BW_machida
2020/08/03
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2020/08/03
足立区からチェーン展開した珍来をご存知だろうか。
伊勢崎線沿線の駅前に必ずあると言っていいくらい各駅に展開している中華店で、本社は現在、八潮(やしお)市にある。
八潮は草加に隣接している、工場が多い街だ。今でこそつくばエクスプレスが通っているが、それまでは陸の孤島と言われていた。
そのためか車で移動する人が多く、珍来の本社工場を併設する店舗は八潮ドライブイン店という名前になっている。
ドライブインという響きがいかにも郊外っぽいが、実際駐車場が多く、創業昭和3年と書かれた大きな看板がデンとそびえている。
珍来と言えば、戦前から続く太くて縮れた、珍来式手もみ麺が特徴で、モチモチとした食感と澄んだ醤油スープが相性抜群。
庶民の味方を貫き通す社風だけあって、今でも「創業ラーメン」は具を絞ることでワンコインを実現させている。
この麺を使った焼きそばも美味。
また中華の基本はチャーハンということで、独立する者はチャーハンの煽り炒めを徹底して教え込まれる。
シットリ加減とボリュームに、下町大衆中華としての珍来イズムを感じる。
直営店では月替りのチャーハンがあり、香ばしさが際立った醤油チャーハンが今も忘れられない。
また珍来と言えば、皮が厚くてモチモチでビッグサイズの餃子が名物。
草加駅前にも直営店があるが、店頭で餃子を包んでいる姿は埼玉東部の日常風景となっている。
八潮に本店があるものといえば、埼玉中心にロードサイドで展開する喫茶店、珈琲屋OBだろう(草加、越谷、せんげん台などにも店舗あり)。
金魚鉢や洗面器サイズの器で出てくるクリームソーダなど、デカ盛りで知られる喫茶店で、一部神奈川や東京にも進出しているが、埼玉東部を根城として、早朝から夜まで地元民の憩いの場として機能している。
車で近隣から来る客は、何のためらいもなくデカ盛りドリンクを平らげていく。
客が去った後のテーブルを見ると、スッカラカンになった金魚鉢や巨大ボウルに恐怖を感じる。
コーヒーは一見常識的なサイズなので、最初のうちはおののいてコーヒーばかり頼んでいたが、それでも300~400円で通常の喫茶店の倍以上の量はある。
意を決してクリームソーダを頼んだことがあるが、意外と飲めてしまうものだ。帰り道、トイレが近くて参ったが。
ピザやトーストといった軽食も充実し、コメダ珈琲が関東に進出するより前から、くつろぎ重視の大箱喫茶が埼玉に根付いていたのが分かる。
草加から越谷までの区間には、「けいとう」というラーメンチェーンが一時期かなり店舗を増やしていた。
天下一品がここまで関東で増える前から、鶏頭と野菜でとったダシで白く濁ったラーメンを出していて、コクは感じられつつもなめらかで軽く飲めるスープが気に入っていた。
このグループは他に、「めんくみ」「ごとく」などの店舗を展開していた。
しかし、けいとうは縮小し、このグループの他の店もあまり見かけなくなってしまった。伊勢崎線沿線の話になるといつもけいとうを思い出してしまう。
ほか、伊勢崎線とはズレるが、武蔵野線沿線も見どころが結構ある。
越谷レイクタウンは有名だが、その隣の吉川はなまずの街としても知られ、ナマズ料理の店が多いし、イケアがあることで知られる三郷(みさと)にも、千葉でローカルに展開する中華「大福元」が唯一埼玉に出している店舗がある。
牛ステーキチャーハンなんて強烈にソソるメニューがあって、優に2人前はありそうなチャーハンに細切牛肉の餡掛けがドサッと乗っかっている。詳細を述べていたらいくらあっても誌面が足りないので、簡単な紹介で申し訳ないが、この辺にしておくとしよう。
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