「気分が落ち込みがちな人は『鉄』不足を疑え」と精神科の医師
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『写真:AFLO』

 

私は精神科の医師です。広島で心療内科クリニックを開院しており、患者さんの多くは「気分の落ち込みが続いている」「学校や会社に行けない」などの不安定な症状を訴えて来院されます。

 

当院ではそうした患者さんに対して、栄養療法を中心とした治療を行っています。治療の第一歩として行っているのが、「フェリチン値を測定する」ということです。これは通常の心療内科では行われていないと思います。

 

フェリチンとは、鉄を貯蔵できるタンパク質のことで、フェリチン値が表すのは、「体内にどれだけ鉄分がストックされているのか」ということです。

 

じつは、心療内科を受診する患者さんのうち、とくに女性の中に、そのフェリチン値が著しく低い方が多いのです。気分の落ち込みがひどい方ほど、体内の鉄分貯金箱は「空っぽ」、つまり、深刻な鉄不足がみられます。

 

日本人女性の鉄不足の現状をみていきましょう。
厚生労働省が行っている、国民健康・栄養調査の結果(平成20年)をみてみます。「第3部 身体状況調査の結果」の中の、第38表の2に、「フェリチンの分布(性・年齢階級別)」が掲載されています。

 

20~49歳の女性のうち約70%は、フェリチン値が30以下、約85~90%は、フェリチン値が50以下という値を示しています。この数値は、ほとんどの人が重度の鉄不足であることを示しています。20代でフェリチン100ng/ml以上(当院ではこれを目標としています)を示す人はゼロ、30~49歳でもごく稀です。日本女性全体が深刻な鉄不足に陥っていることがわかります。

 

おそらく日本女性の多くが、心療内科や精神科クリニックにかかっているか否かにかかわらず、何らかの心身の不調を抱えているものと推測されますが、そうした女性の不定愁訴の原因の多くに鉄不足が関わっていると私は確信しています。

 

もちろん、精神疾患の原因としては、職場や家庭でのストレスなどの環境要因が大きいものですし、また、同じように鉄不足でも、症状が出るかどうかは個体差もあります。

 

ただ、総じていえることは、鉄・タンパク不足になると、外部からのストレスに対する心身の脆弱性が生まれてしまうのです。神経伝達物質やホルモンの働きが落ちるばかりではなく、エネルギー代謝自体も滞ることになるからです。

 

日々の暮らしや仕事の中で、何かショックな出来事や悩ましい事態が起きたとき、すぐに立ち直れる場合と、なかなか立ち直れない場合があるかと思いますが、鉄・タンパク不足の場合には後者に陥りやすくなってしまいます。

 

 

以上、藤川徳美氏の新刊『うつ・パニックは「鉄」不足が原因だった』(光文社新書)より引用しました。
めまいやふらつき、倦怠感、イライラ、朝起きられない、冷え性、頭痛……「高タンパク・低糖質食+鉄剤」療法によって多くのうつ・パニック患者を完治させている精神科医が、多数の症例を交えながら、鉄・タンパク摂取の重要性を伝えます。

この記事の書籍

うつ・パニックは「鉄」不足が原因だった

うつ・パニックは「鉄」不足が原因だった

藤川徳美(ふじかわとくみ)
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