セックスワーカー座談会(1) なぜ、風俗嬢が暴行やレイプの被害にあうの
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これまであまり語られることのなかった「男性セックスワーカー」のリアルな生態を、当事者インタビュー中心にまとめた1冊『男娼』(中塩智恵子著・弊社刊)を読んで集まっていただいた風俗嬢、出張ホスト、ウリセンボーイ、ニューハーフヘルス嬢の皆さんに、風俗業界が抱える問題、未来について話していただく座談会。

 

第1回のテーマは「暴力と偏見」についてです。

 

【座談会参加者】
■風俗嬢A
34歳。風俗デビューは20歳。その後、辞めたり戻ったりを繰り返し現在は人妻デリヘルに勤務。シングルマザー。

 

■風俗嬢B
53歳。風俗デビューは45歳。目標金額に達したので風俗を卒業。現在は介護関係の仕事に従事。

 

■出張ホスト
49歳。『男娼』1章に登場のベテラン出張ホスト。

 

■ウリセン
37歳。『男娼』2章に登場の元ウリセンボーイ現オーナー(ウリセン=主に男性客相手に性的なサービスをするセックスワーカーのこと)。

 

■ニューハーフ
53歳。元ニューハーフヘルス嬢。『男娼』3章に登場の畑野とまとさん。

 

 

殴られて歯が折れて帰ってくる子もいる

 

――セックスワーカーへの「暴力と偏見」について聞かせていただけますか。

 

風俗嬢A:私、辞めたり戻ったりを何度かしているのですが、箱ヘルがなくなってデリヘルが主流になった頃に復帰したら、お店へのバック率(店が受け取る率)が高くなって女の子の取り分が減っていた。そしてそれに伴ってお客さんの質が悪くなった。

 

昔から本強(本番強要)はめちゃめちゃありましたけど、そういうお客さんって、昔は出禁になることがあったんですよね。でもいまは本番をしている子が前より増えてきているから、出禁になるお客さんがいない。

 

だから女の子の質もすごく下がったと思います。見た目というより、素人が来て、講習もせず、お客さんに言われるがままに本番をして、病気・妊娠で辞めていく女の子、けっこう多いです。自己管理がなってない。そういう子を何人も見ています。

 

――え! 妊娠!?

 

風俗嬢A:そう。ピルも飲まないで生中(コンドームなしの中出し)している子とか。危機感がなさすぎですよね。

 

ニューハーフ:妊娠もですけど、ニュースになってないものだと、ラブホでの不審死も実は多いんです。不審死は事件化されない。それでいろいろと調べていくと、被害者がデリ系(デリヘル系)のお姉さんだったりすることもある。

 

風俗嬢B:私、回春出張マッサージに通算5年いたんですけど、4年目ぐらいで急に、緊急連絡先を提出するようにいわれたんです。風俗で緊急連絡先を出せってどういうこと? と思っていたら、ネットでうちのお店について書かれていて、見てみたら在籍していた女の子が殺されたみたい。未確認だけど。

 

風俗嬢A:殺人までいかなくても、じっさい、お客さんから暴行を受けて帰ってくる女の子はいますから。殴られて歯が折れて帰ってくる子とかいますよ。

 

――ええ? なんで殴っちゃうの?

 

風俗嬢A:たぶんレイプや暴行もののAV等を見たからだと思います。ちょっと頭がおかしいお客さんもいるんです。

 

風俗嬢B:AVに感化される方はいらっしゃいますよね。

 

出張ホスト:出張ホストはお客さんからの暴力とかはないね。

 

ウリセン:ウリセンは暴行というか、そういうフェチの方はいますけど、それ以外は聞きませんね。

 

ニューハーフ:私の場合は、殴られたり蹴られたりがあるような人のところには行かないようにしていた。

 

日本のフェミニストはセックスワーカーを下に見ている

 

――女性のセックスワーカーからの被害の声が多数ですね。

 

風俗嬢A:暴行もですけど、レイプもあります。私も先月されました。手を縛られて、動けないようにされて、やばいなと思ったら案の定……。お店にすぐに言って、その人は出禁になりました。

 

風俗嬢B:私も泥酔客からレイプされそうになったことがあります。なんとかかわしましたが、1回や2回ではないです。

 

出張ホスト:寝ていたらお客さんが勝手に上に乗っていたことはある。すぐにどいてもらったけど。

 

ウリセン:上に乗られていた、というのはウリセンでもありますね。

 

――風俗嬢の被害例が多いですよね。絶対数の違いもあるのでしょうけど、職業や女性に対しての蔑視が発端になっている気がします。職業差別、性差別ですね。(1)男から女(風俗嬢)へ、(2)女から男(出張ホスト)へ、(3)男から男(ウリセン/ニューハーフ)へのレイプだと、(1)の場合は、力の点で及ばない。そこを狙っているのでしょうが卑劣ですよね。セックスワークへの偏見についても何かご意見があったらお聞かせいただけますか。

 

ウリセン:ウリセンの場合は職業というよりは、セクシュアルマイノリティが既に偏見の対象だろうから、それ以前の問題かと。

 

出張ホスト:当然、風俗やホストに対する世間からのマイナスな見られ方はわかっています。ただ、男だけが集まったときに仕事について話すと、尊敬のまなざしになりますからね。うらやましがられたり。

 

――出張ホストは羨望のまなざしで見られるけども、風俗嬢はそうなりませんよね。

 

出張ホスト:やっぱり男社会からの目線なので。男から見ると「体を売る女」というマイナスの感情での捉え方になっちゃう。その古い見方は変わらないと思う。

 

ニューハーフ:日本は本当に女性の運動が遅れている国ですからね。

 

風俗嬢A:男性からも軽視されがちですけど、世の中の母親層にも、本当に支持されないです。

 

ニューハーフ:それこそ日本のフェミニストは、セックスワーカーをすごく下に見ていますよね。何か起きたときに公平公正に対応してもらいたいから、とにかく、セックスワークの非犯罪化をしてもらいたいですね。

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