ベストセラーを狙って作る異能編集者の「逆張りド正論」『書籍編集者を目指すあなたが読むべき本』

大山 ヴィレッジヴァンガード新店立ち上げ隊長

『書籍編集者を目指すあなたが読むべき本』イケハヤ書房
著/箕輪厚介

 

「多動力」/堀江貴文
「お金2.0」/佐藤航陽
「たった一人の熱狂」/見城徹
見事に全部読んでませんが、この本の著者の箕輪厚介氏の編集による本たちです。
全部ベストセラーです。素直にすごいです。

 

ただしこの本、出版元がイケダハヤト氏のイケハヤ書房…
しかも帯のフォントがよりによって世界一嫌いな「創英角ポップ」。
いくらkindle unlimitedだからと言っても普段なら絶対近寄りません。
ましてや書籍編集者を目指してるわけでもない。

 

水道橋博士と「HATASHIAI」で対戦する、なんてわけのわからない事案が発生しなければ一生読まなかったかもしれません。
そもそもこれを試合の1日後にkindle unlimitedにアップするamazon!
(※HATASHIAI:ホリエモンが立ち上げた格闘技の素人同士がリングで戦うイベント)

 

発端となった百田尚樹氏の「殉愛」をめぐる騒動に対しての水道橋博士の義憤はある程度理解はできます。
裁判は全部負けても出版差し止めにはなりませんでしたし。
(この本のレビューには正直関係ないので各々「殉愛 裁判 判決」とかでググっていただけると助かります…)

 

とは言え!箕輪厚介氏は「殉愛」の編集者でも何でもない。
「殉愛」を出版した「幻冬舎の社員」ってだけなんですけど!?

 

しかもその人とリングで決着ってなに?!はぁ????
そして関係ないのに引っ張り出されて本当に格闘技の試合までしてしまう編集者の箕輪厚介って何モノ!?
博士もおかしいけどこの人もどう考えても普通じゃない…

 

そう、「普通の人がやらないことをやる」のがまさにこの箕輪厚介氏の仕事のやり方。

 

「階段は上から降りる」=「一番最初に一番の大物にアプローチする」
すなわちいきなりラスボスに挑め、ってことなんですが、
「初めて作った雑誌の創刊号の表紙の写真をレスリーキーに依頼する」
なんてその最たるもの。

 

見事なまでの「逆張りド正論」。
「人と同じことやってちゃ勝てないよ」って言われたら「そうですね」以外に返す言葉ないです!
既存の枠組みの中で「コツコツ積み重ねる」の真逆。

 

しかし、箕輪氏の考え方は「努力」を否定するものでは全くなく、狙った著者に対する憑依レベルの分析(ブンセキとカタカナで書いてましたが)に費やす時間とその分析の深さは吉田豪氏もかくや、という凄みがあります。
むしろめちゃくちゃ努力してる。

 

イノベーティブな人物を常にアンテナ張ってリサーチし、泥臭く労を惜しまないブンセキで徹底的に前準備をしてその人物を口説き落とし、戦略的なプロモーションでバズらせる…
このやり方って要するに企画、編集、販促、営業の全部ですね。
組織にいながら組織に依存しない人は強い。

 

最終的に箕輪厚介氏の編集で水道橋博士の本が出る、なんて話になればいいオチなんですがちょっとムリかな…
これだけ博士が体を張って試合自体はニュースになっても、殉愛の件に言及するのは個人のブログとネットニュースがほとんど。
なんならネットニュースのインタビューにすら忖度が…
本は面白かったけどなんか後味悪い!もう!

 

 

ー今月のつぶやきー

4年ぶりに昔住んでた沖縄に出張で行きました。
奥さんに頼まれたスパムが重かった…沖縄のスーパーだと200円切ることもあるんですよね~。

 

 

『書籍編集者を目指すあなたが読むべき本』イケハヤ書房
著/箕輪厚介

この記事を書いた人

大山

-oyama-

ヴィレッジヴァンガード新店立ち上げ隊長

本は読むのと同じぐらい、新しい本を探すのも読んだ(あるいは読んでない)本について語るのも好き勝手に本棚に並べるのも好きです。 人の本棚見るのも大好きです。

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