【第2回】オイルの新常識を知っていますか?
友利 新『女医が教える食の処方箋』

 

肌寒くなってきましたが、みなさんいかがお過ごしでしょうか。今回から、具体的なオイルのお話がはじまります。今まで知っていそうで知らなかったオイルの新常識についてお話していこうと思います。

 

◎「油」と「脂」の違いとは?

 

オイル、つまりアブラには大きく分けて「油」と「脂」があります。この2つの違いを知っていますか? ざっくりいうと、アブラは固まるものと固まらないものに分けられます。

 

牛脂など、基本的に固まる動物性のアブラのことを「脂」と呼びます。対して、サラサラしていて固まらないアブラは「油」といいます。いわゆる植物油といわれるものですね。植物油の中にも、ココナッツオイルやヤシ油など固まるものがありますが、大きく分けてアブラはこの2つに分かれます。

 

◎「脂」=「飽和脂肪酸」、「油」=「不飽和脂肪酸」 どちらが体にいい?

 

固まるほうの「脂」を「飽和脂肪酸」といい、固まらないサラサラの「油」を「不飽和脂肪酸」と呼びます。

 

固まるほうの「脂」、つまり「飽和脂肪酸」を摂りすぎてしまうと、動脈硬化やコレステロールをあげる原因になってしまうことは、みなさんもなんとなく知っているかと思います。ですが、悪者にされがちな「飽和脂肪酸」をまったく取らないというのはNG。女性ホルモンをはじめとする、人間のホルモンはコレステロールで構成されています。ホルモンは人間の体になくてはならないもの。したがって、コレステロールを多く含む「飽和脂肪酸」も適度にとらなければいけないのです。ただ、摂りすぎは禁物。ご存じの通り、コレステロール中性脂肪が上がり、生活習慣病の元になってしまうため。「飽和脂肪酸」は摂り方に注意する必要があるのです。

 

逆に、固まらないサラサラの「油」の「不飽和脂肪酸」。この脂肪酸は体にいいと思われがちですが、そうとも言いきれません。じつは、「不飽和脂肪酸」は人間が自ら作れるものと作れないものに分かれます。それらをバランスよく摂ることが重要になってくるからです。

 

◎体で作れる「オメガ9」、作れないから摂取すべき「オメガ3」と「オメガ6」

 

上述した通り、「不飽和脂肪酸」の中には人間が自らの体で作れるものと作れないものがあります。「体で作れない不飽和脂肪酸」は「必須脂肪酸」と呼ばれ、「オメガ3」「オメガ6」という脂質のことを指します。対して、「体で作れる不飽和脂肪酸」は、「オメガ9」という脂質。これらはすべて私たちの日常にある油に含まれる脂質なので、くわしくは下に表の表をチェックしてみてください。

 

●オメガ3・オメガ6・オメガ6について●

《オメガ3系の脂肪酸》
・α-リノレン酸
・EPA
・DHA など

 

《オメガ3を多く含む油脂原料 》
・えごま油
・アマニ油
・ごま油
・しそ油
・青魚 など

 

《オメガ6系の脂肪酸》
・リノール酸
・アラキドン酸 など

 

《オメガ6を多く含む油脂原料》
・サラダ油
・コーン油
・大豆油
・綿実油
・グレープシードオイル など

 

《オメガ9系の脂肪酸》
・オレイン酸 など

 

《オメガ9系脂肪酸を多く含む油脂原料》
・オリーブオイル
・ベニバナ油
・なたね油 など

 

◎必須脂肪酸「オメガ3」と「オメガ6」のふしぎな関係

 

「オメガ3」は、特に聞き馴染みのある脂質なのではないでしょうか。アマニ油やごま油などよくメディアでも取り上げられるこれらも「オメガ3」。何度も言いますが、「オメガ3」は人間が体内で作ることができない「必須脂肪酸」です。

 

では、なぜわざわざ摂取しなければならないのでしょうか? その理由は、「オメガ3」の役割にあります。「オメガ3」は体の細胞膜やホルモンを作ってくれる脂質。また、アレルギーや体の炎症を抑える効果があることがわかっており、必ず体に取り入れたいオイルのひとつです。

 

