見当違いのプレゼントをあげちゃう人に使えるインテリ悪口「1年分のシナモンを全部燃やす皇帝かよ」
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BW_machida

2021/11/17

 

2021年12月22日発売の書籍『教養(インテリ)悪口本』(堀元見著・光文社刊)より、今日から使えるインテリ悪口を抜粋してお届けします。イラッときたときやモヤモヤしたときに使って、ディスりたい気持ちを教養に変えてみてはいかがでしょうか。

 

彼氏からもらった誕生日プレゼントが地図帳だったんだけど。意味分からなくない?」

 

久しぶりに会った友人女性がそんな愚痴を言っていた。
一般に、愚痴は聞いていても面白くないものだが、「彼氏からもらったプレゼントが地図帳だった」という愚痴はめちゃくちゃ面白い。僕は大笑いして根掘り葉掘り聞いてしまった。
どうも、その彼氏はずいぶんイケてない男性ながら、彼女とは「旅行が好き」という接点で交際が始まったらしい。

 

きっと、彼なりに色々と考えたのだろう。「僕らの共通点は旅行だから、旅行に関係あるものがいいな」と思ったのだろう。そこまではすごく正しいと思う。しかし彼はなぜかそこから地図帳にたどり着いてしまった。
なんでだよ……。もっと無難なもの絶対あるだろ……。旅行用のバッグとかでええやん……。地図帳って……。久しぶりに聞いたわ……。中学の社会の授業以来だわ……。

 

しかしまあ、「恋は盲目」という言葉もある。彼も多分いっぱい考えた結果ワケ分かんなくなってなぜか地図帳をあげちゃったのだと思う。大いに同情するばかりだ。
こういう失敗体験は多分、誰にでもある。
え? お前はどうなんだって? そういうデリカシーのない質問はやめてほしい。学生時代に好きな女性にアランの『幸福論』をプレゼントしたキモい思い出を蘇らせないで欲しい。地図帳より全然キモいんだから。

 

さて、地図帳とかアランとか、シンプルにプレゼントが変(キモい)というケースもよくあるが、それ以上に多いのは、張り切りすぎというケースだ。
女性の話を聞いていると、「付き合ってもいないのに高いアクセサリーをもらって困った」みたいなエピソードがよく出てくる。「単なる同僚なのに指輪をもらって困った」と言っている人もいた。ネックレスとかでもキモいのに、指輪なんかをもらった日にゃあ相当キモいだろう。

 

極論を言えば、プレゼントをするということは、リスクを抱えることだ。
相手の心を読むことはできないので、ミスマッチはいつだって起こりうる。「完全リクエスト制」にすればそのリスクはなくなるけれど、それだとサプライズ的な面白さが消滅してしまう。人生はいつだって難しいものだ。
「失敗プレゼント」は避けがたいリスクだし、そういう失敗はやたらとキモがったりしないで、爽やかにインテリ悪口でバカにして笑い飛ばしてやろう。

 

上で見たように、失敗プレゼントのパターンは「プレゼント自体が変」なのか「張り切りすぎ」かの2つに大別できる。
そして、この2つをどちらもバカにできる2wayインテリ悪口がある。それが「1年分のシナモンを全部燃やす皇帝かよ」である。
これはローマ皇帝「ネロ」の話である。
漠然と世界史で習った記憶がある人も多いだろう。枕詞に「暴君」とつけられることが多い。「暴君ネロ」である。言うまでもなく、「暴君ハバネロ」というお菓子の元ネタだ。
ネロが実際に何をしたかとかが気になる人はマトモな古代ローマ史の本でも読んでもらいたいので、割愛する。ここではネロに関する伝説を一つ紹介したい。ホントかどうかはかなり眉唾だが、色んな本に出てくる。逸話として面白いからだと思う。
それが、「最愛の妻ポッパエアの火葬のためにローマ中のシナモンをかき集めて燃やした」というものだ。
燃やされたシナモンの量はなんと、ローマ全体で1年間に消費される量と同等だったらしい。信じがたい話である。もったいない
当時のシナモンはかなり高級品だったので、これがネロなりの愛の証だった、とされている。「たっっっけえシナモンをたっっっっっくさん集めてきて燃やしたったわ! これがオレの愛だ!」ってことだろうか。

 

僕がポッパエアだったら、全然嬉しくない。シナモンが効いた香ばしいアップルパイは確かに美味いが、自分の火葬の時には使わないで欲しい。自分の遺体が燃やされる時には香ばしくない方がいい
葬式に出席した友だちに「なんかこいつの葬式アップルパイみたいな匂いすんな。美味そう」って思われたら嫌だ。葬式中にみんな「腹減ったからアップルパイでも食べに行く?」とか言い出しちゃうじゃん。もっとしんみりしてくれよ。
多分ポッパエアも嫌だったと思う。死んだ後、焼かれながら「わしゃアップルパイか!!」とツッコんだと思う。ありがた迷惑とはこのことだ。

 

ということで、ネロのシナモン1年分燃やしちゃう計画は、「プレゼントとして変」だし、「張り切りすぎ」という2点の失敗要因を完璧に満たしている。失敗プレゼントの究極形と言っていいだろう。
次に見当違いのプレゼントをもらったときは、ぜひとも「1年分のシナモンを全部燃やす皇帝かよ」と小バカにしてあげよう。キモい相手も、「暴君ネロに比べるとマシかな…」と思えるかもしれない。ご活用ください。

 

使用例
「はい、クリスマスプレゼント」
「やった! ありがとう……何これ?」
「『インテリ悪口本』っていう本だよ」
1年分のシナモンを全部燃やす皇帝かよ

 

参考文献
・ 日本大百科全書(ニッポニカ)「シナモン」(小学館)
・ヤマザキマリ(他)『プリニウス』(新潮社)

 

『教養悪口本』
堀元 見/著
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