幻に終わったセンバツ大会…この春に出場するはずだった注目選手をチェック!
お股ニキ(@omatacom)の野球批評「今週この一戦」

ryomiyagi

2020/03/31

今年で第92回目を迎えるはずだった選抜高等学校野球大会は、新型コロナウィルスの影響もあり、残念ながら中止に終わってしまいました。
センバツに出場予定だった選手の中で、夏に向けて注目度が高い選手をお股クラスタの一人、ゴジキ氏(@godziki_55)に寄稿してもらいました。

 

 

おそらく昨年の「東邦+近畿勢」の勢力図と同様に、今年も参加校のチーム力は明治神宮大会で優勝した中京大中京をはじめとした近畿勢がやや抜けており、そこに+aで健大高崎、東海大相模、仙台育英が絡んでくる構図だったのではないだろうか。

 

順調に開催されていれば、選抜高等学校野球大会は本日3月31日に決勝を迎えていた可能性は高い。

 

投打の世代トップに君臨する明石商の中森俊介・来田涼斗

 

昨年の甲子園を沸かせ、明石商を春夏連続でベスト4に導いた中森俊介と来田涼斗は今年が集大成となる年で非常に気持ちも入っていたはずだ。間違いなくパフォーマンスも高まっていたことだろう。
この2選手は1年の頃からベンチ入りしており、現在のチームを牽引している。今年のドラフトでも1位指名が見込まれる逸材だ。

 

・中森の甲子園での通算成績
2018年夏(1年) 2回1/3 防御率0.00 奪三振2
2019年春(1年) 31回2/3 防御率1.93 奪三振30
2019年夏(2年) 19回1/3 防御率3.72 奪三振15
通算 53回1/3 防御率2.53 奪三振47

 

中森の特徴は、最速151キロのストレートやスプリット、チェンジアップ、スライダー、カーブを駆使してコントロールできる投球術である。非常にレベルの高い選手だが、唯一の課題は安定性に欠けていることだ。調子が悪い試合はスロースターターであったり、制球を乱したりして痛打される場面が目につく。世代No.1投手と言ってもいい能力の高さゆえに、求められるものも多い。
最後の夏に向けて試合ごとにおける投球の安定度を向上させつつ、近年トレンドである「スラッター」を取得してハイレベルなパフォーマンスが残せるか注目である。

 

一方、来田も1年からレギュラーとして出場し、昨年は主に一番打者としてチームを引っ張っていった。

 

・来田の甲子園での通算成績
2018年夏(1年) 打率.500(4-2) 0本 0打点 OPS1.167
2019年春(1年) 打率.357(14-5) 2本 8打点 OPS1.429
2019年夏(2年) 打率.353(17-6) 1本 1打点 OPS.977
通算 打率.371(35-13) 3本 9打点 OPS1.190

 

高校通算29本塁打を誇るスラッガーとしての能力の高さはもちろんのこと、昨年のセンバツ準々決勝の智辯和歌山戦でサヨナラホームランを放つなど、接戦の展開や実力が拮抗した相手に対してでも自身の能力相応またはそれ以上の結果を残せる、勝負強さがある選手だ。
タイプ的には、来田選手自身が尊敬している福岡ソフトバンクホークスの柳田悠岐選手が近い。長打力や確実性を兼ね備えた打撃や屈指の走力はもちろんのこと、選手としての華やかさもある。個人的には、夏の甲子園に限らず、U18やプロ野球入りした後も注目していきたい選手である。

 

明治神宮大会を制した中京大中京のエース・高橋宏斗と実力派揃いのチームメイト

 

投手は明石商の中森が大会No.1投手と言ってもいい評判だが、中京大中京のエースの高橋宏斗もそれに匹敵する実力がある。
昨年の明治神宮大会で最速148キロをマークし、明徳義塾戦では10奪三振を記録。明徳義塾の馬淵監督からは「直球が松坂以上」と絶賛された。
高橋は非常に探究心が豊かで暇さえあればプロ野球選手のフォーム動画を見て研究しつつ実践しているそうで、今後はストレートやカットボールを磨き、さらにレベルアップした投球ができるかが注目である。

 

中京大中京の投手陣は高橋に注目が集まりがちだが、左腕の松島元希も140キロ台中盤のボールを投げられる、非常に高いレベルの投手だ。また、野手陣も強肩強打の捕手である印出太一や柔らかさと強さを併せ持つ遊撃手の中山礼都、攻撃的なリードオフマンの西村友哉らがいる。

 

屈指の長距離砲、花咲徳栄・井上朋也と東海大相模・西川僚祐

 

打者ではこちらも明石商の来田が世代No.1野手という評価だが、高校通算47本を記録している花咲徳栄の主将の井上朋也も注目だ。

 

昨夏の甲子園では2年生ながら4番を務め、初戦で明石商の中森と対戦。4打数1安打を記録したが、チームは3対4で敗れた。新チームでも4番を務める中、このセンバツでは再戦を心待ちにしていたに違いない。

 

長距離砲ゆえに打撃フォームに固さが目立つことが課題だが、三塁手にコンバートした上で、野手としてレベルアップしているか注目である。

 

