糖質制限が普及すれば歯周病と虫歯はこの世から消える
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『写真:AFLO』

 

歯周病と虫歯の発生は、一般に次のように説明されている。

 

(1)口腔内常在菌のミュータンス菌はショ糖を基質としてグルカン(ブドウ糖が結合した重合体)を生成。グルカンが歯牙表面に結合して歯垢となる。

 

(2)ミュータンス菌はショ糖や麦芽糖を分解して乳酸を産生するため、口腔内は酸性になり、エナメル質の脱灰(分解)が起こる。

 

これらのことから明らかなように、虫歯や歯周病の原因はショ糖と加熱デンプンである(加熱デンプンは唾液中のアミラーゼの作用で麦芽糖に分解されるから)。

 

先史時代の歯牙の化石には虫歯の痕跡はほとんどなく、同様に、穀物摂取をしていない各地の先住民にも虫歯がほとんどないことが報告されている。

 

一方で、狩猟採集生活から農耕生活に移行すると同時に虫歯が増え、先住民の生活に砂糖と穀物が持ち込まれると歯周病と虫歯が増加する。

 

哺乳類の歯牙は、乳歯から永久歯に一度だけ生え替わり、永久歯が抜けたらもうスペアはない。人間も6~8歳以降は死ぬまで永久歯を使い続けるしかない。

 

これは一見、生存に不利なシステムのようだが、先史時代のヒトには虫歯はほとんどなかったことから考えると、不慮の事故で歯牙を損傷でもしない限り、歯が一度しか生え替わらないことは特に問題にならなかったと考えられる。

 

だからこそ、大多数の哺乳類は、「一度だけ歯が生え替わる」システムを変更することなく使っているのだろう。

 

逆にいえば、一度しか歯が生え替わらない哺乳類にとって、「歯牙脱落原因物質」である糖質(ショ糖、麦芽糖、ブドウ糖、加熱デンプン)は、絶対に口にしてはいけない物質なのである。このことからも、糖質はヒト本来の食物ではないことは明らかだ。

 

そんな事情は露知らず、ヒトは穀物を食べ始めたのだ。ほどなく虫歯の痛みに悩まされ、歯牙が抜け落ちるという前代未聞の困難に直面することになったはずだ。

 

歯科医院も入れ歯もない時代では、これは生死を分ける問題である。通常の食べ物は、咀嚼して小さくしなければ飲み込めず、咀嚼せずに無理に飲み込めば、窒息死が待っている。

 

しかし、歯牙を喪失しても、ヒトは生き延びられた。穀物(加熱デンプン)があったからだ。穀物は加熱すると柔らかくなり、歯で噛まなくても飲み込めたのだ。彼らは、歯がなくても食べられる穀物に感謝しつつ、穀物を食べたことだろう。

 

だがその後、わずかに残っていた歯牙も抜け落ちることになる。「歯が抜けても食べられるもの」が、じつは歯牙脱落の真犯人だったからだ。

 

それから1万年が経過した21世紀においても、ヒトは糖質を必須栄養素として食べ続け、歯周病と虫歯に悩まされ、抜け落ちた歯牙を入れ歯やインプラントで補い、それでもなお、糖質を摂取している。この点に関しては、21世紀の糖質摂取者は、1万年前の穀物摂取者から全く進歩していないようだ。

 

なお、現代医学ではミュータンス菌は「虫歯菌」と忌み嫌われているが、彼ら(ミュータンス菌)が虫歯と歯周病を発症させるのは、あくまで「糖質を摂取」している場合のみであり、糖質を摂取しなければミュータンス菌は歯周病も虫歯も発症させることはない。

 

つまり、ヒトが穀物を食べ始める以前の世界では、ミュータンス菌は無害な口腔内常在菌の一つだった可能性が高い。

 

ちなみに、知人の歯科医は、「糖質制限が普及すれば歯周病と虫歯はこの世から消え、歯科医のほとんどは失業する」と断言している。歯科医が必要とされない未来を予言する歯科医は、最も信頼できる歯科医である。

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夏井睦(なついまこと)
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