療育はどんな感じで進むのか?
岡嶋裕史『大学教授、発達障害の子を育てる』

ryomiyagi

2019/12/12

 

療育について聞かれることがあったので、どんな感じで進むのか少しだけ書いておこうと思う。

 

時系列で示すと、1歳児健診とか3歳児健診でスクリーニングされて、「公の施設などに行かれてはいかがですか」といった言い回しで、やんわりと療育施設に行くことを促される。あまり症状が重くないケースでは、このスクリーニングにはひっかからず、未就学児向けの習い事、リトミックとかお受験とか、その辺のクラスで同様のコースを辿る場合もある。

 

このスクリーニングの瞬間がけっこうキツいという人が多くて、リストラの肩たたきにも似て、「ああ、もうこの場所には居られないのか」としょんぼりすることもある。

 

このとき、医師や看護師さんがとても遠回しに伝えようとするので、発達障害だと言われているのになかなか気付かなかったパターンと、ちゃんと伝えようとするあまりか、とても断定的に、割とひどいこと言われて傷ついてケースワーカーさんに慰められたりするパターンに二極化しているように思う。

 

ぼくの場合は、大学病院の臨床心理士さんが口を極めて、発達障害の親と子がいかにダメなのかについて力説してくれたので、勘違いして先延ばしにする余地はなかった。その意味では感謝しているが、もうちょっと言い方があるだろうとも思ったので、その人の名前はいまでも「人生のなかで腹が立った人リスト」の上位のほうに載せてある。

 

療育といっても色々で、特に民間の場合は方法論、通所形態、療育時間などバリエーションに富んでいるし、費用もお値打ち価格から青天井までとんでもない開きがある。

 

これが公になると、(自治体ごとにオペレーションするので、差はあるが)ざっくりと学齢児、未就学児で制度が分かれ、未就学児では通所が基本かなあと思う。ちょっと負担の軽い幼稚園といった体の施設である。あ、軽いというのは子どもの負担の意味である。幼稚園と違って、療育のプログラムは(特に子どもの年齢が低いうちは)親が付き添うのが基本なので、親の負担はとても大きい。あれは疲れる。いい運動にはなるけど。

 

おうちに何人も子どもがいる場合は無理をしないで、親戚や行政の手を借りた方がいいと思う。障害のある子+障害のある子の組み合わせはいわずもがなだし、障害のある子+定型発達の子の組み合わせも、行く場所や参加するプログラムがいちいち異なるので、それはそれで高負担である。

 

施設に毎日通う形態をベースラインとして、症状が軽めの子であれば週1とか月1しか通わない形態もあるし、もう少し重めの子であれば自宅に先生が来てくれたり、施設の中でも別クラスになったり、医療的な措置が必要な複合障害だったりするとそもそも通う施設が別になったりする。

 

ぼくの子の場合は、療育施設に毎日通所という、標準のど真ん中(というのも変な話だが)なポジションだった。これは今でもずっと変わらない。たとえば、幼稚園に行く年齢になると、「だいぶ発達が進んだので、通常の幼稚園に週なんにちか混ざってみましょうか」とか、「うまく混ざれたので、幼稚園に転園しましょうか」といった子も出てくるし、反対にだんだんプログラムが進んでいくので、ちょっとついていくのが辛くなってきて、「重い子さんクラスに移りましょうか」と促されることもある。

 

ぼくの子はどちらに遭遇することもなく、たんたんと療育施設とか、自閉症児クラスの真ん中へんに居続けている。自閉スペクトラムの子は概ね変化が苦手なので、安定した環境で有り難いなあと思いつつ、障害児教育だとどうしても社会や理科の教育は省かれる傾向にあるので、そこは残念に思う。

 

自閉スペクトラムだと、ものすごく理科に興味を示す子もいるし、生活自立のために社会って重要では? とも思うので、そういう機会を作ることができなかった自分の力不足は痛感している。

 

発達障害に関する読者の皆さんのご質問に岡嶋先生がお答えします
下記よりお送りください。

 

大学の先生、発達障害の子を育てる

岡嶋裕史(おかじまゆうし)

1972年東京都生まれ。中央大学大学院総合政策研究科博士後期課程修了。博士(総合政策)。富士総合研究所勤務、関東学院大学准教授・情報科学センター所長を経て、現在、中央大学国際情報学部教授、学部長補佐。『ジオン軍の失敗』(アフタヌーン新書)、『ポスト・モバイル』(新潮新書)、『ハッカーの手口』(PHP新書)、『数式を使わないデータマイニング入門』『アップル、グーグル、マイクロソフト』『個人情報ダダ漏れです!』(以上、光文社新書)など著書多数。
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