対して、サラダ油やコーン油、大豆油などが含む「オメガ6」も「オメガ3」と同じように細胞膜やホルモンの原料となる脂質のこと。

 

同じような役割があると思われがちなこの2つの脂質ですが、じつは互いに拮抗関係にあります。

 

「オメガ3」が体の細胞膜をやわらかくしたり、しなやかにしたりするのに対し、「オメガ6」はどちらかというと細胞膜をかたく強化させる役割を担います。体の中の細胞膜はかたすぎてもやわらかすぎてもいけないので、うまくバランスを保っているのです。また、「オメガ6」が体の中で炎症を起こしている異物を排除すると、「オメガ3」は逆にその炎症をちょうどよく抑えるような働きをすることも――カンのいい方はもうおわかりだと思います。そう、オメガ3とオメガ6はどちらかだけではなく、互いに必要とし合っている脂質。お互いをカバーし合い、競合しながら体の中でバランスをとっているのです。

 

どちらが高くても、低くてもダメ。「オメガ3」と「オメガ6」をバランスよくとることが上手に「必須脂肪酸」を摂取するコツなのです。

 

◎体で作れる「オメガ9」の役割は?

 

オメガ9が入っているのはオリーブ油やベニバラ油など。オメガ9は食べ物からも摂取できる上、「オメガ3」や「オメガ6」と違って、体内で作ることができる脂質です。実際のところ、わざわざ摂取しなくてもよいとされているため、脂質の性能上はプラスになることもマイナスになることもそこまでありません。ただ、オリーブ油などにはポリフェノールやビタミンEが豊富に含まれているため、健康のためには摂取したほうがいいでしょう。

 

◎「オメガ3」「オメガ6」「オメガ9」はバランスよく摂取することが大切

 

ヨーロッパの人々は心臓病が少ないといわれています。その理由は、彼らの食生活。彼らは、よく青魚や、オリーブオイルをかけたサラダを食べることで、青魚から「オメガ3」を、オリーブ油で「オメガ9」を摂取しているのです。

 

「あれ? オメガ6は?」と思った方。じつは「オメガ6」を特段摂取しなくてもいい理由があるのです。「オメガ6」を多く含むサラダ油やコーン油、ごま油などは、家庭での料理や外食産業に使われることが多い脂質。つまり、放っておいてもふだんの食生活から自然と体に摂取できしまうともいえます。知らぬ間に「オメガ6」をたくさん摂取し、バランスが偏ってしまうこともあるため、逆に「オメガ6」は取り方には注意が必要です。

 

「オメガ6」をはじめとする脂質のバランスのよい取り入れ方は次回以降の連載で説明していこうと思います。

 

次回は、具体的に実際の食生活に応じてどうやってオイルを取り入れていくのかについての処方箋をお出しし、オイルにより生活習慣病のリスクなどについても触れていく予定です。絶対に見逃さないでくださいね。

女医が教えるオイルの処方箋

友利 新(ともり あらた)

医師(内科・皮膚科) 琉球大学医学部 非常勤講師。沖縄県宮古島出身。 東京女子医科大学卒業。 同大学病院の内科勤務を経て皮膚科へ転科。 現在、都内のクリニックに勤務の傍ら医師という立場から、美容と健康を医療として追求し、美しく生きるための啓蒙活動を雑誌・TV などで幅広く展開中。 また、2014 年の出産を機に、安心安全なベビースキンケア商品を欲し、「ベビー予防スキンケア」というコンセプトで自ら研究開発、商品化。そして起業し、医師、母、社長、と多忙な毎日を送っている。 2018年8月には、原材料の油にこだわり、化学調味料、酸味料、着色料、香料全て不使用のカレー「くせになるこだわりの スパイス&オイルカレー」(http://shop.mediskin.jp/product/detail/49 )を開発。2019年4月には、化学調味料、香料、増粘剤不使用でオレイン酸とαーリノレン酸の含有率にこだわった「くせになるこだわりのオイルドレッシング」(http://shop.mediskin.jp/product/detail/51)を開発。2004年第36回準ミス日本。 2016年第9回ベストマザー賞【経済部門】受賞。 子育て応援・ママ応援大使。二児の母。美と健康に関する著書も多数。
関連記事

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitterで「本がすき」を

RANKINGランキング