糖尿病に「玄米・雑穀米ならいい」は×!糖質オフ“幻想”に要注意
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ryomiyagi

2021/07/07

 

今や、40代の4人に1人が患っていると言われる糖尿病。それでなくとも、西洋の白人種に比べてアジアの黄色人種が罹りやすい糖尿病は、飽食に慣れ切った現代日本人にとって深刻な生活習慣病の一つだろう。ましてや、「治らない」などと言われる糖尿病の治療に欠かせないのが、「死ぬまでのお付き合い」とされているインスリンの自己注射だ。
かつては「奇跡の薬」とまで持てはやされ、今も糖尿病治療の根幹を担うインスリンこそが、実は糖尿病における最大の黒幕だったとしたら、あなたは食事の前に「まず一本」などと笑っていられるだろうか。

 

『糖尿病の真実』(光文社新書)の著者は、長く糖尿病と戦ってきた日本糖質制限医療推進協会提携医に名を連ねる水野雅登医師。
著者によれば、年々増え続ける糖尿病患者に対して、至極当たり前のように指導されている療法の数々や多用されるインスリンには、多くの矛盾と危険性が潜んでいるらしい。
そして、現在糖尿病の標準療法とされている「食事療法」「運動療法」「薬物療法」のうち、薬物療法のみが推進され、食事や運動による療法があまりにも軽視されており、それこそが、糖尿病をより深刻な状況へと推し進めていると警鐘を鳴らす。

 

高血糖とは、血管内に糖分がたくさんある状態。この糖分を、筋組織に取り込みエネルギーとして消費する。このバランスが崩れ、取り込めない糖分で血管内が溢れかえった状態が糖尿病らしい。

 

血管内にブドウ糖があふれかえる前に、筋肉が血糖をとり込んでくれるかどうかは、筋肉でエネルギーを消費したか……つまり、「運動したかどうか」にかかってきます。
運動して筋肉を動かしていれば、インスリン抵抗性は当然ながら、下がります。逆に、運動しないまま糖質をとりまくっていれば、インスリン抵抗性は高くなります。つまり、糖尿病患者とその予備軍であふれかえっている現代日本人は、「相対的な運動不足」かつ「絶対的な糖質過剰」だということです。

 

「相対的な運動不足」と「絶対的な糖質過剰」は、糖尿病以前に現代の日本人にとって最も耳の痛いキーワードではないだろうか。だからこそ、そんな耳の痛い話の先には、40代人口の4人に1人が罹ると言われる糖尿病が待ち受けているのだ。

 

さらに本書は、糖尿病治療に関する様々な薬剤の効果・効能を、データを示してつまびらかにしたうえで、それ以外の「食事療法」や「運動療法」の重要性を強く訴える。

 

現代人と比べて、江戸~明治期の日本人は3~6倍ものコメを食べていたのに、当時はメタボも糖尿病もはるかに少ない状況でした。
その差の原因の一つが、運動量です。100年前の運動量は、現代とは段違いでした。
車もなく、鉄道も明治時代に整備が始まったわけですから、当時の移動手段は、徒歩でした。(中略)今では「健康のために1日1万歩、歩きましょう」といわれますが、明治・大正時代には、仕事や学校に行くために片道10~20kmを毎日往復する生活が当たり前だったわけです。往復で1日30kmとすると、歩数でいえばじつに4万歩以上です。

 

今、私が健康を維持するために推奨されているのが「1日1万歩」。正直、これを毎日行うのは困難の一言に尽きる。そして、1万歩以上歩いた日はへとへとになってしまう。
ただそれ以上に、達成したことによって得られる疲労感が、過剰なエネルギーを消費した様を如実にあらわし、心地良いものだ。この一つをとっても、確かに高くなりがちな血糖値を、運動によって下げる効果があるのだと得心させられる。

 

加えて本書にはもう一つ、糖尿病を患っていなくとも、現代日本人が聞き逃せない(読み飛ばせない)一項がある。
それが、糖質オフにまつわるよくある質問だ。
いうまでもなく、本書は糖尿病にまつわる治療の是非を問うものだが、今はまだ糖尿病に至ってはいなくとも、メタボや糖質過多を危ぶみ、ダイエットを気にかける多くの現代人にとって、「糖質オフ」というキーワードは見逃せない。

 

「玄米ならいいですか?」
残念ながら、答えは「NO」です。糖尿病では、玄米でもしっかりと血糖値が上がります。(中略)
よく、「未精製の食品はヘルシーだし、血糖値も上げない」と言われて安心して食べてしまいがちなのですが、糖尿病になると「精製されているかどうか?」「食物繊維が多いかどうか?」などは関係なくなってしまうのです。(中略)
炊飯後のそれぞれのお米の、100g中の糖質量は以下の通りです。
精製白米 35.6g
玄米   34.2g
発芽玄米 33.2g
雑穀米  30.0g

 

などと、「糖質オフ」にまつわる「玄米・雑穀米幻想」にくさびを打ち、さらには糖質オフ生活にありがちな「便秘」のメカニズムなど、様々に参考にすべき考察が続く。

 

食後のデザートも、いたって普通の食習慣ですが、こちらも糖尿病へ一直線です。主食の摂取によって、すい臓のベータ細胞は多量のインスリンを分泌したわけです。そこからさらにデザートが追加されれば、血糖値はまたしても高くなり、それを下げるためにすい臓のベータ細胞はまたしても大量のインスリンを出すために酷使されます。休みなく負担が続けば、結果的にベータ細胞は過労死してしまいます。食後のデザートは、糖尿病においては「最悪の食習慣」です。

 

と、私も含め、甘いものに目の無い諸兄には耳の痛い話だが、それでも糖分を摂りたい方々に心優しいコメントが続いている。

 

砂糖山盛りのデザートよりは、糖質オフタイプのデザートの方が、多少は健康的です。ただし、「糖質オフ」をうたっている製品には、添加物が山盛りのものなどもあるので、成分表示には注意が必要です。
一方、「運動後にとる」というのは、30分以上の心拍数が上がる有酸素運動や、ある程度の強度で30~60分の筋トレをした後のことを指します。有酸素運動での心拍数は、色々な目安がありますが、大まかにいえば、30~40代なら130~140/分、50代なら120/分が目安になります。
このような運動をした後は、筋肉や肝臓に蓄えられている糖(グリコーゲン)が使われます。そして、使われた分の糖の蓄えが、優先的に回復されます。このため、運動後に糖をとった場合、最初に食べた糖が、まずは筋肉や肝臓の蓄えとなるのです。このとき、糖を蓄えるためにインスリンは必要ありません。

 

『糖尿病の真実』(光文社新書)によって語られる、現代医療における糖尿病治療の矛盾点のはドキッとさせられる。今まさに糖尿病に苦しむ方々はもちろんのこと、気づかないまま予備軍化しているかもしれない私や、糖尿病とは言わないまでも、秘かにダイエットを心がけている方々におすすめの一冊です。

 

文/森健次

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糖尿病の真実なぜ患者は増え続けるのか

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