小説家・矢野隆が語るゲームと小説の交差点(前編) ゲームウォッチ、バーチャ2、メタルギア、ドラクエ5はどこかで創作につながっているのか?
市川淳一『ぼんくら書店員のぼんくRADIO』

ryomiyagi

2020/02/20

 

■自分でもひくほどやった「バーチャファイター2」

 

―色々なゲーム遍歴がある中で、特にこれにのめりこんだな~っていうのはあったりしますか?

 

矢野さん:自分でも過去を振り返って、ひくのは「バーチャファイター2」ですね。ちょうど専門学校に行ってた頃で、時間もあってバイトもしていて。高校時代から解放されるというか、自由じゃないですか。その時代、金が入るたびに100円玉に両替して。バーチャファイター2は一大ブームだったんで、いつ行っても対戦相手がいて。ゲーセンでやってましたね~。

 

市川:バーチャファイターが出た時って、みんなの中でざわざわ感がありましたよね。

 

矢野さん:今ある対戦台とは違って、バーチャはでっかい筐体に椅子がゲーセンの一等地にドカンとあって。座るのがなんか恥ずかしいんですよ。でも、画面を見て「なんだこれ!」っていうのがありましたね。

 

※「バーチャファイター2」……セガ・AM2研(後のセガ・インタラクティブ第二研究開発本部)が開発し、セガ(後のセガ・インタラクティブ)から発売された3D対戦型格闘ゲーム。1994年、当時の最新3DCGアーケード基板である「MODEL2」を使用しリリースされた。バーチャファイターシリーズの第2作である。2のアーケード版は1995年7月より稼働開始。(wikipediaより)

 

市川:ざわざわ感があったのは「ファイナルファイト」「ストII」「バーチャファイター」が出た時。学校中がざわざわしてましたよ。駄菓子屋さんにストIIが置いてあったんですけど「なんかすっげーもんが出たぜ!」みたいな。

 

矢野さん:いまだに、古い旅館に行くと筐体がありますよね。俺のswitchには「ストリートファイターコレクション」と「カプコンベルトアクションコレクション」が入ってますよ。

 

市川:僕も買いました。「天地を喰らうII」がやりたくて。

 

矢野さん:ベルトアクションの。ファイナルファイトも入ってますよね。あれ僕も持ってます。

 

―「ストリートファイター」「バーチャファイター」とかいろんなゲームがあって、それぞれ宗派があると思うんですけど、一通りやっているんですか?「ストリートファイターしかやらない」ではなくて。

 

矢野さん:あ~なるほど。

 

市川:バーチャファイター派から言わせると、そこには「リアリズム」があったんですよね。飛び道具とか一切なくて「対戦」をするという。

 

矢野さん:元々はストIIがすべてを拡げていった。SNKが餓狼とかサムライスピリッツとかを出していって。飛び道具が出たりとか2Dになったりとかして。それでバーチャが出たのが革新的だった。

 

※SNK……1970年代から2001年にかけてゲーム機やゲームソフトの企画・開発・販売、及びアミューズメント施設の経営などの事業を行っていた日本のゲームメーカー。ループレバーや、業務用筐体と家庭用ゲーム機に共通フォーマットを採用し、自社の業務用ゲームをそのまま家庭でも遊技出来るゲームシステム「ネオジオ」の発売元として知られる。(wikipediaより)

 

市川:だから(バーチャは)対戦で負けるとより悔しいんですよ。

 

―言い訳がきかない。

 

矢野さん:それまでは間合いを詰める手段が「ジャンプ」だったんですね。でも、バーチャでそれをやると無防備にやられる。なんだこのリアルな感じ…!と。

 

金森さん:チートキャラみたいなのは?

 

矢野さん:ありますよ。ラウとか。

 

※ラウ……武術家としても料理人としても著名な人物。自らが不治の病であることを知りつつも虎燕拳の継承者を探すためトーナメントに出場する。ストーリー上では「第1回大会」優勝者である。ドラゴンボールの桃白白をモチーフにしたキャラクターで、開発当時は名前も「タオ」だった。威力に優れたラッシュを得意としており、また複雑な要素が少なく比較的扱いやすいが、必要なコマンド入力や展開もラッシュ系キャラクター故に高速である。(wikipediaより)

 

金森さん:そういうのを使うと反感は?

 

矢野さん:技術によって全然違いますね。

 

―こいつはちゃんと使いこなしている、癖を熟知しているなとか。

 

矢野さん:ストIIでもザンギ(ザンギエフ)使ってうまいやつはいるので。

 

市川:前回のザンギエフの話を思い出しますね(笑)「待ちガイル」とかもありましたね。

 

※待ちガイル……ストリートファイターIIにおいて猛威を奮った戦術。 左斜め下(右向き時。左向き時は逆の右斜め下)でしゃがんだ状態を維持することで、ソニックブームとサマーソルトキックのタメを同時に作ることができることを利用したもの。 相手が遠くに居る場合はソニックブームや小パンで牽制、歩いて近づいてきた相手には出が早くリーチが長いしゃがみ中キックで追い払い、ジャンプした相手はサマーソルトキックで迎撃するというスタイル。 特に一部のキャラクターに対しては非常に強力な戦術であった為、一部の店舗では待ちガイルを規制する店舗もあった。(ニコニコ大百科より)

 

ボンクラ書店員のぼんくRADIO

ぼんくら書店員・市川

「『竜馬がゆく』と『燃えよ剣』の出版社の違いが分かる」を理由に、自信満々で某チェーンにアルバイトとして入社し10年が経過。光栄のゲームの武将パラメータを眺めながら、歴史小説を読むのが日課のボンクラ書店員。たまに本の帯やポップをデザインしたり、小説の巻末に漫画を描いたりしています。1981年神奈川生まれのAB型。
関連記事

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitterで「本がすき」を