「ほめ育」のおかげで新型コロナウィルスの影響を乗り越えられた!という声もありました。
静岡県でとんかつチェーン店を経営するその企業は、新型コロナウィルスが日本に上陸し始めた2020年2月ごろから売り上げが激減……。しかし、従業員が率先してテイクアウト弁当や、新聞配達と連携した宅配弁当の販売を開始したところ、売り上げが回復するどころか前年比120%の利益を出すことができたのです

 

“これらのことを短期間で実現できたのは、新型コロナウィルスという巨大な困難に見舞われながら、瞬時に対応できる心構えが従業員の皆さんに備わっていたからです。「ほめ育」によって日ごろから上司に認められることで、感情的なわだかまりがなくなり、さまざまなアイデアやシフトの変化を即座に受け入れて、実行できる心理的風土が社内にできあがっていたのでしょう。”

 

同社は、すでに長期化する新型コロナウィルスの影響を見越して、冷凍食品の開発・通信販売に取り組んでいるそう。ピンチをバネにして、さらに商圏を広めようとしています。

 

「ほめ育」によってこのように企業が業績を伸ばすことができるのは、3つの変化が生じるためだと原さんは言います。

 

1.「スタッフの笑顔が増える」
“人間の脳にとって、「ほめられること」はとても意味があり、最近の研究では「金銭的報酬」に匹敵する効果があることもわかってきています。つまり、スタッフにとってほめられる(=自分の行動が認められる)ことは自信につながり、自然と気持ちも明るくなって笑顔が増えるわけです。”

 

2、「離職が止まる」
“「ほめる」ということはスタッフの「できたこと」に焦点を当て、成長に期待して育てることです。そうするとスタッフものびのびと力を発揮しながら着実に成長することができ、結果として離職率が低下します。”

 

3.「自主的に行動し始める」
“今まで完全な「指示待ち族」だったスタッフが、「ほめられること」により自主的に行動し始めることもよく見られる現象です。これは「好意の返報性」という心理的な効果が働くためです。”

 

笑顔あふれる接客は顧客を「またこの店に来たい」と言う気持ちにし、長く職場に根付いた経験豊富なスタッフは店舗全体の力を格上げします。そして、自主的にプラスアルファの仕事をするスタッフは業務をスムーズにし、活気のある店舗にします。こうした「ほめ育」生まれる変化の数々が、コロナ禍でも生き抜くことのできる企業への成長につながっているようです。

 

「ほめる」ためには、観察するべし

 

それでは実際に、どのように「ほめ育」を実践していけばよいのでしょうか。原さんは、ただ単にほめるだけでは意味がないないと注意を促します。

 

“「なんでもいいからほめるのでは失敗する」ということです。企業や店舗として「ほめる基準」を作らず適当にほめると、一時的には盛り上がりますが、すぐに効果がなくなってしまうのです。
継続的かつ持続的に安定した結果を生むには、しっかりとした基準を作り、その基準を超えたらほめるという仕組みを作る必要があります。基準なしに「ほめる」ことは、「無法地帯」を生み出すだけだと覚えておいてください。”

 

気まぐれにほめられることは、部下にとって混乱のもとになるだけでしょう。心からほめられていると感じなければ、それはただのおべっかで意味のないものになってしまします。
そうしたことを避けるためのほめる基準を持つことに加えて、原さんは相手を観察してほめるポイントをみつけることが重要だと指摘します。

 

“大切なのは、相手をよく観察することです。よく観察すれば、自然にここをほめてほしいだろうな、というところはわかるものです。
それはたとえ、リモートワークで直接会う機会が減っても、仕事の青果物や書類を通じて伝わってくるものです。むしろ、わからないなら自分はスタッフのことをちゃんと理解しようとしていない、見ていないことを疑ったほうがいいでしょう。
人間は誰しも、1日1ミリは必ず成長しているものです。”

 

「ほめる」とは、「相手のために祈る気持ち」があってこそ相手に届くものだと、原さんは言いました。耳障りの良いテクニックだけのほめ言葉では人は動きません。だからこそ、相手と向き合う姿勢が必要なのです。

 

コロナ不況が吹きすさぶ中、日本の企業は岐路に立たされています。
そんな今だからこそ、企業を変革させる「ほめ育」メソッドを知ることは、価値あることではないでしょうか。

 

文/藤沢緑彩

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ケント・ギルバート/原邦雄

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