侍ジャパンのリリーフには「現役最強の抑え」ソフトバンク・ 森唯斗を選出せよ!
お股ニキ(@omatacom)の野球批評「今週この一戦」

東京五輪で野球が復活し、侍ジャパンのメンバーに誰が選ばれるのかも注目の今シーズンのプロ野球。
間もなく春季キャンプも始まって、開幕の足音が徐々に近づいてきます。
今回はお股クラスタの一人でソフトバンク・ホークスのファンでもあるRyu氏(@ryu_sh9)にホークスの絶対的抑え、森唯斗の魅力を寄稿してくれました。

 

 

オフの楽しみであるFA、新外国人補強、契約更改も終わり、野球民のみなさんは早くシーズンが始まらないかとソワソワしてるであろう。

 

私が応援しているソフトバンクホークスはレギュラーシーズンこそ2位に終わったものの、CSを勝ち抜き、ポストシーズン10連勝という形で3年連続の日本一を成し遂げた。

 

今回は、6年連続50試合登板、2018年からクローザーを任され2年連続30セーブ以上を上げ、胴上げ投手となった鷹の守護神、森唯斗の魅力を語ろうと思う。

 

ルーキーから一軍へ、突っ走った4年間

 

少しコワモテな顔にギラギラ光るネックレスを身に付け、プロ選手の中ではあまり大きくない身体を目一杯使って腕を振る。帽子のツバは綺麗に真っ直ぐだが、ボールはクセのある真っスラ気味のストレート。そこに代名詞である、高低に投げ分けるカットボールを織り交ぜ、ほぼその2球種で打者を牛耳っていくのが森のピッチングだ。

 

1球1球投げるたびに雄叫びをあげ、とにかく投げっぷりが良い。ルーキーの頃から7回の位置を任されるなど即戦力であった。

 

2年目には当時チームメートであった五十嵐の影響からか、カーブをスピンの効いたナックルカーブにモデルチェンジし、カウント球だけではなく勝負球にも使うなど投球の幅を広げた。

 

3年目は各球団の打者も森の独特な軌道に慣れてきたのか、打ち込まれる場面も増えてきて勝ちパターンを他の投手に奪われるなど悔しいシーズンになったが、オフに得意のカットボールを打者に踏み込んで打たせないようにツーシームを習得。翌年の2017年はセットアッパーに返り咲き、日本一に貢献した。

 

しかしこの4年目のシーズンは、ブルペンにいる時から闘志むき出しの全力投球スタイルの弊害か、連投がききにくかったり、一度ベンチに戻って気持ちが切れてしまう回跨ぎや大量点差でのモチベーション管理が難しかったりして、防御率が悪化してしまった。

 

クローザー転向で苦しんだ5年目、転機となった二人の師匠の言葉

 

森は5年目、サファテの離脱により急遽クローザーに抜擢されたが、思うようにいかなかった。

 

サファテには「7回も9回も変わらない」と背中を押されたが、最後を締める重圧は大きく、失点が続いて自信をなくしてしまっていた。

 

その時アドバイスをくれたのが、自主トレで共に汗を流した師匠である攝津正だ。

 

森はとにかく全力投球のスタイルであるがゆえに、うまくいってなかった現状からもっと力が入り、さらに腕が出てこなく、ボールがシュート回転し、中に中に入っていたと言う。

 

そこで攝津は、全力投球スタイルではなく、テイクバックはリラックスして投げる瞬間だけ力を入れろと助言した。その助言を、結果の問われないオールスターで試してみると、全力でなくても差し込むことができ、打者の反応まで見る余裕が生まれた。

 

加えて、サファテにも言われていた抜くときは抜く、オンオフの切り替えが出来るようになりブルペンでの肩の作り方も改善し、見事に復調した。最終的にはセーブ王にも輝きチームは日本一、初の胴上げ投手にもなった。

 

スプリットを習得し、現代最強の「スラット・スプリット型」投球へ

 

今までの投球とは真逆のスタイルを試して成功した森だが、もう一つ飛躍のきっかけとなったのはスプリットをマスターしたことだろう。

 

以前はカットボールとツーシームをゾーンに集め、バットの芯を外したりゴロを打たせたりする投球だった。しかしこれだけだと、ボテボテの内野安打や間を抜けるヒット、詰まったポテンヒットなど不運な当たりが起きてしまう可能性がある。実際に2019年の前半、少し調子を落としていた時期は手応えが悪いのか、スプリットをほぼ使っておらず不運なヒットを重ねてサヨナラを食らった試合もあった。

