『開城賭博』著者新刊エッセイ 山田正紀
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BW_machida

2021/10/14

私は短編が好きだ

 

短編を書くのが好きだ。
なぜなら、すぐに書き終わるから、と人に言い、エッセイにも書いたが、そしてそれは必ずしも嘘ではないのだが、書きおわったとき、まれに自分でもこれはまずまずの出来ではなかろうか、という手ごたえを得ることがあるー総じて自信に欠ける私としては、これはじつにめずらしい感触であって、そのことがあるから短編を書くのはやめられない、好きだ、という気持ちにもなるのであろう。

 

今回の『開城賭博』は、最初、宮内悠介さんの「博奕のアンソロジー」に書かせていただいた短編をとっかかりにし、何本か、書かせていただいたものをー書き下ろしの中編一本を加えてー一冊にした。

 

べつだん、そんな注文があったわけではないのだが、最初に書いた「開城賭博」が幕末を舞台にした短編ということもあって、それ以外のものもー濃淡こそあるもののー歴史に材を取った作品になっている。それなりに作品のバラエティにも意をつくしたつもりであり、まずは楽しんでいただける内容になっているのではないか、と自惚れている。

 

これら以外にも、歴史に材を取った短編の腹案は何本かあるし、それ以外にもミステリー短編、SF短編もそれぞれに一冊分ぐらいのストックはある。そのほかにも、これはどういうジャンルに入れればいいのかわからないー強いて言えば「奇妙な味」ということになるのだろうかー短編の腹案も何作かある。いつか書きたい、書ければいいな、と思っている。

 

これはもちろん売り込みのつもりであり、もういい歳なのだから、こんなことを臆面もなしに書くのは、はしたない、という思いもあるにはあるのだが、どうしてか短編にかぎっては、あまり恥ずかしいという気がしないーこれが要するに、短編が好き、ということなのだろう、と思う。

 

『開城賭博』
山田正紀/著

 

【あらすじ】
饒舌に過去語りをするが、本当かどうか判然としない勝海舟。旅順特務機関の作戦における不在証明を偽装した満鉄の測量技師。戦時中、呉で「張込み」と「舞姫」が混ざったような案件にかかわった防諜専門員ー。浪漫溢れる奇想史劇六編収録の傑作集!

 

山田正紀(やまだ・まさき)
1950年、愛知県生まれ。SF、本格ミステリを中心に、冒険小説、時代小説など、多彩な作品を手がける。近著は『フェイス・ゼロ』。

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