醸造時に砂糖添加も当たり前?「ワイン業界」不可思議な常識
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『写真:AFLO』

 

日本のワインの定義には大きな問題があった。ひと昔前までは、「国産ワイン」を日本のブドウで造ったワインと信じて買う人たちは多かった。実はこの国産ワインは、海外から輸入したブドウや濃縮果汁を使っても、「国内で製造」されれば「国産ワイン」と呼べたのだ。

 

2015年10月30日、国税庁は「日本ワイン」を定義し、国産ワインと区別するようになった。表示基準を策定して3年後に適用というところまできた。

 

ワイン界のアニキ、人によってはワイン界のお父さん、飲食業界の目利きと慕われる勝山晋作という人がいる。その勝山がこう指摘する。

 

「俺がナショナル(ナショナル麻布スーパーマーケット)で働き始めた頃、先輩から聞いた言葉は衝撃的だったな。某国産ワインを指さして、『これ、瓶詰めが日本だから国産って表示されているけど、中身は海外のワインなんだよ』って、普通の顔で言っていた。外国からワインを輸入して、それを詰め替えるだけで『日本産のワインです』なんて、組み立て工場と同じじゃない。

 

いやいや、いいのかこれで、と思ったよ。法律に反しているわけではないっていうのが、なんだか腑に落ちなかったな。だから自分でも調べてみたんだ。そうすると、身近なところに海外からワインの原料であるブドウを輸入しているところがあったんだよね。いやー、驚いた。俺が20代の頃の話だよ。正直、そのことがずっと引っ掛かってる」

 

1985年、勝山がワインをガンガン売っていた頃、ワイン界を大きく揺るがすニュースが飛び込んできた。オーストリアワインの「不凍液混入事件」である。甘さを添加する目的で、不凍液で使われるジエチレングリコールが、オーストリア産のワインに添加されていたと大騒ぎになった。

 

これは法に触れることなので大問題に発展したが、法に触れない範囲でいえば、けっこう「これってどうなの?」というグレーゾーンが飲食業界にはある。たとえば、製造工程で砂糖を加える加糖は普通に行われている。再び勝山が言う。

 

「その昔、テレビを見ていたら、有名なボルドーのシャトーが紹介されていたんだけど、そこに山ほどの砂糖らしき袋が映し出されていた。夢を見てたのかもしれないが。

 

アルコールは糖分を分解してできるから、糖分が多いとしっかりしたワインができる。だから、ブドウの出来が悪くて糖度が低いと、定められた範囲内で砂糖をブドウ液に加えて、アルコールに分解させる。加糖は別に禁止されていないし、法の範囲内だから問題はないんだよ。

 

でも表示の義務はないから、砂糖を加えているなんて思ってもいない消費者も多いだろうね」

 

フランスでは、自分の村で造ったワインだから自分の村の名前をつけたいと思っても、たとえばその年のブドウの出来によってアルコール度数が基準に満たなかったら、その名前はつけられない。だから、条件を満たすために基準内の量だったら、砂糖を加えていいことになっているのだ――。

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アウトローのワイン論

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勝山晋作/著 writing 土田美登世

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