プロ野球新シーズン、監督の采配はここに注目せよ!【代走編】
お股ニキ(@omatacom)の野球批評「今週この一戦」

ryomiyagi

2020/06/18

新型コロナウイルスの影響で、開幕の見通しが立たないプロ野球でしたが、ついに6月19日に開幕が決定!
「お股クラスタ」の1人であるいーづか。氏(@B_Methods)が、新シーズンの野球観戦で注目すべき「采配」について寄稿してくれました。

 

 

今回のテーマは「代走」。代走について細かく取り上げる記事やコラムもそうそうないだろう。この特殊な役割で活躍する選手や采配方法などについて語っていこうと思う。

 

■最強の代走戦士 ソフトバンク・周東

 

現在のプロ野球で活躍する代走の選手で、この選手を挙げないわけにはいかないだろう。ソフトバンク・周東佑京である。彼はそもそものスピードがとにかく速すぎる。盗塁技術にはまだ伸びしろも感じさせるが、現時点でも彼の盗塁を刺すのは至難の業だと言える。

 

彼ほどのスピードを持った選手が相手だと、ただ盗塁されるだけに留まらない。
周東が代走で一塁に出ると、相手投手は「走られたくない」という警戒心が出すぎてしまう。そのせいでクイックモーションを早めすぎてしまったり、変化球を投げにくくなってしまった結果、速くない真っ直ぐが甘く入って被弾する。こんな場面を去年のソフトバンクでは何度も見た。自らの盗塁・走塁で貢献するだけでなく、味方の打撃成績まで上げてしまう。まさに現代最強の代走戦士だ。

 

 

■シーズン終盤、短期決戦で重要な役割を果たす“代走力”

投手のつぎ込む数が増えタイトな展開が増えるシーズン終盤、そしてその先の短期決戦で勝ち切る力を持つためには、盗塁・走塁に強みのある代走がいるかどうかは大きな差になる。

 

実際、昨年日本シリーズまで勝ち上がった2チームはソフトバンクに先程紹介した周東、巨人にも増田大輝という超俊足の代走がいて、勝負どころの1点を高い確率で取れる。MLBでは2014年,2015年と2年連続でワールドシリーズに進出したロイヤルズにもダイソン、ゴアというとてつもなく速い選手が2人もいて、必要と思えば足の遅くない青木を下げてまで彼らを代走に送っていた。

 

巨人が当たり前のように優勝争いをしていた第二次原政権にも鈴木尚広という代走のスペシャリストがいた。シーズン終盤、ゲーム終盤に強みを出す代走屋のような選手は、どのチームも欲しいだろう。

 

■本当は代走に収まってはいけない?

 

「終盤力」を持った強いチームを作る上では代走要員を作ることが大事だと説明してきたが、これは意外に難しい。
なぜなら、「代走要員を目指すプロ野球選手」はほとんどいないからである。代打なら守備走塁が苦手な選手、あるいは全盛期を過ぎて衰えた選手が座っても良いのだろうが、代走は脚力がベースになるので基本的に年老いた選手を使えない。だが若い選手は皆、当然レギュラーで出たいだろう。

 

例えばロッテの和田康士朗は、周東や増田大輝に劣らない、とんでもない走力を持っている。代走要員としてベンチに置けばかなりの脅威になるのは間違いない。しかし彼はまだ若く、打撃センスもかなりのものがある。一軍でベンチに座らせるより、二軍で打席を与えようという方針になってもおかしくない。打撃を考えて体を作れば走力も多少落ちるかも分からない。ソフトバンクの周東も打撃はまだ伸びしろがあり、OP戦などではかなり打席も与えられている。代走要員を脱却する可能性も十分あるだろう。

 

代走要員を作るには、選手に「足はめちゃくちゃ速いが打撃は伸びなさそうでベンチに置いたままでも良い、けどできれば守れてほしい」という難しい塩梅を求めなくてはならない。相手が嫌がるような代走要員はチームに必要である反面、未来ある選手に対して無理やりさせるものではない、という面もある。

 

■代走で注目の巨人・吉川大幾

代走を自前で作るのは難しいとなれば、他所からのトレードなど補強が考えられる。その際、注目したい選手が巨人の吉川大幾だ。

 

吉川大幾は高橋由伸監督時代の巨人で代走要員として起用され、最も多く一軍で試合出場した2018年は盗塁を7個試みて全て成功させた。また守備も内外野を無難にこなせるため、代走のあとそのまま守備に入ることができる。2018年は盗塁失敗0に加え、失策も0だった。

 

しかし昨年、同じような役割で更に足の速い増田大輝が台頭し出番が激減。今年も代走枠としては増田の起用が予想される。吉川大幾には走力が保てるうちに輝ける働きどころを見つけてほしいと思っているし、他球団からすれば狙いどころの選手ではないだろうか。

 

■代走起用もまた、監督のセンスが問われる采配である

 

采配面では、代走は守備固め同様の難しさがある。代打の選手や下位打線の選手なら良いが、主力級の選手に代走を出すからにはもう打順が回らないのか、主力を代えていいほど代走が必要な場面かなどを考えなければならない。先程挙げた吉川大幾は主に中軸を打つケーシー・マギーの代走で起用されていたが、早く起用しすぎて終盤のチャンスで吉川に回ってしまったりしていた。

 

「一応足は速い方が良いが、切り札を切るほどでも…」という程度の場面なら同じポジション、守備が良い選手を代走に送ってそのまま守備固めするなど、細かい状況判断が求められる。代走は守備固めとやや連動している部分もあり、余計に難しい。

 

継投、守備固め、代打、代走。NPBはMLBよりも一軍選手枠も多く、こういった采配の妙をより楽しめる。これから開幕するプロ野球を、もっと深く知り、面白さを見いだすための手伝いができたら嬉しい。

お股ニキ(@omatacom)の野球批評「今週この一戦」

お股ニキ(@omatacom)(おまたにき)

野球経験は中学の部活動(しかも途中で退部)までだが、様々なデータ分析と膨大な量の試合を観る中で磨き上げた感性を基に、選手のプレーや監督の采配に関してTwitterでコメントし続けたところ、25,000人以上のスポーツ好きにフォローされる人気アカウントとなる。 プロ選手にアドバイスすることもあり、中でもTwitterで知り合ったダルビッシュ有選手に教えた魔球「お股ツーシーム」は多くのスポーツ紙やヤフーニュースなどで取り上げられ、大きな話題となった。初の著書『セイバーメトリクスの落とし穴』がバカ売れ中。大のサッカー好きでもある。
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セイバーメトリクスの落とし穴マネー・ボールを超える野球論

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