次に挙げる選手は、全国トップレベルの強力打線である東海大相模で高校通算53本塁打を記録している長距離砲の西川僚祐だ。

 

昨夏時点では、高校通算44本塁打のスラッガーである山村崇嘉や、走攻守でバランスが取れた巧打タイプでU18代表にも選ばれた鵜沼魁斗と言った選手の方が評価は高かった。ただ、新チームとなってから西川は圧倒的な活躍で評価を伸ばしていき、世代トップクラスの長距離砲という評価を得るまで成長した。

 

彼の課題点は、芯で捉えるポイントの狭さや、テイクバックの時に無駄な動きがあるため、一定水準以上のレベルの投手を相手にしてしまうと対応できない可能性が高いことである。こうした弱点を克服することによって、強力打線の軸としてさらに高いパフォーマンスを残せるか注目だ。

 

この2選手ともに昨年の夏は早い段階で敗退していることもあり、最後の夏に対する気持ちは非常に高いものがあるだろう。

 

星稜の内山壮真、履正社、大阪桐蔭、智弁和歌山、仙台育英の主軸にも要注目

 

昨年夏に星稜の4番遊撃手としてチームを準優勝に導いた内山壮真にも注目である。
1年生の時からレギュラーとして甲子園にも出場し、昨夏は打率.385という打撃成績を残した。また、スローイングタイム1.8秒台を計測する強肩も魅力である。昨年時点ですでに遊撃手としてトップクラスの選手だったが、高いセンスを活かして捕手としてもチームを牽引し、夏の優勝を目指す。

 

その昨夏に決勝で星稜と対戦した優勝校である履正社の主力3選手も注目だ。昨夏の優勝投手である岩崎峻典と主軸を担う小深田大地、主将の関本勇輔である。
岩崎は昨夏、先発とリリーフ共に経験し、防御率は1.96を記録した。小深田は3番打者として打率.360を記録。高校通算でも29本塁打を放つパンチ力に加えて対応力も高く、欠点が少ない打者だ。関本は、パンチ力のある打撃と肩が売りである。

 

履正社と同じ大阪府の大阪桐蔭にも注目選手が多数いる。
逆方向にも放り込めるパンチ力十分の西野力矢や、中学時に43本塁打を放ち1年時からチームの4番に座っている船曳烈士、チーム内で一番と言って良いほどの高いセンスを持つ仲三河優太といった中軸は今後も大きな伸びしろを持つ。
さらには、中学時に146キロを投げて注目された関戸康介や、184cmの大型左腕から140キロを超す速球を投げるエース候補の松浦慶斗の新2年生コンビの成長にも期待していきたい。

 

智辯和歌山では最速148キロから高い奪三振率を記録する小林樹斗に注目したい。昨夏には2年生ながら先発やリリーフとして活躍した。
また、1年春からセンターのレギュラーを獲得し、昨夏の甲子園ではチームトップの打率.429を記録、明徳義塾戦では勝ち越し3ラン本塁打を放つなどの勝負強さも見せた細川凌平も要チェックである。細川は抜群のバットコントロールを武器に安打を量産し、また体勢を崩されてもぎりぎりまで我慢できる反応の良さや勝負強さが光る選手だ。昨秋の大会後に遊撃手へとコンバートしたが、彼の力がどれだけ伸びるかが智辯和歌山の躍進への鍵になるだろう。

 

さらに、仙台育英からは秋大会で8試合で45奪三振、防御率2.84を記録した向坂優太郎、そして笹倉世凪と伊藤樹の左右コンビも注目したい。笹倉は最速147キロ、伊藤は最速146キロをマークし、昨夏の甲子園の経験もあることから非常に頼もしいコンビである。
野手陣では攻守の要であり、明治神宮大会の天理戦で本塁打を放った入江大樹が注目だ。パンチ力のある打撃をみせるが、トップが遅れてしまい振り遅れの打球が目立つのが課題だ。この点を解消すれば、同世代の遊撃手である内山や土田龍空(近江)に追いつけるのではないだろうか。

 

以上が個人的に注目する選手だが、当然このほかにも素晴らしい選手がたくさんいる。
今年の夏の甲子園やU18の代表チームは、高いレベルになると期待される。
今後も選手とチームが一体となりながら成長していく姿を、イチ高校野球ファンとして楽しみに見ていきたい。

お股ニキ(@omatacom)の野球批評「今週この一戦」

お股ニキ(@omatacom)(おまたにき)

野球経験は中学の部活動(しかも途中で退部)までだが、様々なデータ分析と膨大な量の試合を観る中で磨き上げた感性を基に、選手のプレーや監督の采配に関してTwitterでコメントし続けたところ、25,000人以上のスポーツ好きにフォローされる人気アカウントとなる。 プロ選手にアドバイスすることもあり、中でもTwitterで知り合ったダルビッシュ有選手に教えた魔球「お股ツーシーム」は多くのスポーツ紙やヤフーニュースなどで取り上げられ、大きな話題となった。初の著書『セイバーメトリクスの落とし穴』がバカ売れ中。大のサッカー好きでもある。
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セイバーメトリクスの落とし穴マネー・ボールを超える野球論

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