第13回 『柳生一族の陰謀』
春日太一が厳選!いま配信で見たい時代劇

BW_machida

2020/06/26

 

■『柳生一族の陰謀』(映画 1978年)
製作:東映/監督:深作欣二/脚本:野上龍雄、松田寛夫、深作欣二/出演:萬屋錦之介、千葉真一、松方弘樹、山田五十鈴、三船敏郎 ほか

 

地上波のテレビからはほぼ消えた一方で、BS、CS、レンタルショップ、ネット配信などでは膨大な数の作品が見られる時代劇。日本の時代劇を知り尽くした春日太一が、視聴する側のさまざまな趣味嗜好を考慮しながら厳選した150作品を紹介する書籍『時代劇ベスト100+50』が6月11日に発売された。
ここでは、本書の中から現在配信で視聴可能な作品を厳選し、紹介をする。

 

深作ら製作陣が狙ったのは時代劇版『仁義なき戦い』だった。

 

二代将軍・徳川秀忠の死を契機に《跡目》争いが勃発する。

 

そして、家光派、忠長派、それに捲土重来(けんどちょうらい)を目論ろむ公家や一発逆転を狙う豊臣方の浪人たちといった各陣営の思惑が入り乱れ、陰謀が張り巡らされ、血みどろの抗争が展開されていくことになった。

 

深作は『仁義なき戦い』さながらの荒々しい演出をもって、初めての時代劇映画に挑む。

 

中でも、柳生但馬守(錦之介)の指示による相次ぐ大虐殺は壮絶だ。

 

物語中盤の浪人たちが公家の行列を襲撃する場面だ。

 

功名を上げて仕官にありつこうと、それぞれがけたたましい雄叫びをあげながら必死の形相で襲いかかる。

 

だがそれは但馬守の罠で、彼らは一転して柳生の鉄砲隊に取り囲まれてしまう。

 

なんとか生き抜こうと走り回る浪人たちと、そこに容赦なく降り注ぐ砲弾の雨嵐。

 

その中で名もなき無数の浪人たちが次々と倒れていく。

 

次の虐殺は物語の終盤。柳生の裏仕事を手伝ってきた根来衆(ねごろしゅう)を、但馬守は口封じしようとする。

 

そして、根来の里の全てを殺し尽くす命令を下す。

 

命令を受けた柳生は、忍びの者たちはもちろん、女子供にいたるまで、根来の人々を徹底的に撫で斬りにしてしまう。

 

いずれのシーンも深作得意の手持ちカメラが、斬りかかる者たちと逃げ惑う人々の双方の姿を追いかけていく。その結果、阿鼻叫喚の様子を生々しく描き出すことになった。

 

そこで展開されるのは、『仁義なき戦い』をさらにスケールアップさせたような、目まぐるしい大殺戮の映像だ。

 

それに加えて、柳生十兵衛に扮した千葉や志穂美悦子、真田広之らJAC(ジャパン・アクション・クラブ)総出演によるアクロバティックなアクションの連続や、一見ナヨナヨしながら刀を抜けば物凄く強い公家・烏丸少将(成田三樹夫)の衝撃、そして終盤の十兵衛による家光(松方)暗殺、その首を抱えた錦之介の「夢じゃ、夢じゃ、夢でござる!」と絶叫する大芝居で終わるラストまで、とにかく間を詰めて見せ場が次から次へと展開していく。

 

ひたすらハイテンションに、パワフルに押しきる深作演出を堪能できる作品だ。

 

【ソフト】
東映(DVD)

 

【配信】
アマゾンプライムビデオ、DMM.com、Hulu、iTunes、U-NEXT、TSUTAYA、ひかりTV、ビデオマーケット
(2020年5月現在)

 

※アマゾンプライムビデオ は、アマゾンプライムビデオ チャンネルの登録チャンネル「時代劇専門チャンネルNET」「シネマコレクションby KADOKAWA」「+松竹」「d アニメストア for Prime Video」「JUNK FILM by TOEI」「TBS オンデマンド」を含んでいます。

 

●この記事は、6月11日発売された『時代劇ベスト100+50』から引用・再編集したものです。

 

春日太一が厳選! いま配信で見たい時代劇

春日太一(かすがたいち)

1977年、東京都生まれ。時代劇・映画史研究家。日本大学大学院博士後期課程修了(芸術学博士)。撮影所や俳優などの取材をもとに、日本の映画やテレビドラマを研究。著書に『天才 勝新太郎』(文春新書)、『時代劇な死なず! 完全版 京都太秦の「職人」たち』(河出文庫)、『すべての道は役者に通ず』(小学館)、『時代劇入門』(角川新書)など多数。
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