【第3回】サラダは健康にいい、なんて幻想です
友利 新『女医が教えるオイルの処方箋』

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2018/12/12

 

今や、食事に油を使うことは一般的になりました。みなさんもご自宅で「焼く」「揚げる」「炒める」などの調理をするとき、油を必ず使うと思います。でも、じつは日本人が油を食べるようになったのは最近のこと。今回はそんな食と油の歴史のお話からスタートです。
 

◎戦前と戦後で変わった日本人の食生活

戦前、日本人の食事で一般的だったのは、煮物や焼き物、おひたしなどいわゆる油を使わない食事でした。大河ドラマや時代劇などを想像していただくとわかると思うのですが、あまり揚げ物は出てきませんよね。日本食の代名詞ともいえる「天ぷら」も、じつは明治以降に登場したものです。

 

そして、戦後。「同じ食事量で、より高いカロリーを…」――戦後の食糧難が起こったことをきっかけに油が登場し、一般家庭や飲食店に油を使ったお料理が普及していきます。いわゆるオイルブームです。このように、少ない食事量でもしっかり栄養とカロリーを摂るため、調理に油を使うことが日本で一般化されていったのです。

 

◎オメガ6を含むサラダ油などが一般的になった理由

 

油を使わないお料理が普通だった戦前。しかし、戦前の人々がオメガ3やオメガ6など不飽和脂肪酸の油を上手に摂れていなかったかと聞かれれば、そうではありません。むしろ、戦前に生きていた人々のほうが効率的に不飽和脂肪酸を“食べ物”から摂取していました。

 

例えば、ゴマにはオメガ6が入っていますし、青魚を食べるとEPA・DHAからオメガ3をたっぷり摂れます。元来から野菜中心の食生活を送る民族だったこともあり、そういった食べ物を食べていた人々は、おのずとバランスのとれた食事ができていたといえるでしょう。

 

しかし、上記でお話した通り、戦後のオイルブームによって日本人はさまざまなお料理に油を使うようになりました。その中でオメガ3とオメガ6のどちらが多く食べられるようになったかといえば、オメガ6になります。

 

その理由は流通と生産のしやすさ。エゴマ油やシソ油などをはじめとするオメガ3は火を通すと劣化し、量も少なく生産しづらいもの。それに対して安価に大量生産でき、日持ちもする植物油などオメガ6は一般家庭にも流通しやすかった。これが、今日日本でサラダ油などが定着化した理由のひとつです。

 

◎オメガ6を摂る機会が多い日本人は危険!

 

戦後のオイルブーム以降、日本人がオメガ6を摂取する機会は急激に増えました。じつは、気づいていないだけで、私たちのまわりにはオメガ6があふれています。

 

たとえば、お昼ご飯にドレッシングをかけたサラダとサラダチキンを食べたとしましょう。ダイエットによさそうなヘルシーメニューに思えますが、じつは鶏肉やサラダにかけるドレッシングにはオメガ6がたくさん入っています。

 

そもそも、サラダの語源は塩を意味するソルト(=salt)。言葉通り、野菜などの葉っぱに塩(=salt)をかけて食べていたのが、だんだんサラダ(=salad)になっていったと言われています。昔、サラダは「お野菜に塩をかけて食べること」を指していたのです。

 

ところが、現代の日本ではサラダにドレッシングをかけることが一般的に。ドレッシングの食品表示を見てみると、「植物油」と表記されているものがあると思います。そう、これがオメガ6。もちろん、サラダチキンやドレッシング付きのサラダはカロリー的には低いため、すべて悪いというわけではありません。しかし、結果としてオメガ6ばかり偏って摂取していることになってしまうのです。

 

ほかにも、コンビニに売っている野菜入りのサンドイッチやケーキにもオメガ6はたっぷり。コーンスープやショートパスタなどのインスタント食品の食品表示を見ると「植物油」が必ず入っています。これも、オメガ6。

 

自分では大丈夫だと思っていても、見えない油(オメガ6)をたくさん摂ってしまっていることは現代の日本人にはよくあること。「体にいい」「健康にいい」と思って食べていたものも注意深く見てみれば、オメガ6だらけだったということはじつは危険なことでもあります。
 

◎オメガ6ばかり摂ると老化の原因になる

 

では、オメガ6を摂りすぎると、どうなってしまうのでしょうか? オメガ6というのは、脂肪を硬くしたり、体の炎症を起こしたりするもの。炎症というとピンとこないかもしれませんが、体の中の小さな炎症は皮膚炎やかゆみ、肌のくすみを引き起こします。また、血管に炎症が起こると、不純物がつき、不動脈硬化にもつながってしまいます。

このようにオメガ6の摂りすぎによって引き起こる炎症は、体の老化の始まりにつながります。健康でいるため、キレイでいるためには、この炎症を起こさないことが基本中の基本になるのですが、オメガ6の摂りすぎはそれを後押ししてしまうのです。

 

◎オメガ3とのバランスが大切に

 

前回の連載でお話した通り、オメガ3とオメガ6は拮抗関係にあります。どちらが多くても、少なくてもダメ。知らぬ間にオメガ6を摂りすぎてしまう食生活を送っている多くの日本人は、オメガ3が圧倒的に不足しているのです。

 

なぜオメガ6に比べて、オメガ3は摂りにくいのでしょう? それは、オメガ3が生で摂るものだからです。残念ながら、オメガ3は加熱すると酸化してしまい、効力を失います。最近、メディアで「オメガ3を積極的にとりましょう」と謳われているのは、このためです。

 

油の種類と機能をきちんと理解し、バランスよく摂取しなければ老化を早める原因になってしまう――オメガ6によってアクセルばかりが踏まれる状況ではなく、ブレーキ役のオメガ3がいないといけません。みなさんが気になるバランスのよいオメガ3、6、9の具体的な摂り方は、次回の連載でお話しようと思います。

 

女医が教えるオイルの処方箋

友利 新(ともり あらた)

医師(内科・皮膚科) 琉球大学医学部 非常勤講師。沖縄県宮古島出身。 東京女子医科大学卒業。 同大学病院の内科勤務を経て皮膚科へ転科。 現在、都内のクリニックに勤務の傍ら医師という立場から、美容と健康を医療として追求し、美しく生きるための啓蒙活動を雑誌・TV などで幅広く展開中。 また、2014 年の出産を機に、安心安全なベビースキンケア商品を欲し、「ベビー予防スキンケア」というコンセプトで自ら研究開発、商品化。そして起業し、医師、母、社長、と多忙な毎日を送っている。 2018年8月には、原材料の油にこだわり、化学調味料、酸味料、着色料、香料全て不使用のカレー「くせになるこだわりの スパイス&オイルカレー」(http://shop.mediskin.jp/product/detail/49 )を開発。2004年第36回準ミス日本。 2016年第9回ベストマザー賞【経済部門】受賞。 子育て応援・ママ応援大使。二児の母。美と健康に関する著書も多数。
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