『ネオ』歴史小説(後編)
市川淳一『ぼんくら書店員のぼんくRADIO』

bw_manami

2019/04/25

◆とにかくめちゃくちゃ面白い!2人がオススメのネオ歴史小説

 

園原:まあ、かなりじっくりとウイイレの話も聞かせていただきましたけど。改めて「ネオ歴史小説」の魅力というのは、市川さんの話を伺っていると、間口の広い小説のジャンルだなと思って。最初に出た司馬さんの歴史小説のイメージとはまた違ったところから入ってこれる小説かなと。

 

市川:最近の層からもハードルは本当に高くなくて。例えば刀剣乱舞とか、そういうところから入っていってもきっと面白いだろうし。ソシャゲから入って普段親しんでいない人たちにも堅苦しくなく、エンタメとして楽しんでもらえるジャンルなのかなとは思っています。

 

―今回たっぷりと「ネオ歴史小説」の魅力を語ってもらったんですけど、私みたいに全く手を出したことのない人は具体的にどういう小説から入れば面白いんですか?

 

市川:先ほどお話した木下昌輝さんの『宇喜多の捨て嫁』。めっちゃ面白いです。

 

園原:面白いですね~。

 

市川:天野純希さんの『破天の剣』。あとは『覇道の槍』もすごく面白いです。講談社さんで「決戦シリーズ」という、新進気鋭の作家さんから伊東潤さんのようなベテラン、大御所まで色々な人たちがアンソロジーで書いてらっしゃる作品があって。あれもすごい面白い。

 

園原:もう何作も出ていますもんね。

 

市川:8作まで出ている。ちなみに設楽が原の合戦なんですけど。色んな武将の視点から、キャラ立ちした作品があったりしておすすめです。……おすすめばっかりですね(笑)

 

園原:いや、おすすめしてください(笑)

 

―園原さんとしては、何かこう。

 

園原:僕も、今市川さんが仰った天野さんが大好きで。『桃山ビート・トライブ』。デビュー作なんですけど、信長の時代の話で。現代的な感覚というか、文体もリズミカルでかつエンターテインメントとしての躍動感もあって。注目している作家だな。

 

市川:天野純希さんだと、僕は合戦のシーンがすごく好きで。

 

園原:血沸き肉躍る。

 

市川:血沸き肉躍るんだけど、ちょっとね、こう、幾ばくかの悲しげな感じがあるんですよね。

 

園原:哀愁とはまたちょっと。

 

市川:似てるかも。こんなことやっても争いをまた生むだけだよな、みたいな諦観がちょっと流れている気がする。僕はあれが好きで。

 

―なるほど。

 

市川:あとは「オール讀物」の記事でも載ってたんですけど、木下昌輝さんが大好きで。文春さんから出ている『宇喜多の捨て嫁』。読まれましたか?

 

園原:…………もちろん。

 

市川:(笑) 読んでないんじゃない?(笑)

 

園原:途中まで読んでます。

 

市川:めちゃくちゃ面白いんで、これもおすすめです。木下さんの作品って戦国時代、これは宇喜多直家が主人公なんですけど、どの作品もすごいスタイリッシュなんですよね。ご本人にも「『ゴッド・ファーザー』みたいですね」っていう話をしたんですけど。なんか、すっごいオシャレなんですよ。キャラクターの描き方とか人物造形が。で、骨太な歴史小説っていうスタンスも崩さない。ちょっとミステリーっぽい要素もあったりして、めちゃくちゃ面白いエンタメ小説だと思うので、歴史はどうとか関係なく、絶対に読んで欲しい一冊です。

 

―ありがとうございます。そんなこんなで、今日は園原さんをゲストに、というかピンチヒッターにお迎えして、市川さんと園原さんで「ネオ歴史小説」の魅力をたっぷりと語ってもらいました。

 

市川:でも半分はパラメータの話。

 

園原:(笑)

 

―お尻の方が盛り上がりすぎてしまいましたが。ネオ歴史小説の特徴としてパラメータというのがひとつキーワードになると。それも踏まえて読んでもらえたら新しい魅力に気づいてもらえるのではないか、というところですね。では、そんなこんなで。ありがとうございました。

 

園原:ありがとうございました。

 

市川:ありがとうございます。知力3の市川がお送りしました!

 

―武力は95くらいありますかね。

 

園原:素晴らしい。

 

市川:ないですね~(笑) じゃあ、ありがとうございました~。

ボンクラ書店員のぼんくRADIO

ぼんくら書店員・市川

「『竜馬がゆく』と『燃えよ剣』の出版社の違いが分かる」を理由に、自信満々で某チェーンにアルバイトとして入社し10年が経過。光栄のゲームの武将パラメータを眺めながら、歴史小説を読むのが日課のボンクラ書店員。たまに本の帯やポップをデザインしたり、小説の巻末に漫画を描いたりしています。1981年神奈川生まれのAB型。
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