丸佳浩は巨人の何を変えたのか?
お股ニキ(@omatacom)の野球批評「今週この一戦」

ryomiyagi

2019/11/30

今シーズンは原監督の下でリーグ優勝を果たしたものの、日本シリーズではソフトバンクになすすべなく4連敗した巨人軍。日本一を目指す来シーズンへ向けて、課題は山積みだ。
「お股クラスタ」の1人でもある巨人ファンのゴジキ氏(@godziki_55)が主軸選手のシーズンを振り返り、さらなる躍進へのカギを探る。第2弾は今季の巨人に多大なる影響を与えた丸佳浩。

 

 

■丸が巨人に与えた影響

 

今年、巨人が優勝する大きな要因となったのは、やはり丸佳浩の加入があげられる。

 

トップバッターである亀井善行から始まる打線で、チームの顔である2番坂本勇人と若き主砲の4番岡本和真の間となる3番として打率.292 27本塁打 89打点という好成績を残したのが大きかったのは間違いない。

 

 

丸は言わずと知れた、広島カープを2016年からリーグ3連覇に導いただけでなく、2017,2018年には2年連続セリーグMVPを獲得した名選手である。

 

広島時代から東京ドームは得意としており、優勝した2016年から2018年の3年間は、打率.314 4本塁打 19打点という成績を残していたので、東京ドームを本拠地とする巨人への移籍も良い選択であったのではと思えた。

 

そして巨人に移籍した今シーズンも、本拠地である東京ドームでは打率.322 15本塁打 46打点といった成績で、シーズン成績の半分以上は東京ドームでの活躍が結びついた結果となった。

 

さらには、打撃面以外でもフルシーズン計算できる身体の強さや、キャリアを通じて2013年から2019年まで7年連続でゴールデングラブ賞を受賞している守備面を見ても、今シーズンの活躍は成績や数字以上の貢献度の高さは間違いないものだっただろう。

 

■球界屈指の「野球脳」

 

丸といえばこのように、高いレベルの打撃と守備のイメージが強い。ただ、それだけではなくプロ野球選手としての「野球脳」も素晴らしいものがある。それを象徴するのが、広島時代から話題にもなっていた「丸ノート」である。

 

試合中の丸は自分の打席が終わるとすぐさまベンチでノートとペンを取り出し、必ず何かをメモしている。自分の打席だけではなく、ベンチやベンチ裏にあるテレビや映像を通して相手投手を観察しながら、様々なメモを書き留めているのだ。

 

毎年高いレベルの成績を残す、完成度が高い丸特有の「読み打ち」はこうした試行錯誤によって成り立っているのだろう。

 

また、チームに求められる打撃スタイルに適応するべくフォルムを変えていく力にも、目を惹くものがある。

 

昨シーズンの広島では、打率.309 39本 97打点と、キャリアを通じて最多の本塁打数を記録した「パワーフォルム型」であったが、今シーズンは2番に座る坂本勇人が40本塁打を記録していることや4番の岡本和真が後ろにいることもあり、昨年とは違う繋ぎも意識した打撃スタイルでシーズンを終えた。

 

とはいえ、坂本や岡本などがなかなか長打を打てない時期には自身が長打を狙いに行く場面もあったことを見ると、非常に適応力の高さが感じられる。

 

さらには、CSファイナルステージでの阪神戦の決勝打となったセーフティスクイズも野球脳の高さを表したプレーだった(詳しくはこちらの記事で解説)。

 

あくまで推測になるが、自分の調子を把握しつつ、足に痛みを抱えている阪神の西勇輝の投球数を含めた状態も考え抜いた上でのこのプレー。広島、巨人と2球団に渡って4年連続セリーグ制覇に大きく貢献した経験やノウハウ、感覚などの全てを蓄積された「野球脳」の現われだったように思う。

 

■なぜ短期決戦で手も足も出なくなるのか

 

シーズンを通して見ると毎年、高いレベルの成績を残す丸。しかしながら、2018,2019年で対戦したソフトバンクとの日本シリーズでは、弱点をつかれたことや苦手なタイプとの対戦だったことを差し引いても、手も足も出ない傾向が非常に強い。

 

特に、セリーグでは少ないタイプの「スラット・スプリット型」を擁するソフトバンク投手陣には完璧に抑え込まれている。広島と巨人の双方で打線のコアである3番に座る丸を完璧に抑え込んだことで、ソフトバンクは日本一に輝いている。

 

丸がもうワンランク上の選手になるには、苦手である落ちる球を軸とする「スラット・スプリット型」の投手への対応力が必要となるだろう。そして、日本代表として選出されるには、柳田悠岐や秋山翔吾と言った対抗馬となるパリーグトップクラスの選手に勝る必要がある。

 

彼らは、代表での活躍やパリーグでタイトルホルダーに輝くぐらいの突出した打撃能力は当然のこと、ワンプレーでチームを巻き込む力、調子が悪い状態でも重要な場面で本来の力を発揮できる勝負強さが球界の中でも突き抜けているのは間違いない。

 

今年のプレミア12では、秋山が怪我したため丸は緊急招集されたが、シーズン終盤の不調を引きずっていたことや、初見で対戦する投手に対する適応力という面で大きな課題を残した。

 

まとめると、丸の今後の課題は、年齢を増すごとに衰える脚力への対処はもちろん、現在苦手としている落ちる球に対して持ち前の観察眼やフォルム変更を通じた適応力でどう対応していくかにある。また、短期決戦で調子が悪いながらもチームを勝利に導くかける勝負強さも必要だ。

 

こうした課題に対してどう改善できるかが、来期以降の巨人が日本一に輝くためのポイントになっていくだろう。

お股ニキ(@omatacom)の野球批評「今週この一戦」

お股ニキ(@omatacom)(おまたにき)

野球経験は中学の部活動(しかも途中で退部)までだが、様々なデータ分析と膨大な量の試合を観る中で磨き上げた感性を基に、選手のプレーや監督の采配に関してTwitterでコメントし続けたところ、25,000人以上のスポーツ好きにフォローされる人気アカウントとなる。 プロ選手にアドバイスすることもあり、中でもTwitterで知り合ったダルビッシュ有選手に教えた魔球「お股ツーシーム」は多くのスポーツ紙やヤフーニュースなどで取り上げられ、大きな話題となった。初の著書『セイバーメトリクスの落とし穴』がバカ売れ中。大のサッカー好きでもある。
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