「沖縄」37年間で姿を消した自然海岸は東京ドーム500個分!
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沖縄といえば美しい自然を思いうかべるが、実際は日本有数の開発王国だ。その問題点を、「消えゆく沖縄~移住生活20年の光と影~」(光文社新書)を刊行したばかりの仲村清司氏が提起する。

 

「那覇はすごく変わっちゃったね」

 

旅行作家の下川裕治さんが、泡盛のグラスを傾けながらつぶやいた。

 

閉店があいつぎ、年々少なくなっている馴染みの居酒屋。僕らは那覇市栄町市場に残された行きつけの店で年に一度、酒を飲み交わすのが通例になっている。

 

つきあいはもう20年近くになる。下川さんはアジアブームのながれに沖縄を組み込んだ人で、移住した当初は2人で沖縄関連の本をそれこそ毎月のように書いては出版したものである。

 

下川さんは取材で海外に出かけたときは沖縄経由で帰国することが多かったが、仕事がたまっているせいか、近年は直接東京に戻るケースが増えている。

 

今回は久しぶりに台湾経由で沖縄に寄ったという。

 

「どんなところが変わりました?」

 

僕が問うと、

 

「なんだか整い過ぎた感じがするんだよね。沖縄にはアジアの猥雑な雰囲気というか、空気というか、そんな匂いがあったんだけど、それも消えてしまったような感じかなあ」

 

と、中空を眺めやりながら下川さんはいった。

 

「那覇は日本以上に日本になったみたいだね」

 

誰にいうでもなくそう続けた下川さんの言葉に、僕はしばらく口ごもってしまった。

 

沖縄都市モノレール、那覇空港及び宮古空港ターミナルビル、新石垣空港、石垣港離島ターミナル、大型クルーズ船ターミナル、那覇新都心地区開発、安里地区総合開発、北谷・美浜地区開発、サンエー那覇メインプレイス、イオンモール沖縄ライカム、沖縄アウトレットモールあしびなー、DFSギャラリア、伊良部大橋架橋(全長3540メートル、通行料金を徴収しない橋としては日本最長)……。

 

僕が東京から沖縄に移り住んだ1996年から現在に至る20年の間に建設された施設及び整備事業である。

 

あくまで思いつくままに並べただけだが、現在もあちこちでタワーマンションや高層ホテル、新道敷設などの再開発が続いているので、これらを加えると切りがない。

 

新たな風景が出現すると、その分だけ旧観が減る勘定になる。が、いまの沖縄はそれだけでは事足りなくなっているようだ。

 

2004年に国土地理院が次のようなデータを発表している。以下、琉球新報から引用する(2005年2月2日付)。

 

「2004年10月1日時点の国土面積の調査で、沖縄県面積は一年間で奥武山野球場43個分に当たる0.91平方キロ増えたことが分かった。(中略)
県内では石川市や勝連町など12市町村で埋め立てによる新たな土地が生じた。一年間の増加面積は、玉城村奥武島の4倍、竹富町由布島の6倍に相当する」

 

埋め立てられたのは、いうまでもなく海である。さらに、2000~2007年までの7年間に増加した全国の面積に占める都道府県別の割合を比較すると、沖縄は約0.3%、全国一位である。

 

ちなみに復帰後から37年間で姿を消した自然海岸は東京ドーム約500個分。辺野古の新基地建設が強行されれば、東京ドーム17個分の土砂によって、手つかずの海が埋め立てられることになる。

 

ともかくも、海や砂も売り買いできる時代にあっては聖域もなにもあったものではないらしい。

この記事の書籍

消えゆく沖縄

消えゆく沖縄移住生活20年の光と影

仲村清司(なかむらきよし)
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