コロナという未曾有の事態になって|槇村さとる
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BW_machida

2021/06/25

 当たり前のことが当たり前でなくなったコロナ禍ぐらし。うまく適応している人も、とまどっている人も、先の見えない長いだらだらの中ウツ気味になっている人も多いと思う。
 高い緊張を強いられる非常時には、心は自ずと自分の中心に向かう。自分にとって最も大切なことは何か? 誰か? どういう時か? 関係性か? みんな考えているだろう。

 

 私は50年近く漫画家をやってます。この仕事はそもそも家の中でやるものであまり外出しない。子供もいないし、親族とのつきあいも薄いので、「世間」がせまい。そういう意味ではコロナの影響はあまり受けていないと思う。
 その上、子供の時から自立することを大テーマとして生きてきたので座右の銘は「サバイバル」だった。
 冗談ではなく、漫画家は「今年の収入見込み」なんか立たない。ひい~~~つ。
 しかし、そのおかげで若い時から「非常時がベーシック」な考え方、行動をする人生となった。
「アクシデントに強い描き方」を追究することが、イコール「非常時に強い生き方」となったのだ。

 

 ケガや病気で倒れても半年暮らせる金額を預金しとく。に始まって死にたくなってしまった時に電話できる友人を持つ(死ぬなと言ってねと頼んどく笑)。
 有限な資源(時間、体力、愛、お金)を無駄遣いしないように、嘘やテキトーやキャラブレはなくし、ひとつの自分に統合し、責任を取れる言動だけする。
 コミュニケーション不全による時間のロスや人との衝突はイヤなので、電話は自分で取る、スケジュールは自分で決める、メモは一冊のノートに一元化する。
 頼めることは人に頼む。
 すぐに謝る。すぐありがとうと発声する。すぐ質問する。もう二度と会えないかもしれないから。
 健康のためにケンカ、イライラ、モヤモヤはやめとく。「ここで腹を立てたら活性酸素が発生してお肌に悪いわ」と思い出して、怒りをサラサラと流してしまう。

 

 トライ&エラーをくり返し、そんな暮らしを築いてきたので、この非常時もあまり動揺はしなかった。ただ同居人のキム氏が手術後の回復期なので、感染対策行為はメチャプラス。
 ……と、私自身も立派な高齢者であることに気付くのは遅めだった。この図々しさも、立派な強さだ。苦笑。

 

 暮らしはそんな感じで間にあうが、もっと大切なのは、自分の人生について、自分の本当の欲望を知ることだろう。
 コロナ禍で考える、あなたの欲望……何ですか?            

 

(つづく)

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