【読者からの質問】子どもがゲームばかりしています。大丈夫でしょうか?
岡嶋裕史『大学教授、発達障害の子を育てる』

ryomiyagi

2020/03/26

 

Q 子どもが一日中ゲーム三昧なんですが、大丈夫ですか?

 

A 前提として、一日中ゲーム三昧→自閉症ではありません。定型発達のお子さんでも、一日中ゲーム三昧の子はたくさんいます。でも、自閉症→一日中ゲーム三昧になりがち、ではありますよね。ご心配なことと思います。

 

自閉傾向の強い子は、どうしても興味の幅が狭くなりがちですし、いえ狭いでは足りないですよね。針の穴を通すような視野でしかものを見ていないと思います。ぼくもコンピュータとF1とゲームとアニメと二次元女子にしか興味がありません。

 

「今はこんなに好きなアニメも、大人になったら興味がなくなってしまうのか」と青春期に寂寥を感じたことがありましたが、ついにそんな日は訪れませんでした。

 

「好き」と言えば聞こえがよいですが、その程度は尋常ではありません。ぼくはFF(ファイナルファンタジー)のナンバーシリーズなどを始めてしまうと、ついうっかり何十時間か過ぎてしまうことがあります。無意識のうちに水分補給していればいいのですが、それも忘れてしまうときがあって、年齢を考えると命を危うくするレベルです。

 

ぼくの子も、外的に制約を与えてやらなければ、一日中戦国武将の家紋を覚え続けたりしています。やはり社会生活が危うい水準です。だから障害なんですけど。

 

色々なものを知ったり、様々なものに触れたりすることは人生を豊かにすると思いますので、本人がどれだけ好きそうにしていても、手を引いて違う世界や外の世界を見せてあげることは重要なのだと思います。とりわけ人生の初期においては。

 

知った上で、やっぱりゲームに帰って行くのであればそれも一局ですが、知らないことは人生の選択肢と可能性を狭めていると思うのです。定型発達のお子さんであれば自分から外の世界に興味を持ち、学び、自ら人生の選択肢を広げていきますが、自閉傾向のあるお子さんの場合はそれを周囲が与えてあげる必要があります。

 

本人は怒るかもしれないし、嫌だろうけれど、この問題における周囲の適切な介入って大事なんだと思います。

 

じゃあお前はどうなんだと言われると、ちっとも人生の可能性を広げていないので、偉そうなことは何も言えないのですが、失敗した人の側の意見だと思っていただければ幸いです。

 

ぼくは、新しい場所や新しい人や新しい行動が苦手な子でした。いまでもそうです。いろいろ事情もあって人前に出る機会もありますが、どこに行ってもまずは1人になれそうな場所や優しそうな人を探します。

 

学校なんて何年も同じメンツで過ごすわけですから、家くらいリラックスできる場所であってもよさそうなものですが、毎日通うだけでへとへとでしたし、帰宅してからゲームをせずにはいられませんでした。あれだけ辛い思いをしたわけですから、何かご褒美が必要です。たとえそのご褒美が徹夜になって、次の日学校に行くのを難しくするのだとしても。

 

ぼくはちょっと尋常ではないくらいゲームに時間を使いましたが、当時はそんなに大量のコンテンツも、やり込み要素の強いゲームもありませんでした。だんだんやるべきものがなくなってくると、自分で作らざるを得なくなって、プログラミングに手を出すことになります。

 

プログラミングはコンピュータとの対話のようなものなので、コミュニケーション欲求はどこかにありつつも、人とのコミュニケーションは苦手だったぼくにはとても楽しいものでした。やはりここでも、ちょっとおかしいくらいの時間をプログラミングに投じることになりました。

 

そのときの経験、費やした時間は、確実にいまの仕事に生きていますが、だからと言って万人にすすめられる生き方ではありません。ぼくはゲームの山に囲まれて過労死していたかもしれませんし、おそらくそちらのほうが蓋然性が高かったでしょう。個人的にはそれはそれで幸せなのですが。

 

だから、先ほどの繰り返しになりますが、違う道の可能性を示してあげられればと思います。といっても、1人で別の趣味は見つけないでしょうし、親御さんと一緒になにかやるのは気恥ずかしい年齢でしょう。リアルなイベントや習い事に出かけるのに抵抗がなければ、どこかに送り出してあげるのもいいと思います。オンラインやVRのイベントというのもアリです。

 

発達障害に関する読者の皆さんのご質問に岡嶋先生がお答えします。
下記よりお送りください。

 

大学の先生、発達障害の子を育てる

岡嶋裕史(おかじまゆうし)

1972年東京都生まれ。中央大学大学院総合政策研究科博士後期課程修了。博士(総合政策)。富士総合研究所勤務、関東学院大学准教授・情報科学センター所長を経て、現在、中央大学国際情報学部教授、学部長補佐。『ジオン軍の失敗』(アフタヌーン新書)、『ポスト・モバイル』(新潮新書)、『ハッカーの手口』(PHP新書)、『数式を使わないデータマイニング入門』『アップル、グーグル、マイクロソフト』『個人情報ダダ漏れです!』(以上、光文社新書)など著書多数。
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