1行クイズ「この偉人だ~れだ?」歴史小説家からの挑戦状!【中級編】
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中国歴史小説『賢帝と逆臣と』(講談社文庫)や『劉裕 豪剣の皇帝』(講談社)などの著書を持つ歴史小説家・小前亮先生から、歴史好きのあなたに挑戦状!

 

“キャラ重視の人物事典”として話題の『世界史をつくった最強の300人』(小前亮・著/光文社知恵の森文庫)より、世界の偉人たちのアクの強いエピソードを厳選し、クイズ形式にワンフレーズで紹介します。 1行の問題文とヒントを頼りに、世界の偉人の名前を当てて下さい。

 

ちょっと難しい中級編、あなたは何問正解できる?

 

Q1 時空を超えたベストセラー『孫子』の作者
(前六世紀後半~前五世紀 中国・春秋)
ヒント…『孫子』は世界でもっとも有名な兵法書である。内容は具体的で、行軍の注意点、陣の組み方、火計のやり方、スパイの使い方などがわかりやすく解説してある。それでいながら、国を消耗させる戦争を忌避し、「戦わずして勝つ」のが最上と説くのだ。この態度こそが後世の人々を魅了する理由である。しかし、兵法がビジネスに応用されるとは……。現代でも通用する「孫子」ブランドおそるべし。

 

Q2 民主政を生んだ独裁者
(前六〇〇頃~前五二七 古代ギリシア)
ヒント…中小農民や手工業者の支持を得て政権を奪い、僭主(独裁者)としてアテネを統治した。善政を布しいたので、停滞していたアテネは活気を取り戻したが、繁栄は一代で終わる。後を継いだ息子が暴政をおこなったせいだ。独裁者というのは善良であろうが悪辣であろうが、身内には甘いものである。

 

Q3 民主政が生んだ独裁者
(前四九五頃~前四二九 古代ギリシア)
ヒント…アテネの政治家。巧みな演説と先見性を武器に、アテネの民主政を強化し、第一人者として独裁的な権力をふるった。倫理や道徳は持ち合わせていなかったが、決して市民の支持を失わず、アテネを繁栄させた点で、超一流の政治家であったことは疑いない。皮肉まじりに「民主政のチャンピオン」と称される。

 

Q4 覇王の後悔→断食で餓死
(?~前二九八頃 インド・マウリヤ朝)
ヒント…マガダ国の武将から身を起こし、主家を滅ぼしてマウリヤ朝を建設、はじめて南北インドにまたがる帝国をつくりあげた。新興の仏教を信仰していたが、晩年はジャイナ教に帰依して出家した。ジャイナ教は仏教に似ているが、殺生の禁がより厳しく、いかなる生物をも殺してはならないとする。行きつくところは断食で、彼も修行の末に餓死したという。覇王が罪を悔いて宗教に走るという、よくあるパターンだ。

 

Q5 奴隷出身の王
(?~一二一〇 奴隷王朝)
ヒント…奴隷王朝(インド)の建国者。テュルク系キプチャク族出身で、マムルークとしてゴール朝(アフガニスタン)に仕えていた。北インドを征服したところで、ゴール朝君主が暗殺されたので独立、インド初のイスラーム王朝を開く。しかし、いくら元奴隷だからといって、奴隷王朝という安直な呼び方はどうだろうか。インパクトはあるけれど。

 

Q6 消去法で王になったカペー朝の創始者
(九三八?~九九六 フランス)
ヒント…カペー朝(フランス)の創始者。といっても、武力で王位に即いたわけではなく、カロリング朝が断絶したとき、選挙で王に選ばれている。そのため、王権は弱く、貴族たちには馬鹿にされていた。パリにはじめて都をおいたが、当時のパリはただの田舎町である。パリとフランスの将来を知ったら、仰天するにちがいない。

 

Q7 マグナ・カルタを生んだ欠地王
(一一六七~一二一六 イングランド)
ヒント…イングランド王。「欠地王」は相続する領土がなかったことからついた渾名だが、能力と人望がなく、国王になってから多くの領土を失ったため、「失地王」だとか「欠知王」だとか、ひどい言われようである。財政が逼迫したのは先代(リチャード一世)のせいだし、この人が暗愚だったおかげで王権を制限するマグナ・カルタ(大憲章)が生まれたというのに。

 

Q8 北欧のセミラミス(伝説の女王)
(一三五三~一四一二 デンマーク)
ヒント…デンマーク、ノルウェー、スウェーデンの女王。デンマークからまずノルウェーに進出、さらにスウェーデンと戦ってこれを下し、北欧三国の同君連合を成立させた。堅実な内政と外交で王権を強化し、国内を安定させている。賢くて強い北欧女性の魁といえよう。

 

Q9 ペンネームは150以上ある、ソ連の初代指導者
(一八七〇~一九二四 ロシア)
ヒント…ロシア革命を成功させ、ソ連の初代の指導者となる。第一次大戦と革命後の混乱を収めて、世界初の社会主義国家を軌道に乗せた。理論と実践を両立させた巨人である。ハゲフサの法則(ソ連、ロシアの指導者は頭髪の薄い人と濃い人が交互に現れる)は彼からはじまる。つまり、頭髪は薄い。

 

Q10 20世紀に生まれて滅んだ王朝の創始者
(一八七八~一九四四 イラン)
ヒント… パフラヴィー朝(イラン)の創始者。元軍人で、二五〇〇人の手勢をひきいてテヘランを占領、革命に成功する。皇帝として近代化に努めたが、第二次大戦でドイツについたため、イギリスとソ連に攻められて、退位を余儀なくされた。近現代の独裁者は、味方にする大国をまちがえると大変である。

 

【答え】A1:孫武/A2:ペイシストラトス/A3:ペリクレス/A4:チャンドラグプタ/A5:アイバク/A6:ユーグ・カペー/A7:ジョン/A8:マルグレーテ一世/A9:レーニン/A10:レザー・シャー・パフラヴィー

 
その他、キャラの濃い偉人たち324人を解説した書籍『世界史をつくった最強の300人』(小前亮・著/光文社知恵の森文庫)は好評発売中!

 

 

この記事は『世界史をつくった最強の300人』より一部を抜粋して作成しました。

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小前 亮 こまえ りょう

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