 

スプリットが問題なく使えるようになってからは、狙って三振が奪えるようになり、不運が起きる心配も少なくなって、より安定感が増したと言えるだろう。

 

ポストシーズンで魅せた、3つのフルカウントスラット締め

CSファイナル第2戦

日本シリーズ第3戦

日本シリーズ第4戦(日本一が決まった試合)

 

野球の醍醐味の1つである、フルカウントからの投手と打者の攻防。

 

特に痺れたのは西武とのCS ファイナル第2戦、山川穂高との対戦である。

 

山川はこの打席までシリーズ5打数3安打。強力な西武打線の中でも、最も回したくない打者と言えるほど状態が良かった。バッテリーも最大限に警戒してアウトローにカットボールを集め、フルカウントに。
後ろには未だ無安打のメヒア。私は、四球でも構わない場面であるため、スプリットをボールゾーンに落とすと見ていた。

 

しかし、バッテリーはカットボールを選んだ。あとボール半個分でもズレてたら四球になるアウトロービダビタに決まり、ショートゴロ。
見逃せばストライク、当たってもゴロ。まさに完璧な“スラット“を投げ、山川を抑えた。

 

「僕は打たれるのも抑えるのもカットボール。」

 

(甲斐野央との対談で)
「僕が絶対に負けてないのはコントロール。そこは負けない自信がある。」

 

オフに語ったこの2つの言葉を見事に体現した、まさに森唯斗の真骨頂と言える1球だった。山川に、打てるボールはなかった。

 

当たってもゴロになるスラット、ボールゾーンまで落として振らせるスラット、ゾーン内で空振りを取るスラット。どれも素晴らしいボールであった。

 

森唯斗に見る、クローザーに必要な力

 

クローザーには後ろに交代要員はおらず、打たれてしまえばほぼ試合結果に直結する。最後を締める重圧に耐えられる精神力が求められる。また、安定した結果が求められるため、簡単に崩れない制球力も必要だろう。

 

森は、サファテの真っ直ぐのような圧倒的なボールがあるわけではないが、球種が豊富でなおかつどれもレベルが高く、それでいて制球力が非常に高い。抑えに最適な投手と言える。クイックも上手いので、ランナーが出ても崩れることがない、どれか1つ球種が操れなくなっても他の球種で乗り切るなど、不測の事態にも対応可能だ。

 

実際にレギュラーシーズンでは5月29日から29試合連続セーブ機会成功(記録は継続中)など、クローザーとして素晴らしい成績を残した。さらにポストシーズンでも、勝ち試合10試合のうち9試合に登板するタフネスさに加え、回跨ぎや緊急登板にも動じず見事に試合を締めた。

 

クローザーは何点取られようともその試合を終わらせることが役割である以上、圧倒的なボールを持ちながらも制球力に少し不安がある投手よりも、プレミア12でクローザーを務めたDeNA山崎のような、ある程度のレベルのボールを操り、制球力に自信を持った投手が向いていると言えるだろう。もちろん森もその一人である。

 

今年はオリンピックで野球が開催される。まずはシーズンでしっかり成績を残し、6年間リリーフ専門で培ってきた能力を生かし、リリーファーのまとめ役、クローザーとして是非侍ジャパンのメンバーに森唯斗を選出してもらいたい。

お股ニキ(@omatacom)の野球批評「今週この一戦」

お股ニキ(@omatacom)(おまたにき)

野球経験は中学の部活動(しかも途中で退部)までだが、様々なデータ分析と膨大な量の試合を観る中で磨き上げた感性を基に、選手のプレーや監督の采配に関してTwitterでコメントし続けたところ、25,000人以上のスポーツ好きにフォローされる人気アカウントとなる。 プロ選手にアドバイスすることもあり、中でもTwitterで知り合ったダルビッシュ有選手に教えた魔球「お股ツーシーム」は多くのスポーツ紙やヤフーニュースなどで取り上げられ、大きな話題となった。初の著書『セイバーメトリクスの落とし穴』がバカ売れ中。大のサッカー好きでもある。
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セイバーメトリクスの落とし穴

セイバーメトリクスの落とし穴マネー・ボールを超える野球論

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