肥満・メタボにならないためには結局、何を食べればよいのか?
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『一度太るとなぜ痩せにくい?』(光文社新書)を上梓した基礎生物学研究所の新谷隆史准教授は、「日本では、肥満の怖さが社会的にも個人的にも軽んじられている」と主張しています。

 

肥満は病気ではありません。しかし、上記の本では、肥満が様々な病気の原因になっていることを詳細に綴っています。

 

肥満を解消することができれば、病気になる確率を大きく引き下げることができる――。これは、社会的にも個人的にもたいへん喜ばしいことであるにもかかわらず、日本の社会は「何としてでも肥満の問題を解決する」という強い姿勢に欠けているように目に映るとも新谷准教授は述べています。

 

詳細は上記の本に譲りますが、ここでは、本文に記されている「肥満やメタボリックシンドロームにならないための食事」について見ていきましょう。

 

野菜を食べる

 

厚生労働省では、「健康増進法」という法律に従って、国民の健康の保持・増進を図る上で摂取することが望ましいエネルギー及び栄養素の量の基準を、科学的根拠を基に設定しています。その2015年版によると、日本人の栄養素の摂取基準は、タンパク質13~20%、脂質(脂肪)20~30%、炭水化物50~65%となっています。

 

ここで、それぞれの栄養素1グラム当たりのエネルギーを、タンパク質4キロカロリー、脂質9キロカロリー、炭水化物4キロカロリーとした場合に、1日の摂取カロリーが2000キロカロリーの人について考えると、タンパク質65~100グラム、脂質44~67グラム、炭水化物250~325グラムが摂取基準となります。

 

そこで、2016年の日本人の実際のカロリー摂取の内訳を見てみると、タンパク質14・9%、脂質27・1%、炭水化物58・0%と、基準の中におさまっています。このため、この記事を読んでいる読者が平均的な日本人であるとすると、栄養素のバランスという意味では現在のままで大きな問題はないと思われます。

 

しかし、食品ごとで見ると、改善すべき点がいくつかあります。その一つが、野菜の摂取です。

 

農林水産省が毎年発表している「食料需給表」によると、2016年の日本人の1日当たりの野菜の摂取量の平均値は276・5グラム。これは、この15年間で一割以上も減少しています。厚生労働省が発表した「健康日本21(第二次)」では、1日当たりの野菜の摂取量の目標値を350グラムに設定しています。したがって、現在の野菜摂取量は、この目標値を大幅に下回っているといえます。

 

これまでの多くの研究から、野菜類を多く摂取している人ほど内臓脂肪の蓄積が少ないことが分かっています。野菜は低エネルギーの食べ物であり、また、野菜に多く含まれる食物繊維は、糖質の吸収をゆるやかにすることで血糖値の急上昇を抑制するとともに、脂質が吸収されるのをさまたげる働きがあると考えられます。また、野菜や果物に豊富に含まれる「抗酸化物質」には、体内の炎症反応を抑えることで、2型糖尿病や動脈硬化を防ぐ効果があることが分かっています。このため、ふだんの生活の中で野菜の摂取量を増やしていくことが重要になります。

 

朝食は肥満を防ぐ

 

朝食をしっかり摂ると食欲が抑えられ、肥満を防ぐ効果があることが、これまでの研究から分かっています。また、逆に、朝食を抜く頻度が多い人ほど肥満になりやすいという報告もあります。
「朝食抜き」は若い世代ほど目立つ傾向にありますが、朝食を摂らないと前夜の夕食から次の食事までの時間がとても長くなり、軽い飢餓状態になります。
その結果、これを補おうと昼食や夕食では強い食欲が生じて、必要以上にたくさんの食べ物を食べることになりがちです。さらに、体は軽い飢餓状態に対応して、より多くの脂肪をため込もうとするために、体脂肪がたまりやすくなるのです。
また、朝食は体内時計を調整することで、体と頭が活動するためのスイッチとなっていると考えられています。このため、朝食を抜くと、学習能力や運動能力が低下したり、やる気や集中力が低下したりするということも報告されています。
すなわち、肥満を防ぐという観点からも、1日を活動的に過ごすためという観点からも、朝食をしっかり摂ることはとても大切なことなのです。

 

タンパク質の減量効果

 

タンパク質をうまく摂取すると、肥満の予防や改善に効果があることが分かっています。
例えば、タンパク質を食べると、脂質や糖質より少ないカロリーで満腹感を得るとともに、満腹感が長持ちすることが分かっています。
動物実験においても、エサのタンパク質の割合を増やすと、満腹感が増強されて総摂取カロリーが低下することが確認されています。さらに、タンパク質は脂質や糖質より食後に体温を上昇させやすく、この結果、消費エネルギーが増えることになります。

 

以上の効果から、タンパク質が多く含まれる食事を食べていると、減量効果が期待できます。

 

また、うま味成分であるグルタミン酸とイノシン酸も満腹感を生み出す効果があることが、複数の研究から分かっています。
したがって、朝食にタンパク質とうま味が多く含まれた食事を摂ることで、肥満の予防と改善に効果があると思われます。
例えば、豆腐がたくさん入った味噌汁などがオススメです。

この記事の書籍

一度太るとなぜ痩せにくい?

一度太るとなぜ痩せにくい?食欲と肥満の科学

新谷隆史(しんたにたかふみ)
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