『おとぎカンパニー モンスター編』著者新刊エッセイ 田丸雅智
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BW_machida

2022/01/05

日常の冒険

 

二次創作をテーマにした『おとぎカンパニー』シリーズも、今回で第四弾を迎えた。これまで海外童話に日本昔ばなし、妖怪から二次創作を行ってきた中で、本書では広義の「モンスター」を元ネタに据えた。

 

そのモンスターという言葉から、ぼくが真っ先に連想するのは冒険だ。それは多分に、ゲームソフトやカードゲームからの影響が大きい。ポケモンにドラクエ、マジック:ザ・ギャザリングなど、子供の頃は異世界の冒険に心躍らせ、さまざまなモンスターを倒したり、仲間にしたりしたものだ。そこに登場するのは作品オリジナルのモンスターだったが、中にはヴァンパイアやペガサスや龍など、有名なモンスターをアレンジしたものも少なくなかった。かつてのぼくはそのまねをして、自分でも有名なモンスターから二次創作的に新たなモンスターを考案して遊んでいたのを覚えている。

 

本書で行った物語という形での二次創作も、そんな当時に通ずるものがあるのかもしれない。違っているのは、本書の二次創作ではいずれも現代の日本を舞台にしたという点だ。異世界で出くわすモンスターも最高だけれど、もし自分たちが生きるこの現代にも思わぬ形でモンスターが存在したら? そんなことを想像しながら、十の物語を執筆した。

 

血液ではなく樹液を吸う、女子高生ヴァンパイア。競馬ならぬ「競天馬」で、速さを競い合うペガサス。膝に溜まった「水」に棲みついた龍……。冒険というのは、ここではないどこか異世界でするもの、とは限らない。ぼくたちの日常も、その舞台に十分なり得る。いつもと同じ光景も少し視点を変えるだけで輝きはじめ、たちまち冒険が幕を開ける。

 

その日常の中の冒険で、あなたもモンスターに出くわすことがあるかもしれない。そうなったときに慌てないよう。今のうちから、本書でしっかり心の備えをしてほしい。

 

『おとぎカンパニー モンスター編』
田丸雅智/著

 

【あらすじ】
三つ頭の社長ケル・べロス? 月の満ち欠けで効果が変わるエナジードリンク「Wolf」? 誰もが知っている古今東西のモンスターたちが現代社会で泣き笑い。怪しくてポップな田丸ワールドにようこそ。どの話から読んでも楽しい全10編!

 

田丸雅智(たまる・まさとも)
1987年、愛媛県生まれ。2011年『物語のルミナリエ』に「桜」が掲載されデビュー。現代ショートショートの旗手として幅広く活動する。各種メディアに出演。著書多数。

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