人生を悔いなく謳歌するために――いま、夫婦関係を見直してみませんか?
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BW_machida

2021/12/10

 

『離婚約、してみました。別れてもヨリを戻しても幸せになるために』 
のらりくらら/著

 

せわしない子育てがひと段落し、母親としての役割がカウントダウンを迎え、子どもが親よりも友達や部活を優先しはじめたころ。13歳の娘をもつ著者の頭をよぎったのは「何か夢中になれるものが欲しい」「仕事を始めたい」「自分自身の人生はどうするの?」という疑問だった。一番の気がかかりは、子育てのためにとチームを組んできた夫の存在だ。

 

「これから2人きりになったとき“人生の伴侶”としてこの人で本当にいいのかな?楽しいの?夫のことは大嫌いじゃない。だけど好きでもない。女性として見られていないのは明らかで、子育てに奮闘していた間はそれが楽で気にしていなかったけれど、もう一生、女として見られなくていいの?仲のいい夫婦を見ると羨ましく思う自分が虚しい。じゃあ離婚なの?いや、そんなの経済的に難しい。それなら会話が特にない今の生活を一生送り続けるの?」

 

著者と同じように夫婦関係に悩みを抱えている人にとっては、もしかすると「離婚約」が解決の糸口になるかもしれない。「離婚約」とは、一定期間後に離婚しようと夫婦間で交わす約束のことで、必ずしも離婚する必要はないという。離婚までの期間をもうけることで、相手の嫌な面に目をつむれるようになったり、反対に良い面が見えてくることがあるという。なにより、離婚約期間はこれからの自分の未来を切り開くために必要な時間と心の余裕を与えてくれる。

 

とはいえ、離婚した後のことを考えるとそう悠長にもしていられない。そこで著者は離婚後に一人で生活していくためのマネープランをファイナンシャルプランナーと一緒に検討し、この機会にと次のための婚活の練習をはじめる。新しい出会いを求めてアプリに登録すると操作は以外にも簡単。メッセージを送ってくれる異性も現れた。気になる相手とステーキ屋でランチをし、相手も結婚していることが判明し、子育ての話で盛りあがり良いお友達になる。

 

こうした新鮮な経験ができたのも離婚約ならではかもしれない。家族ファーストの生活ではどうしても出会いが少なくなるし、デートのためにとメイクや服を選んでいる時間は、何歳になっても楽しい。それでも著者は恋愛に慎重だ。

 

「私のように40代で離婚となると15年、20年ぶりくらいに独身になる人が多いと思いますが、ブランクが長すぎて恋愛初心者に逆戻り。だからこそ、独身に戻って久しぶりの恋愛に右往左往しないためにも、『離婚約中、彼氏彼女は作ってもよい』と夫婦で承諾し合って練習しておくのも手なのかもしれません。」

 

たとえ離婚約中でも、夫婦間の話し合いは必要不可欠だ。お互いの状況や価値観が変化した場合には契約内容の更新が必要になる。また、信頼関係が希薄になっている離婚約中はお金が絡むと問題になりやすいので、家庭内とはいえ金銭面はクリアにしておいた方がよさそうだ。もしかすると離婚約を解消してやり直す、なんてこともあるかもしれない。そのときのためにも両親の介護や親せき付き合い、老後、お墓についてなど家庭版ライフデザインを再構築しておくことが大切だという。

 

著者は現在も絶賛、離婚約中で夫への不満は相変わらずのようだが「この生活に終わりがあるかもと思うと、以前よりはいろんなことがゆるせるようになっている」とも語っている。人生を悔いなく謳歌するために夫婦関係を見直すことは、大変そうだが誰にとっても大きな意義があるはずだ。

馬場紀衣(ばばいおり)

馬場紀衣(ばばいおり)

文筆家。ライター。東京都出身。4歳からバレエを習い始め、12歳で単身留学。国内外の大学で哲学、心理学、宗教学といった学問を横断し、帰国。現在は、本やアートを題材にしたコラムやレビューを執筆している。舞踊、演劇、すべての身体表現を愛するライターでもある。
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離婚約、してみました。

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